楽しいニュースをまとめてみました。

2023年3月1日(水)新潮社より、元宝塚の著者・早花まこによる、元タカラジェンヌを徹底取材したノンフィクション「すみれの花、また咲く頃 タカラジェンヌのセカンドキャリア」を発売することが発表された。

本書では、トップスターから専科生まで9名の、現役当時の喜びと葛藤を、同じ時代に切磋琢磨した早花まこだからこそ聞き出せた秘話とともに描き出す。卒業後の「彼女たち」の新たな挑戦にも迫り、WEB「考える人」での連載時から反響を呼んだノンフィクションで、待望の書籍化となる。

本書に収録されるのは、早霧せいな(元雪組トップスター。現在は俳優)、仙名彩世(元花組トップ娘役。現在は俳優)、香綾しずる(元雪組男役スター。ベトナムの日本語学校に勤務後、技能実習生育成支援を)、鳳真由(元花組男役スター。国際医療福祉大学に進学、医療の道へ)、風馬翔(元宙組男役スター。振付助手として歌劇団に戻る)、美城れん(元男役・専科生。ハワイ島へ移住)、煌月爽矢(元月組男役スター。単身台湾に移住、現地でファッションモデルに)、夢乃聖夏(元雪組男役スター。結婚・出産、3児の母に。福岡で子育て中)、咲妃みゆ(元雪組トップ娘役。現在は俳優)の9名。

宝塚を目指すという夢は、「極めて限定的だ」と早花まこは言う。タカラジェンヌになるためには、宝塚音楽学校に入学するしか道がないからだ。また、多くのタカラジェンヌが20代後半から30代前半で退団していくわけで、人生100年時代と言われる今、退団後を考えると、かなりリスクの高い「職業」でもある。だが、だからこそ、他の仕事では得られない経験や技術が、彼女たちを圧倒的に輝かせ、人間として強く魅力的に成長させていく。本書の「はじめに」で早花まこはこう書いている。

宝塚という世界で生き抜いた人たち。めまぐるしいスケジュールの中、孤独や嫉妬と向き合い続ける「タカラジェンヌ」を仕事としながら、現実の中で観客に夢を見せ続けたその精神、技術、器の大きさは計り知れない。
かつて舞台に懸けた思い、これまでの歩み、自分と他者との向き合い方。卒業した方々が、宝塚で培ったものとは何か。
元タカラジェンヌ見習いである私の、これからの歩みを照らし、叱りつけ、笑い飛ばしてくださる、そんな言葉をもっと聴きたい。

宝塚を卒業した私を待っているのは、どんな現実なのだろう。
18年もひとつのことにだけ目を向けていた、正統派「井の中の蛙」である。
不安でいっぱいのこの世間知らずには、挑戦を続ける元タカラジェンヌの先輩方の頼もしい背中が、光り輝いて見えるのだ。
(「すみれの花、また咲く頃 タカラジェンヌのセカンドキャリア」はじめにより)

変化が激しく落ち着かない今の時代だからこそ、元タカラジェンヌの方々の、自分のキャリアを自分自身で切り拓いていく力と魅力は、多くの方々の心を動かすものであるだろう。

そして、今回の書籍化にわたり、早花まこよりコメントが届いた。

早花まこ コメント

早花まこ

早花まこ

9人の元タカラジェンヌの方々の言葉に心揺さぶられ、背中を押されながら書かせていただきました。自分自身と、とことん向き合い、高みをめざして歩み続けるその姿は本当に素晴らしく、取材のたびに、いつも密かに感動していました。そんな彼女たちの「物語」は、宝塚がお好きな方はもちろん、まったくご存知ない方も、笑顔になっていただけるものだと思っています。ぜひお手にとっていただけましたら、幸いです。

<プロフィール>
元宝塚歌劇団娘役。2002年に入団し、2020年の退団まで雪組に所属した。劇団の機関誌「歌劇」のコーナー執筆を8年にわたって務め、鋭くも愛のある観察眼と豊かな文章表現でファンの人気を集めた。
BookBangで「ザ・ブックレビュー 宝塚の本箱」を連載中。