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2023年8月16日(水)~18日(金)東京国際フォーラム ホールAにて行われる、『ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ feat. アラン・メンケン supported by ディズニー★JCBカード』。初日のオフィシャルレポートが公開されたので紹介する。

2023年8月16日、『ディズニー・ブロードウェイ・ヒッツ feat. アラン・メンケン supported by ディズニー★JCBカード』が、遂に初日を迎えた。2022年7月に開催予定が延期され、ディズニーファン、ブロードウェイミュージカルファンにとっては待ちに待った公演。5,000人を収容する東京国際フォーラム ホールAは満員だ。20分の休憩を挟み、約2時間半で60曲以上を披露。カーテンコールではオールスタンディングオベーションとなり、観客の期待を裏切らない充実のステージとなった。

アラン・メンケンが登場するや、「去年のチケットを買った人はどれくらいいますか?」と観客に問いかけ、半分以上の人が手を挙げると「1年も待たせてごめんなさい。今日来てくれてありがとう」と挨拶、明るく優しい笑顔でオープニングから会場の雰囲気を和ませた。

二幕構成のうち第一幕では彼自身が歌とピアノで自作を披露し、それらの曲の成り立ちなどを語るのだ。ディズニーミュージカルの名曲を堪能できるコンサートは、過去にアメリカ・ボストンのボストンシンフォニーホールやイギリス・ロンドンのロイヤルアルバートホールで上演され、日本でも2019年・2020年と過去2回開催され大人気を博したが、他では経験できない特別な公演なのである。

そして第二幕では、本場ブロードウェイのキャスト5人が登場する。アシュリー・ブラウン、『メリー・ポピンズ』でメリー・ポピンズ役のオリジナルキャストであり、『美女と野獣』ベル役など数々のヒロインを演じてきた。カーラ・リンゼイは『ニュージーズ』でキャサリン役を務めた。ジョシュ・ストリックランドも『ターザン』のオリジナルキャスト。キシー・シモンズは『ライオン・キング』のナラ役を、最長の9年間演じている。マイケル・ジェームズ・スコットは現在『アラジン』のジーニー役で活躍中。いずれも名優である。
この錚々たるメンバーに、日本人ゲストとして加わるのが京本大我(SixTONES)だ。グループでの活動以外に個人でも、ミュージカル俳優として活躍する京本は、アラン・メンケン作曲のブロードウェイミュージカル 『ニュージーズ』の日本初演(2021年)で主役のジャック役を務めている。

第一幕:メンケンの歌とピアノでディズニーの名曲が紡がれる瞬間に立ち会う

『美女と野獣』の「Be Our Guest (ひとりぼっちの晩餐会)」や『アラジン』の「A Whole New World (ホール・ニュー・ワールド)」、あるいは『リトル・マーメイド』の「Under the Sea (アンダー・ザ・シー)」……アラン・メンケンは、これらの名曲を、どのようにして作り上げたのだろう。
第一幕ではその瞬間が再現されるかのように、彼がイメージしたものが、指先から溢れ出て音が紡がれていく瞬間が、ステージ上で次から次へと繰り広げられていく。
ピアノソロなのだが、その演奏は圧巻だ。まるでオーケストラが奏でているかのように世界が広がっていく。ピアノだけなのに、あのイントロ、あのメロディが奏でられた瞬間に、私たちの脳裏にはゴージャスなディズニー映画のあの場面、この場面が思い浮かぶ! どれも名曲。自在な編曲。音楽に刺激され、観客の心にすべての感情・感覚が渦を巻く。
また、アランの歌声が素晴らしい! 潤いのある歌声で、時にロック、時にカリプソ、時にバラード。表情豊かでキャラクターの心情に寄り添う。『アラジン』の「Friend Like Me (フレンド・ライク・ミー)」など、ジーニーそのものだ。フォーラムAの大きな空間にたった一人で歌っていることを忘れてしまうほど、その存在感は大きい。

自作を語るアランが本当に楽しそうだ。『リトル・マーメイド』ではアリエル、アースラ、セバスチャンなど、それぞれのキャラクターにふさわしい楽曲がどんどん湧いて出てくる。
今年公開された実写版の「リトル・マーメイド」の新曲「For the First Time(何もかも初めて)」では、初めて陸に上がったアリエルが、最初は無邪気に希望に満ちた未来だけを見つめていたのに、やがて心に迷いが生じる。同じフレーズを使いながら全く異なる印象の歌に仕上げるところなど、歌い方・表現の大切さに気づかされ、楽曲の奥深さが光った。

彼はアニメーション映画、舞台、実写映画と作品が形を変えるたび、「観客にとっていつも新鮮な体験となるように」新たな曲を加えているというが、そこには観客へ、そして作品への愛情があると感じられる。
『美女と野獣』では、「舞台化された時、ようやく野獣の歌を入れることができた」と語り、常に登場人物たちの心情に寄り添って作品を育てている優しい一面をのぞかせる。『アラジン』でも、当初アニメーション映画ではストーリー変更の影響でカットされた「Proud of Your Boy (プラウド・オブ・ユア・ボーイ)」が、ブロードウェイで復活したことをとても喜びながら披露した。当初からコンビを組んでいた作詞家のハワード・アシュマンが病に倒れ、一緒に作った『美女と野獣』や『アラジン』を見ることなく薨ってしまったことも噛み締めるようにしていた。

