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現在開催中の大阪万博。フランス館では5月1〜15日、「平等と公平」をテーマにさまざまなイベントが行われた。

フランス生まれのクリームチーズブランド「キリ」を展開するベル ジャポンは5月8日、「ウーマンエンパワーメント」をテーマにトークイベントを実施した。

イベントには、ベルグループのCEOであるセシル・ベリオさんが来日。サントリー食品インターナショナル代表取締役社長の小野真紀子さん、明治ホールディングス執行役員の河端恵子さん、インティマシーコーディネーターの西山ももこさんが登壇した。

各業界を牽引する女性たちがリーダーシップやキャリア形成について語り合ったイベントをリポートする。

大阪万博フランスパビリオン外観(左)とベルグループのセシル・ベリオCEO大阪万博フランスパビリオン外観(左)とベルグループのセシル・ベリオCEO

4人の子どもを育てながらCEOに。「才能に性差は関係ない」

イベント冒頭、セシルさんは自身のキャリアについて「女性で、子どもがいて、なおかつリーダーであるというプレッシャーを感じることが多かった」と振り返った。グローバルな役割を果たす中で、出張も多かったといい「子どもがかわいそうじゃない?と聞かれることもありました。男性の同僚が出張してもそんなことは言われません。そこにアンフェアさを感じていました」と語る。

 また、セシルさんは「才能に性の差は関係ない」と強調。マッキンゼーは2015年、世界の女性が男性と同等に労働市場や経済活動に参画すれば、2025年までに、世界のGDP(国内総生産)は12兆ドル上昇する可能性がある、とのリポートを発表。

しかし、実際の進展はかなり遅く、日本では企業の女性社長比率は8.4%にとどまっている。セシルさんは「企業は女性をサポートするだけでなく、女性リーダーのロールモデルを育てることが大事」と語った。

実際にベルではマネージャーの50%が女性という体制を実現。セシルさん自身も4人の子どもを育てながら、CEOとして企業を率いてきた。また、「オールウーマンリーダーズ」というプログラムをつくり、女性リーダーを育てるための研修や、人事制度の改革を行っている。そして、2030年までに経営層の女性比率を33%から40%まで引き上げることを目指すという。

「私たちは、自分の言葉で成功を定義したい女性たちのために、才能に性別が関係ないことを示し、古い基準に挑戦します。キャリアとアイデンティティ、そのどちらかを選ぶ必要のない世界を目指していきたいのです」

ベル グループのセシル・ベリオCEOベル グループのセシル・ベリオCEO

女性の海外駐在はゼロ… 「壁」をどう乗り越え、キャリアを描いたのか

続くトークセッションでは、まず初めにそれぞれが自身のキャリアを振り返り、女性ならではの壁にぶつかった経験やそれをどう乗り越えたかを語った。

サントリー食品インターナショナル代表取締役社長の小野さんは、入社当時、フランスワイナリーの買収を担当していた時の経験を挙げ、「その仕事を終えたとき、現地で働きたいと思ったけれど、当時女性の海外駐在員はおらず、なかなか受け入れてもらえなかった」と振り返る。それでも諦めずに国内での仕事に邁進していたところ、念願かなって駐在員となり「腐らずに目の前の仕事をきちんとやることがチャンスにつながった」と、女性たちにエールを贈った。

サントリー食品初の女性トップである小野真紀子さんサントリー食品初の女性トップである小野真紀子さん

明治ホールディングス執行役員であり、ウェルネスサイエンス長の河端さんは、自身のライフワークである研究は“たくさん失敗する仕事”だと説明。その上で「女性は『女の子だから浪人させられない』というように、周りから挑戦に対して何かとブレーキをかけられがち。そんな中でも、私は個人的な欲や野望に突き動かされて挑戦を続けてきたと思う」と語った。

明治ホールディングス執行役員の河端恵子さん明治ホールディングス執行役員の河端恵子さん

西山さんは日本で数人しかいないインティマシーコーディネーターのひとり。元々はテレビ番組のロケコーディネーターとして働いており、友人の紹介で2020年にインティマシーコーディネーターの資格を取得したという。「それまでは男性社会で生きてきたのでジェンダーという価値観がなく、自分の中でも『おかしくない?』という気持ちをきちんと言語化できていなかった。資格を取れば、何かが変わるかもしれないという感覚で勉強を始めた」と、きっかけを明かした。

インティマシーコーディネーターの西山ももこさんインティマシーコーディネーターの西山ももこさん

人生の「アジェンダ」を自らコントロールできることが重要

続いては「プライベートと仕事のバランスをとるために、日々意識している習慣や工夫、マインドセット」について語り合った。

まずセシルさんは「人生の“アジェンダ”(計画・プラン)を立てている」と語った。

「人生のアジェンダは常に変わっていきますが、重視しているのはタスクではなく、自分自身を中心に考えること。どれくらい寝るのか、何によってエネルギーを得られるのかを考えて、アジェンダ戦略を立てています。私にとってのステークホルダーはフランスの家族です。出張も多いですが、1週間に1度は休みをとり、家族と過ごしています。人生のアジェンダを立て、自ら時間をコントロールすることが大切ではないでしょうか」

 川端さんもその考えにうなずき「研究に没頭することが却ってストレスを解消してくれる時もある。仕事に時間を費やしていても、それが自分でコントロールできていれば案外ストレスにはならないものですよね」と語った。

また、小野さんは「自分のスケジュールを自分で確保できないことは多いですが、忙しい中でも“考える時間”を確保することが大事だと思っている」と語り、「週末や平日の夜に、友人とワインを楽しんだり、温泉に行ったり、オン・オフの切り替えを上手く使って英気を養っている」と、行動の工夫を話した。

各業界をけん引する女性たちがキャリアやリーダーシップについて語り合った各業界をけん引する女性たちがキャリアやリーダーシップについて語り合った

“自分なんて”と思わずに「挑戦」に飛び込む

 最後に、登壇者がそれぞれ、これから何かに挑戦しようとしている女性にむけてメッセージを贈った。

小野さんは「最初は自信がなくても、やってみると道がひらけてくることもある。同僚や家族など助けてくれる人はいるので『なんとかなる』というポジティブ思考でチャンスをつかんでほしい」とエール。

川端さんは「自分自身に対して抱いているアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)で、自分の限界を決めつけてしまっていることはある。自分は向いていないかも…と思わず、勧められたら飛び込んでみることが大事」と語った。

西山さんは「とにかく口に出すこと。私は『映画のクレジットに載りたい』と言い続けていたら、インティマシーコーディネーターとしてその夢が叶いました。“自分なんて”と思わずに、やりたいことを言葉にしていれば、誰かがきっと覚えてくれる。日本特有の謙遜はせずに、なんでもやってみてほしい」と力強いエールを贈った。

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