海水浴や川遊びの機会とともに、水難事故が増える夏。警察庁生活安全局によると、2024年7〜8月に海や川などで起きた水難事故は488件で、水難した人は601人。うち死者・行方不明者は242人にのぼる。
過去5年間の全国の水難発生状況 「令和6年夏期における水難の概況」から 水難事故の発生件数が横ばいで推移する中、うみらい環境財団、日本ライフセービング協会、日本水難救済会が推進し、日本財団が企画・統括する「海のそなえプロジェクト」は、水難件数の背後にある多くのヒヤリハット(※)に着目。
溺れた経験のある約1000人を対象に、具体的な状況や原因についてアンケートを実施、収集した情報を分析・整理するヒヤリハット調査を行った。
※ヒヤリハット…災害には至らなかった無傷事故や異常のこと。ハインリッヒの法則では、1件の重大事故の背後には、29回の軽傷事故と300回のヒヤリハットが潜むといわれている
熱中症で溺れる
【画像】熱中症で溺れた。なぜ?どうすれば防げる? イラストで分かりやすく解説
溺れのきっかけは「波に巻かれた」が最も多く、原因は「パニックになった」という回答が最も多かった。
同プロジェクトはヒヤリハット調査に加え、ライフセービング協会の救助事例や水難共済会のデータ、行政資料などに基づき、溺れの「入口」や「予兆」について、100のパターンを抽出。
それぞれのパターンについて「⚪︎⚪︎で、おぼれた」というイラストとともに「溺れる理由」「溺れないための対策」などを、インスタグラム「おぼれ100」で簡潔に紹介している。
例えば熱中症で溺れた人は、水の中にいるから熱中症の心配がない、と考えていた。
だが実際は
・水温が高すぎると水中でも体温が上がる
・口の中が水で濡れるため、喉の乾きを感じにくい
・水泳は多くの汗をかくが、気づきにくい
・直射日光を頭に浴びると、体温を上げる原因になる
などの理由で、熱中症になる可能性がある。
溺れないために
・少なくとも30分ごとに休憩を取る
・こまめな水分補給を忘れない
・風通しの良い日陰で休憩を挟みながら遊ぼう
といった予防策を、親しみやすいデザインで紹介している。
水位が膝下で溺れる
水位が「膝ぐらいだから怖くない」と過信して溺れてしまうケースでは
・水位が膝下でも、流れの速い川がある
・浅くても子どもは川の流れで転倒して流される
・子どもは声を上げることもできず、そのまま溺れる
と危険性を指摘。
【画像】川で子どもが遊ぶとき、保護者はどこで見守るべき?予防策はこちら
遠くの台風で溺れる
また、遠くで発生した台風を「まだまだ遠い」と軽く捉えないよう注意喚起。
・遠くにある台風からでも、うねりがやってくる
・うねりは海岸付近で高い波を発生させる
・離岸流が発生しやすくなる
など溺れる理由と入水前の確認事項を紹介し「晴れていても海はもううねっている」とまとめている。
同プロジェクトではウェブサイトとインスタグラムで水難事故の予防を呼びかけるとともに、「おぼれ100」のコメント欄を通じ、体験談を募集している。


