流山児★事務所(芸術監督:流山児祥)は、2023年4月6日(木)~23日(日)に東京・下北沢ザ・スズナリで、「OKINAWA 2部作 1945↔1972」と題して、『キムンウタリ OKINAWA1945』(新作書下ろし)と『OKINAWA1972』(再演)の二作を上演する。両作品とも、詩森ろば(serial number)が作・演出を手掛ける。
これまで流山児★事務所は、詩森ろばとタッグを組み、沖縄返還時の政治的密約と沖縄ヤクザの抗争の歴史を結び付けた『OKINAWA1972』(2016年)、そしてアイヌ民族の迫害の歴史を描いた『コタン虐殺』(2020年)というふたつの作品を作ってきた。いずれも、現在まで連綿と続く搾取の歴史を描いたもの。その創作の途上で詩森らが知ったのが、沖縄戦激戦地であった糸満市の丘の上に立つ 「南北之塔」という慰霊碑だった。それは、沖縄戦で亡くなった沖縄の民と、戦死したアイヌ兵士たちを慰霊するものだった。碑の側面には、「キムンウタリ(山の民)」とアイヌ語で刻まれている。共に迫害されたふたつの民族が「日本の盾」となって戦ったのだ。その皮肉と、しかし在った魂の交流を、知念正真の傑作戯曲「人類館」をリスペクトした構造で描いたのが、今回の新作『キムンウタリ OKINAWA1945』である。
「OKINAWA 2部作 1945↔1972」では、その『キムンウタリ OKINAWA1945』に加え、同作への理解を深めるために『OKINAWA1972』改訂版を上演する。さらに、4月18日(火)13:00には『コタン虐殺』の上映会も行う。
■作・演出 詩森ろば コメント
思い入れのある大好きな作品『OKINAWA1972』の再演はたたただ張り切って参りましょう、というかんじなのですが、新作『キムンウタリ』は、知念正真さんの傑作戯曲『人類館』の本歌取りという、昨年の宮本研作品(『夢・桃中軒牛右衛門の』2022年)脚色に続く傍若無人、狼藉を働いてしまいました。しかも前回は流山児さんの無茶振りという言い訳がありましたが、今回は自分で勝手に決めたこと。ひとり緊張を高めていましたが、あの作品の振り切った毒と人間愛に力を貰い、わたしという劇作家の限界を少しだけ超えられた気がしています。快く作品を貸してくださったことに感謝すると同時に、何よりこの力強い日本演劇界の特異点とも言える『人類館』という戯曲をわたしの作品を通じてお客様に再発見してもらえる機会となれば、と願っています。
※戯曲『人類館』……1903年、第5回内国勧業博覧会で起こった、生きた植民地住民の展示、いわゆる「学術人類館」事件をモチーフに、沖縄出身の劇作家・知念正真(1941-2013)が書いた戯曲。<しかし、歴史の流れをそのまま反映したのではなく、時間と空間が交錯する中で、沖縄戦やベトナム戦、そして復帰運動など沖縄を取り巻く出来事がダイナミックに描かれている。反植民地主義・反戦劇。戯曲『人類館』は、二つの構造を持っている。人類館を起点として、そこでまき起る、もしくはまき返される幻想(回想)シーンの、恣意的、無差別的濫乱と、「人類館」という名の精神病院の中で展開する、医者と患者のリハビリテーション(社会復帰訓練)としてのお芝居ごっこである。この両者を、同時並行的に推し進めることによって、沖縄の近(現)代史の暗部が浮きぼりにされ、それらは、やがて一つの接点を見つけ出す。(日本劇作家協会 HP より引用抜粋)>
■芸術監督・出演 流山児祥 コメント
そのエネルギッシュな取材力と筆力で骨太の社会的なテーマを演劇化する劇作家・詩森ろばは、流山児★事務所との初コラボレーション『OKINAWA1972』で沖縄の「闇と真実」を抉りだし、第二弾『コタン虐殺』ではアイヌ民族の苦しみや願いを描き高い評価(読売演劇大賞優秀演出家賞)を得ました。そしてコラボ第三弾は、沖縄二部作を一挙上演します。この5年間のわたしたちのアイヌとオキナワを巡る「旅」が生み出した劇です。ウクライナ戦争勃発から1年、戦争が露出する「新しい戦前」の時代。再びオキナワに「日本の盾」を押し付ける如き、この国の実態(歴史)に眼を逸らさず真正面から描く詩森ろばの意欲作。2作とも、流山児★事務所でしかできないパワフルでエンタメ性を備えた熱い集団劇になります。ご期待ください。
※流山児祥 新刊情報:「敗れざる者たちの演劇志」(著者:流山児祥 編者:西堂行人)2023年4月27日発売、論創社。