2025年のフレンチ・オープン初戦。世界ランク2位のココ・ガウフ選手の登場は、まさかの“ラケットを忘れる”というハプニングから始まった。BBCやCNNが報道している。
5月28日、パリ・ローランギャロスのフィリップ・シャトリエ・コートに登場したガウフ選手は、集中した面持ちでコートに入った。だが、ベンチに着いてバッグを開けた瞬間、その表情は戸惑いと照れ笑いに変わる。肝心のラケットを入れ忘れていたのだ。
その後、ボールキッズによってロッカールームからラケットが届けられ、試合は無事開始した。
BBCによると、ガウフ選手はラケットの有無をバッグの重さで判断しており、飲み物が多くて重かったため、ラケットの入れ忘れに気づかなかったという。
対戦相手のオリビア・ガデッキ選手(オーストラリア)もこのハプニングに思わず笑顔を見せ、2人は互いに笑い合う場面もあった。
SNSでは、ガウフ選手が「ラケットはないけど、コーデはバッチリ」とユーモラスなコメントとともに、コート上での写真や“やることリスト”の投稿(ラケットをバッグに入れるのチェックが未完了)をアップ。ファンの間でも話題を呼んだ。
試合が始まれば、ガウフ選手は一転して集中モードに。6-2、6-2のストレート勝ちで2回戦進出を決めた。「あんなことがあったおかげで逆にリラックスして試合に入れた」と本人も語る通り、ラケットを忘れてもガウフ選手の強さは揺るがなかった。
実は、ブーメランのような出来事だった
一方で、このハプニングはブーメランのようにガウフ選手自身に跳ね返ってくる出来事でもあった。というのも、ガウフ選手は3月のマドリード・オープンで、ラケットを忘れたフランシス・ティアフォー選手(アメリカ)をからかっていたからだという。
試合後、ガデッキ選手は「ガウフがラケット忘れない限り、私が勝つ方法はなかったかも」と冗談を飛ばし、会場にも和やかなムードが広がった。
次戦、ガウフ選手はチェコの新鋭テレザ・ヴァレントヴァ選手と対戦予定。2022年のフレンチ・オープンで決勝進出を果たしているガウフ選手にとって、今回の大会は悲願の初優勝がかかる舞台でもある。
ラケット忘れという珍事を笑いに変え、着実に勝利したガウフ選手。その強さと人間味あふれるキャラクターが、またひとつファンの心を掴んだ。


