楽しいニュースをまとめてみました。

大阪のラジオ局、FM802が自信を持って1ヵ月間毎日、特定の楽曲をOAするヘビーローテーション。そのヘビロアーティストに、自身のルーツとなる楽曲のアンケートを取り、その話を交えながらFM802DJがインタビューする企画【FM802×SPICE ヘビロな人のヘビロ曲~あの人のルーツはこの10曲~】。今回は、2020年7月のヘビーローテーションアーティスト・ハルカミライのボーカル、橋本学にインタビューを敢行。7月8日(水)に発売されたメジャー2ndアルバム『THE BAND STAR』に収録されている「夏のまほろ」が7月度のヘビ―ローテーションに選ばれた。今回の対談はFM802で『UPBEAT!』(毎週月曜日~木曜日 11:00~14:00)を担当しているDJの加藤真樹子が、ヘビロ曲についてはもちろん、ハルカミライとしては一味違う今回のアルバムに関して、更には橋本がバンドを始める前、始めた後と分けて選曲してくれたルーツ曲に付いての話を訊いた。

●努力の楽しさを知ってからどんどん変わっていった●

ーーハルカミライ「夏のまほろ」が、現在FM802のヘビーローテーションとして毎日オンエア中ですが、この曲は今の状況だからこそ、明るい季節を待ち望んでる感じがすごく伝わって、リスナーも力をもらってると思います。改めてどういうタイミングでできた曲か教えていただけますか?

小学校、中学校と野球をやっていたんですが、人がやっている野球にはあまり興味がなくて。でも去年、甲子園や『熱闘甲子園』で放送される高校球児のドラマをなんとなく観ていると、ぐっと来ちゃって。 「いいなぁ」と熱い気持ちになった勢いで書いて出来た曲ですね。

ーー人のやってる野球だからあまり興味がなかったというのは、プレイするほうが楽しいと思っていたということですか?

そもそも野球が好きじゃなかったです。やっていても打ち込めなかったし。「努力することの楽しさ」を知らなかったので、結果ももちろんついてこないし、余計楽しくなくなって……という感じですね。

ーー「努力の楽しさ」を知ったのは音楽始めてからですか?

そうですね。バンド始めてからは、やらないといけないことをやっていくうちに、それがただの日常になって、自分で出来る事も徐々に増えてきて。努力ってこういう積み重ねのことなんだなと思えるようになりました。

ーーライブをやっていく上では、どういう積み重ねがありましたか。

そもそも昔からライブハウスに通っていたわけではなかったので、積む土台もないままバンドを始めたんです。だけどライブをやっていくなかで、先輩バンドから色んな刺激を受けて、その経験を重ねていくうちに、自分達のスタイルもどんどん変わっていきましたね。バンドの業界では「対バンは絶対観ろ」と言われるのですが、今改めて身に沁みる言葉です。

ーー対バンを観ると、やっぱり「負けたくない」という気持ちが湧いてきたりします?

負けたくないとはもちろん思います。ただ、どこかで「もっと面白いバンドいないかな」という想いもあります。「衝撃を与えてくれるライブに出会いたい」という渇望のようなものですね。

ーーとにかく刺激を求めていると(笑)。

そうですね。そういう刺激をもらった時に曲が出来たり、自分のメンタル的な部分が変わったりするので、刺激は常に求めていますね。

●挑戦した先で何かが生まれる。とにかくやってみるものだと思いました●

ーー今回アルバムを聴かせてもらって、ちゃんと熱を持って届いてくる言葉が詰まってるアルバムだと思いました。底抜けの青春パンク的なことではなく、すごく根本に一人の匂いがするというか。孤独もあって、物事に対する愛もあって。成長の記録みたいなアルバムだなと思いました。アルバムの中で、気に入ってるフレーズとかありますか?

それこそ「夏のまほろ」のBメロ、<昔に戻れたらどうする? もう少し甘えた方が良かった >というフレーズは自分自身に刺さりまくってます。今になって人に頼ることができるようになったので、昔の自分にも「頼ったほうが良いぞ」と教えてあげたいですね。

ーー確かに、誰かに頼ったり、甘えたりすることって難しいと思ってしまいます。

そうなんですよ。小さい頃から親とか学校に「自分でやりなさい」と自立を教えられるじゃないですか。そこの落とし穴にはまっちゃってたなと。もっと他人に甘えたり、頼ったりしたほうが、自分を閉じ込めなかったなと思うので、歌詞が凄い刺さるんです。

ーーまさに今だからこそかけた歌詞なんですね。

「夏のまほろ」はアルバムの中でも特にそうですね。今まで「他人のことを歌わない」という自分のルールの中でやってきたのですが、だんだん誰かの感動を歌にすることが出来るようになりましたし。

