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2023年12月1日(金)〜24日(日)京都・南座にて、京の年中行事『吉例顔見世興行』が開催される。本年は、十三代目市川團十郎白猿襲名披露、八代目市川新之助初舞台の公演となり、例年にも増して華やかな舞台になる。

この度、公演に先立ち、市川團十郎の襲名披露狂言として昼の部に上演する、歌舞伎十八番の内『景清』の主人公・悪七兵衛景清ゆかりの地である清水寺を市川團十郎が訪問。その模様が届いたので紹介する。

特別ポスター

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清水寺には、景清が自らの爪で観音様を彫ったとされる「景清爪形観音」がある。怪力だった景清の豪傑さを彷彿とさせる、現代においても直接景清を感じることができる貴重な灯籠だ。景清は清水寺の観音様を信仰していたとされており、近松門左衛門作『出世景清』をはじめ、様々な作品で、景清の信仰心を読み取ることができる。また、清水寺と景清の逸話は落語『景清』などにも用いられ、今の世にも受け継がれている。また、清水寺には景清の足型を彫った「仏足石」も本堂のほど近くにあり、その大きさからも景清の力強さを感じることができる(諸説あり)。

清水寺 本堂を背景に 市川團十郎 /(C)松竹

清水寺 本堂を背景に 市川團十郎 /(C)松竹

團十郎は、仁王門からほど近く、随求堂の前に鎮座する「景清爪形観音」と、景清の足型を彫った「仏足石」を見ながら、清水寺学芸員の坂井輝久氏より、京都に所縁の深い景清の逸話をうかがい、受け継がれる豪傑な景清に思いを馳せるひとときとなった。

また、訪問後の團十郎のコメントも公開。

ーー清水寺にて景清爪形観音を見た感想。

7日間、平家再興と頼朝に一太刀あびせたい、という思いで清水寺に籠り、その中で、景清が爪で観音様を彫ったということで、よほどの思いがあったのだと思います。命がけだった、ということがわかります。今回は『景清』を上演しますが、元の作らせていただいた『壽三升景清』は、景清が死ぬ間際の走馬灯の瞬間を描いた作品なので、『壽三升景清』と、清水寺様の景清爪形観音がリンクしたと感じました。『景清』は、頼朝に対しての思いが実らず、だからこそ死ぬ間際に夢を見た、景清や平家方の人間の刹那や願いがよく伝わる演目になっていると思います。

ーーご自身(当時海老蔵)が作られた『景清』が襲名披露興行でかかることに対して。

かなりめずらしいことだと思います。皆で作った作品が、團十郎襲名でかかる演目になり、嬉しいです。

清水寺 本堂を背景に 市川團十郎 /(C)松竹

清水寺 本堂を背景に 市川團十郎 /(C)松竹

なお、南座『吉例顔見世興行』昼の部は『景清』に加え、襲名披露狂言として團十郎とぼたん親子が共演する『男伊達花廓』、さらに新之助初舞台として『外郎売』ほかを上演。歌舞伎に親しみのある方はもちろん、歌舞伎を初めて観劇する方も歌舞伎の醍醐味を楽しむことができる華やかな演目が揃っている。