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俳優でタレントの憲俊が代表を務める名古屋の演劇ユニット〈SCANP〉が、「スタンダップコメディ」と「一人芝居」に特化した公演を企画。スタンダップコメディアンで俳優の清水宏と、憲俊、俳優仲間である渡辺一正中内こもる名古屋山之助の5名が参加して個々に演じる『SCANP12  ~#UTAGE~』を、2022年10月6日(木)~10月10日(月・祝)の5日間に渡り、名古屋・伏見の「G/pit」で上演する。

〈SCANP〉ではこれまで、殺陣をふんだんに盛り込んだ大人数の芝居を軸に展開してきたが、憲俊は今回、敬愛する先輩表現者の活動に触発され、単独で挑む表現による公演を立案したという。

「一人芝居については、いつもお世話になっている小森耕太郎さん(テレビプロデューサーで演出家、〈SCANP〉公演の演出も数回担当している)からずっと、「やってみろ」と言われていたのがひとつ。あと今年の1月に、同じく昔からお世話になっている先輩の俳優・近藤芳正さんの一人芝居『ナイフ』(原作:重松清/脚本・演出:山田佳奈)を観て、ものすごく感銘を受けたんですよ。それと同時期に、清水宏さんのスタンダップコメディと一人芝居の公演も観て、めちゃくちゃ面白いなと。それがポンポンポンと繋がって、心に火がついた。そのことプラス、(新型コロナウイルスの感染状況を鑑みて)この時期に大人数の芝居をするのは余計なストレスがかかるけど、一人芝居なら稽古も単独で出来るので感染リスクも少ないし、もし出演者の誰かが感染したとしても他の4人でカバーできるなと。そういう想いが繋がったのと、今の状況を考えて今回の企画になりました」と、憲俊。

SCANP代表の憲俊。今回の公演では出演と、脚色・演出も担当する

SCANP代表の憲俊。今回の公演では出演と、脚色・演出も担当する

清水宏とは面識はあったものの、上記の公演で久々に再会し、その場で台本協力と出演交渉を切り出したのだとか。

「10年位前に初めてお会いして、舞台を観に行ったり、自分の舞台を観に来てくれた時に挨拶する程度だったんですけど、今回の公演を観た後、「すごく楽しかったです。台本やらせてください。一緒にやってください!」と声を掛けたら、「ぜひ」と言ってくれたので、忘れられないタイミングでLINEしました(笑)」

清水宏が近年の活動基盤とし、憲俊が心を動かされたという「スタンダップコメディ」とは、演者が一人、マイク一本でステージに立ち観客に喋りかけるというスタイルで、笑いの中に社会風刺や皮肉などを織り交ぜつつ、さまざまな事象について語る話芸だ。日本で言う「漫談」に近いものとされるが、「スタンダップコメディ」は観客との対話をベースに進められる点が特色となっている。欧米やアフリカなど世界中でコメディの主力となっているこの「スタンダップコメディ」を日本でも広く知ってもらおうと、清水は2016年に「日本スタンダップコメディ協会」を設立。国内外の各所で舞台に立ち、果敢な挑戦を試みながら、会長として日々普及活動に勤しんでいる。

今回の公演で清水は、持ちネタの「スタンダップコメディ」と「一人芝居」を各回で交互に披露。憲俊も全公演で清水台本の一人芝居に挑み、名古屋山之助、中内こもる、渡辺一正の3名はメンバーを入れ替えながら各回計4名ずつ出演する、という形式だ(上演スケジュールは公演情報を参照)。

清水以外の4人の一人芝居台本については、

「清水さんの台本は3本提供してもらっていて、『拝啓わが国の総理大臣さま~あなたはヒーロー~』と『カプセル怪獣ミクラス』は僕がやって、『拝啓憧れの演劇様』は名古屋山之助がやります。清水さんの作品は元々台本という形にはなっていないので、提供してもらった3本は上演映像を観て文字起こししました。中内こもるは、自分で書いた『四国へおいでよ』と『願い事』の2本を。渡辺一正は、プロットだけ書いて自分の頭でセリフを整理したものをベースに、お客さんの温度を感じてどこまで変われるかっていうアドリブみたいな、スタンダップコメディに近いことをやります」とのこと。

各作品の演出も基本的には各自で行うそうだが、各回の上演順や全体構成は憲俊が担当。音大出身の役者仲間の紹介で若手バイオリニストの簗瀬彩を起用し、作品と作品を繋ぐブリッジとして生演奏を行う他、小屋入りして出演者全員が揃ったところで演出面の微調整などを行うという。

「アメリカや英語圏で盛んな「スタンダップコメディ」には、弱き者が強き者にジョークで物申す、という文化背景もありますけど、それを演劇にしたらこんなに面白いんだ!というのを実感していて、今は「スタンダップコメディ演劇」というものに傾倒していますね。今後もやり続けたいことのひとつになりました」と、今後の取り組みへの意欲も見せた。

尚、楽日の10月10日(日)17時の回は、出演者と共にスタンダップコメディを舞台上で体験することができる「スタンダップコメディ・オープンマイク」を開催。参加希望者は10月8日(土)19:30~21:30に実施予定のワークショップに参加して自身のネタを整え、10日の本番に臨むことができる、というもの。興味のある方は、詳細や応募要項を憲俊Twitter(https://twitter.com/kenshun69/)で確認の上、問い合わせやご連絡を。
 

【出演者プロフィール】

◆清水 宏

清水宏

清水宏

1980年代の小劇場ブームの中で俳優としてスタート。その後、ピン芸人として活動を始め、ラジオ、テレビ、舞台で活躍。国内外でスタンダップコメディの経験を積み、2016年にぜんじろう、ラサール石井と共に「日本スタンダップコメディ協会」を設立。会長を務め、日本でのスタンダップコメディ普及に邁進している。

◆渡辺一正

渡辺 一正

渡辺 一正

劇団スマイルバケーション座長・宮一団 共同代表・なべ塾 塾長・株式会社kids heartプロモ~ション 演技講師

◆中内こもる

中内こもる

中内こもる

役者・作家・ときどき詩人。高知県出身、名古屋でしばらくの活動を経て、現在は高知県在住

◆名古屋山之助

名古屋山之助

名古屋山之助

『カブキカフェ ナゴヤ座』副座長。毎週水・金・土・日曜の1日2回公演を行っている

◆憲俊

SCANP代表。名古屋おもてなし武将隊、脚本・演出・初代織田信長役
 
『SCANP12  〜#UTAGE〜』チラシ裏

『SCANP12 〜#UTAGE〜』チラシ裏