1人の歌声とピアノだけであることを忘れるほどの空間。それは、あたたかくて贅沢なひとときだった。

第二幕:これぞ本場NYブロードウェイの歌唱力! パワフルで艶のある声量に脱帽

こんなに素晴らしい歌とピアノを前半に聴いてしまったら、プロの歌手とはいえ、第二部のハードルが上がってしまうんじゃない? ……と思った筆者はバカだった!
ブロードウェイ・スターの歌声は半端ない! 舞台上で炸裂し、ホールの隅々まで広がった音楽の波動は、観客の心も体も捉えて離さなかったのである。

第二幕は、マイケル・ジェームズ・スコットをフィーチャーした『美女と野獣』の「Be Our Guest (ひとりぼっちの晩餐会)」。客席からも自然を手拍子が鳴り、楽しい雰囲気だ。
続く『King David(原題)』の「New Jerusalem (ニュー・エルサレム)」では、メインボーカルのジョシュ・ストリックランドとマイケル・ジェームズ・スコット以外の女性陣はコーラスに回るのだが、このコーラスがすごい! これがたった5人のブロードウェイキャストから生まれた合唱なのかと疑うほどの響きが醸し出される。主役級の歌手が集まると、得てしてそれぞれの声の特徴が互いに響きを消し合ってしまいがちだが、彼らはコーラスに回るとまるで聖歌隊員のように「個」を消し、一つのハーモニーに色調を統一してジョシュのカウンターテナー、マイケルのハスキーなバスを浮かび上がらせる。女性陣の声はあたかも天から神殿の中にいるが如き神聖さを感じる声。

一転、『ライオン・キング』の「Hakuna Matata(ハクナ・マタタ)」では、同じジョシュ・ストリックランドとマイケル・ジェームズ・スコットがメインでありながら、コミカルな掛け合いが抜群だ。
対して、同じ『ライオン・キング』から「Shadowland(シャドウランド)」を歌ったキシー・シモンズ。ナラ役を長く務めるだけあって、最初の一声で観客の心を惹きつけた。単に声量が豊かなだけでなく、ナラという雌ライオンの切なく力強い心情が伝わってくる。コーラスにまわった4人のボリュームを抑えたハーモニーも抜群で、会場をアフリカの草原に一変させた。

役に没入するという意味では、アシュリー・ブラウンにも驚かされた。直前までジョシュ・ストリックランドと『ターザン』の「You’ll Be In My Heart (ユール・ビー・イン・マイ・ハート)」をデュエット、色気のある女性の恋心を歌っていたのに、『メリー・ポピンズ』の「Supercalifragilisticexpiaridocious (スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス)」が始まった途端、歌い方から発音の仕方まで全く違う。まさにロンドンの家庭教師!人格が変わったとしか考えられない!まさに俳優とは器、次々と異なる人物に憑依する彼らを見て、これこそが演じるということであり、単に歌が上手いだけではない、と驚嘆した。

カーラ・リンゼイの「Part of Your World(パート・オブ・ユア・ワールド)」『リトル・マーメイド』も素晴らしい歌声だった。まるでアリエルがそこにいるようだ。一人で歌っているが、周りにお魚たちが見えるよう。無垢で可愛らしい、でもまっすぐな女性がカーラには似合う。『ニュージーズ』のキャサリンも、正義感の強さが見て取れた。顔だけでなく、声に表情がある。
日本人ゲストの京本大我は、『ニュージーズ』のシーンから合流。

京本大我はまずジャックの持ち歌「Santa Fe(サンタフェ)」をジョシュ・ストリックランドとデュエットで歌う。大ベテランのジョシュに必死に食らいつく大我。最初は少し堅かったが、中盤からジョシュの声に引っ張られるようにして、伸びのある声でしっかりと自分のパートを歌い上げた。これで自信がついたのか、キャサリン役のカーラ・リンゼイとのデュエット「Something To Believe In(サムシング・トゥ・ビリーヴ・イン)」では、ジャックとしてキャサリンと対峙する様子が見え、存在感を示した。ラストの合唱「Somebody’s Got Your Back」でも、リラックスした様子でステージを楽しんでいる様子が見られ、初日にして「仲間」になったのが見受けられた。

様々な楽曲を、個性豊かなキャストが迫力の声量で歌い上げた第二幕。そのクライマックスは、『アナと雪の女王』の「Let It Go (レット・イット・ゴー)」である。それぞれが1フレーズずつ歌うのだが、まるで最初からそういう歌だったような気がするくらい自然だった。編曲のジム・アボットの手腕である。この編成によって、「ありのままの」自分を肯定しようとするこの曲の核心が、さらにはっきりと浮き彫りになった。
最後にアラン・メンケンが再登場し、「Somebody’s Got Your Back(サムボディーズ・ゴット・ユア・バック)」をキャスト全員と一緒に歌った。ステージの上も、客席も、全員が一体となった楽しい一夜であった。

(C)Disney

文:仲野マリ   写真:Maho Korogi