【あわせて読みたい】初心者必見「高配当株」を見つける5つのステップとは?資産8億円の投資家が教える“超”分散型投資のメリット
2025年4月から、公的年金の支給額が前年度より原則1.9%増額される。
共通の国民年金(満額)は前年度から約1300円アップの月額6万9308円。会社員や公務員が入る国民年金は「平均的な収入で40年間働いた夫と専業主婦の妻の2人分」というモデル世帯で、国民年金を含めて前年度比約4400円増の23万2784円となる。
支給額の引き上げは3年連続。2024年の物価上昇率が2.7%、過去3年間の名目賃金の上昇率が2.3%だったことを受けての改定だ。近年では大きな増額率ではあるものの、物価上昇率より低い伸びにとどまり、実質的には目減りしている。
4、5月分が支給される6月を前に、年金制度の仕組みや現在の年代別平均月額を紹介する。
日本年金機構が運営する公的年金制度(国民年金・厚生年金・船員保険)の加入者に発行される年金手帳(表紙がオレンジ色は基礎年金番号が導入された1997年以前に発行された物、青色はそれ以降に発行された物)。基礎年金番号など個人情報が記載されている(2015年撮影)公的年金の仕組みとは?
日本の公的年金制度は、「国民年金(基礎年金)」と、会社員・公務員の人が加入する「厚生年金保険」の2階建て構造。すなわち、会社員・公務員の場合、2つの年金制度に加入することになり、将来的に両方の年金を受け取れる。
「国民年金」は原則、20歳以上60歳未満の全員が加入することになっている。年金保険料は全員一律で、2025年度は1万7510円。保険料を全期間(40年間)納めると、65歳から満額受け取ることができる。学生納付特例制度などを利用し、保険料を納付していない期間があると、その分満額から差し引かれる。
このほかに、月額400円の付加保険料を納付すると、将来受け取れる年金を増額できる制度もある。
年金はいつから支給される?
年金は自動的に支給が始まるものではなく、受け取るためには自身での請求手続きが必要だ。
原則として65歳の誕生日を迎える3カ月前に、日本年金機構から「年金請求書」が送られてくる。それに必要事項を記入して、必要書類などを添えて近くの年金事務所に提出しなければならない。
年金は、受給権が発生した月の翌月分から受け取ることができる。原則、偶数月の15日に前月・前々月の年金が振り込まれるという。
【一覧】60代の平均年金月額は?
現在の年金受給者は、月にどのくらいの年金を受け取っているのだろうか。
厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、60歳〜90歳以上の各年齢の平均年金月額をまとめた。左が厚生年金(第1号)、右が国民年金。厚生年金の平均年金月額には、基礎年金月額が含まれている。
60歳 9万6492円 4万3638円
61歳 10万317円 4万4663円
62歳 6万3244円 4万3477円
63歳 6万5313円 4万5035円
64歳 8万1700円 4万6053円
65歳 14万5876円 5万9599円
66歳 14万8285円 5万9510円
67歳 14万9205円 5万9475円
68歳 14万7862円 5万9194円
69歳 14万5960円 5万8972円
※65歳未満の国民年金の受給者は繰上げ受給を選択した人
【一覧】70代の平均年金月額は?
70歳 14万4773円 5万8956円
71歳 14万3521円 5万8569円
72歳 14万2248円 5万8429円
73歳 14万4251円 5万8220円
74歳 14万7684円 5万8070円
75歳 14万7455円 5万7973円
76歳 14万7152円 5万7774円
77歳 14万7070円 5万7561円
78歳 14万9232円 5万7119円
79歳 14万9883円 5万7078円
【一覧】80代の平均年金月額は?
80歳 15万1580円 5万6736円
81歳 15万3834円 5万6487円
82歳 15万6103円 5万6351円
83歳 15万8631円 5万8112円
84歳 16万59円 5万7479円
85歳 16万1684円 5万7693円
86歳 16万1870円 5万7685円
87歳 16万2514円 5万7244円
88歳 16万3198円 5万7076円
89歳 16万2841円 5万6796円
90歳以上 16万721円 5万3621円
将来的に受け取れる年金額は?最新の試算
5年に1回行われ、2024年7月に結果が公表された最新の「財政検証」では、世代や性別ごとに65歳になった時点での平均年金額の見通しも示された。
経済が順調で長期の実質経済成長率1.1%のケースでは次のとおり。
<男性>
1959年度生まれ(65歳) 14万9000円
1964年度生まれ(60歳) 14万7000円
1974年度生まれ(50歳) 15万6000円
1984年度生まれ(40歳) 18万0000円
1994年度生まれ(30歳) 21万6000円
2004年度生まれ(20歳) 25万2000円
<女性>
1959年度生まれ(65歳) 9万3000円
1964年度生まれ(60歳) 9万5000円
1974年度生まれ(50歳) 10万9000円
1984年度生まれ(40歳) 13万2000円
1994年度生まれ(30歳) 16万4000円
2004年度生まれ(20歳) 19万8000円
過去30年間と同程度で、経済成長率がマイナス0.1%のケースでは次のとおり。
<男性>
1959年度生まれ(65歳) 14万9000円
1964年度生まれ(60歳) 14万6000円
1974年度生まれ(50歳) 14万1000円
1984年度生まれ(40歳) 14万1000円
1994年度生まれ(30歳) 14万7000円
2004年度生まれ(20歳) 15万5000円
<女性>
1959年度生まれ(65歳) 9万3000円
1964年度生まれ(60歳) 9万5000円
1974年度生まれ(50歳) 9万8000円
1984年度生まれ(40歳) 9万9000円
1994年度生まれ(30歳) 10万7000円
2004年度生まれ(20歳) 11万6000円
※年齢は2024年度末時点
また、自民、立憲民主、公明の3党は5月28日、基礎年金の将来的な底上げを付則に盛り込んだ年金制度改革法案の修正案で合意。30日に衆議院を通過し、6月22日が会期末の今国会で成立する見通しだ。
2024年度の財政検証では、過去30年間と同程度の経済状況が続いた場合、基礎年金の給付水準が将来的に3割程度下がる見込みとされている。
修正案は、2029年の財政検証の結果、基礎年金の給付水準低下が見込まれる場合、厚生年金の積立金と国費を活用した底上げ策を実施すると付則に明記した。積立金を基礎年金の底上げに使うことで、一時的に厚生年金の受取額が減る人には緩和策を講じるとしている。