ーー以前とは違った方向性に進めているということですね。

方向性で言うと「優しく飛んでゆけ」も、最初は優しすぎる曲に対する皮肉のつもりで書いたんですよ。そういう曲が苦手だったので<あなたの>とか使いたくなくて。

ーーちょっとだけ恥ずかしいみたいな感覚ですか。

「良いことばっか歌ってんじゃねぇ」みたいな想いがあって、それを敢えてやってやろうと。でも出来てみたら「良くね?」と(笑)。

ーーハハハ(笑)。「優しく飛んでゆけ」は、めちゃめちゃシンガロングできるし、みんなを一つにするような曲だと思います。

僕は、歌の中で音楽とか歌のことを歌うことを避けてきたんです。音楽で音楽を語るのは作品になり得ないと思っていて。でもその考え方は前作の『永遠の花』から、そういう硬い糸が解けてきて。 そういう曲があってもいいなと思えるようになりました。

ーーアンチテーゼや皮肉として今まで全くやらなかったことをやってみると、みんながシンガロングできるような曲が生まれたと。面白いなぁ。

本当に面白いですね。とにかくやってみるものだと思いました。挑戦した先で何かが生まれる。

●付いて来てくれているお客さんが居るということに感動するようになった●

ーー今回初めてお会いするので、どういう人なのか想像しながらアルバムを聴かせて頂いたのですが「PEAK'D YELLOW」の<あと飼ってた犬にもな>という部分にも凄いパーソナリティを感じました。

それは照れ隠しみたいなものですね。マジなこと歌いすぎてても自分の中で嫌になると言うか、照れちゃうので茶目っ気を出したんです(笑)。

ーーちょっと照れ隠しとか、ひねくれのような要素が入る曲は、聴いていて信じられる気がして好きなので、信頼できるバンドだなと思いました。バンド側からもファンとの信頼関係というのはあると思うんですが、いかがですか?

ありますね。今まで、孤高であることというか、ライブでもそのお客さんを無視してガンガン攻めるというのが、カッコ良いと思っていて。その想いは今も本質的には変わってないですけど。でも、そこに付いて来てくれているお客さんが居るということに感動するようになったんです。今回のアルバムにも、その想いに繋がっている部分はあります。

ーーハルカミライのライブを観て、泣き笑いみたいな顔でぐしゃぐしゃになってるお客さんを見ると良いなと思います。

本当に良いんですよ。自分のライブだけじゃなくて、他の人のライブを観てぐしゃぐしゃなってるのも見ちゃいますね。

ーーライブでいうと、今回のアルバム『THE BAND STAR』通常盤に、昨年12月幕張メッセで開催された、過去最高キャパのワンマンライブがノーカットで収録されています。最高のライブだったと思いますが、ハルカミライはここで満足はしないんだろうなと気がします。

そうですね(笑)。終わって改めて考えると、どんなキャパでやっても、結局お客さんが観てくださっているという部分は変わらないので、気持ち的にもあまり変わらないんです。よく大きい会場、例えばフェスで「すげぇ景色だ」という言葉が使われるじゃないですか。それは違うなと。どこ行っても景色じゃなくて「人じゃん」と思うんですよね。

ーーキャパが違うだけで、そこに居てくれるのは人ということに違いは無いですもんね。

細かいことですけど、それを景色と言ってしまったら、僕らの今のスタイルくずれちゃうなと思うので、絶対言わないようにしてます。

●「お前は結婚式に呼びたい」と言われたのがめちゃくちゃ嬉しくて●

ーー橋本さんは人好きですか?

好きな人は好きですね(笑)。人同士の距離感にすごく敏感なので、二人で飲みに行ける人はものすごく少ないんですけど、そこまで近づけてる人は全員信頼しています。友達か友達じゃないとか、お客さんとバンドの関係とかも含めて、関係性の線引きをしっかりしないと、奇跡は生まれないと思っています。

ーーそれは馴れ合いになってしまうような感じがするということですか?

「一つになろうよ!」とか言われても「いやいや……」とか思っちゃうし、「愛してるよー!」と言われても「愛してる? 愛ってなんですか?」と思っちゃう。もっと明確に、バンドとお客さんの線引きをしたいんですよね。

ーーそう考えるとアルバムの端々にそういう信念や考え方が含まれてるなあと思えますね。なつかない猫みたいな感じですね。

話しかけづらいとすげぇ言われますね(笑)。本当に興味ある人には自分からガンガン行くんですけどね。

ーー今の話を聞いていて尚更気になったのですが、今回のアルバムは「THE BAND STAR」の<(The)Band Star is my friend.>というコーラスから始まり、「友達」という曲で終わるじゃないですか。橋本さんにとっての友達とはどんな人なのですか?

バンドメンバーは確実ですね。あと、友達とは何かを考える時に、今でも印象に残っている話なのですが、北九州でバンドやってる同い年のヤツに「お前は結婚式に呼びたい」と言われたんですよ。それめちゃくちゃ分かりやすくないですか?  結婚式に呼びたいってすげぇ大事な人じゃんと思って。

ーーうわー、いいなぁ(笑)。確かにそれは嬉しいですね。

僕もそれ言われた時に嬉しくて。友達ってそれだと思いました。その言葉はずっと忘れられない言葉です。

●一番しっくりくる形容詞をめちゃくちゃこだわって探してます●

ーー今回は橋本さんのルーツとなっている曲を10曲選んでいただいております。そちらのお話も聞いていきたいのですが、最初の5曲を前期、後の5曲を後期といった形で分けていただいております。前期、後期の境界線はなんですか?

バンド始める前と、始めた後ですね。あんまりルーツみたいな曲が無くて全然選べなかったので、前期と後期に分けて、よく聴いていた音楽から選びました。

ーーなるほど。前期は意外な曲が集まってるなと思っていました。ピックアップして聴きますと、コブクロの「同じ窓から見てた空」ですが、これを聴き始めたのはどういうキッカケだったのですか?

コブクロは母親が好きで、コンサートにも連れて行ってもらってました。そんな中で一番好きな曲がこれですね。実は選んでから再燃して今もずっと聴いてるんです。

ーー素晴らしい曲ですけど、コブクロの中でも独特な曲ですよね。

独特なんですけど、聴いた後は映画を観たみたような感覚になって、スッキリするんです。この曲は今聴いても凄いなと思えますね。

ーー前期の中だと、アルカラ「半径30cmの中を知らない」は特にバンドサウンドという感じがします。

僕は、高校2、3年の時に初めてバンドというものを認識したんですが、そのキッカケがアルカラなんです。それまでギターやベースを弾いて、ドラムを叩いて音楽を演奏するという認識がなかったんです。この曲を聴いて「バンドってこれか!」と思うようになりましたね。

ーーそれはアルカラのメンバーには伝えたことはあるんですか?

いえ、まだ伝えたことはないですね(笑)。

ーー絶対めちゃくちゃ喜ぶと思いますよ! そして、音楽活動を始めた後期。こちらもピックアップしてお伺いしていきますが、まず、石崎ひゅーい「夜間飛行」について伺ってもよろしいですか?

ひゅーいさんは衝撃でした。深夜ドラマの『みんな!エスパーだよ!』のエンディング曲だったんですが、本編はコメディなのに曲がめちゃくちゃ良くて聴きまくりました。そこからひゅーいさんが前やってたバンドとかも調べて聴きましたね。今は二人で飲みに行く仲なのですが。

ーーそれはつまり信頼してる友人の一人ということですね。続いてエレファントカシマシ「風に吹かれて」。バンド始めてからエレファントカシマシに出会うわけですね。

21、2歳の時に、エレファントカシマシを初めてちゃんと聴きだしたんです。もちろん全部良いのですが、そのなかでも単純に好きな曲を選びました。

ーー「風に吹かれて」は、しんしんとしたイントロも最高ですよね。いつか橋本さんが歌ってるのも聴いてみたいです。

いつか歌えたら嬉しいですね。この曲は歌っても気持ちいいんですよ。

ーー続いて、忘れらんねえよ「寝てらんねえよ」。面白い曲ですよね。

「寝てらんねえよ」も聴いた時に衝撃受けて。こんな衝動感で今までバンドやってなかったなと思って。言葉ってなりふり構わずに使っていいんだ、とそういう幅が広がったのもあります。

ーーこのラインナップを見て、表現や言葉選びが面白い人が多いなという気がしました。橋本さんが詩を書くときにこだわっている事はどういう部分ですか?

一番しっくりくる形容詞をめちゃくちゃこだわって探してます。よく「ストレートな歌詞でいいね」と言われるんですけど、実は違うんですよ。「俺は超選んでんのに」と思うんです(笑)。

ーー確かにメロディのまっすぐさとかにも引っ張られて、そう届くかもしれない(笑)。私もそう思いそうになったけど、話を聞いてるとちょっと違うぞと思いましたね。

ハハハ(笑)。受け取る人がストレートだと思ってくれるのなら、それはそれでもちろん良いんですけどね。

ーーあと、自分が表現する側になった時の音楽の聴き方とかって、やっぱりちょっと違った目線になるのが表れてるのかなとも思いました。

変わりましたね。聴く音楽もガラッと変わりましたし、より生々しい表現をする音楽が好きになっていった気がします。

ーー感覚って環境で変化していくものですもんね。今はバンドを取り巻く環境も変化していますが、橋本さんはどういったことを考えて過ごしてらっしゃいますか?

ライブがなかなか出来ないので、とにかく普段の日常を面白くしようと思っています。別に音楽じゃなくても、あそこのご飯が美味しいとか、あの映画が面白いとか、これを育てるのが楽しいとか、そこに重きを置いてますね。

ーーそういうものからも何か新しい刺激を受けて、全く新しい何かが出てくるかもしれないですね。

そうですね。一歩踏み出したら何か見つかるというのは経験を通して知ったので、これからも活かしていきたいですね。

ーーこれから先一体どんな曲が生まれてくるのか。この先を楽しみにしております。今日は橋本学の過去もお話していただけて嬉しかったです。今度は番組にも来てください!

よろしくお願いします。ぜひ呼んでください!

ーー是非! 本日はありがとうございました!

文=城本悠太 撮影=日吉“JP”純平