ワシントンで行われたAIサミットで話すアメリカのトランプ大統領(2025年7月23日)性的人身売買の容疑で起訴され、勾留中の2019年に死亡した大富豪ジェフリー・エプスタイン元被告に関連する文書をめぐり、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は7月23日、ボンディ司法長官が5月に、「トラック1台分」にもなるエプスタイン文書が存在し、その中にトランプ大統領の名前が複数回登場していると大統領本人に伝えていたと報じた。
WSJはこの情報を、トランプ政権の高官の話として伝えている。
同紙によると、ボンディ氏はホワイトハウスの定例会議で、資料には他の著名人の名前も記載されていたと大統領に明かしたという。
トランプ氏を含む数百人の詳細は「裏付けのない伝聞証拠」と位置付けられていたとされる。
司法省の発表に批判高まる
司法省は7月7日、性的人身売買の容疑で起訴されたエプスタイン元被告が、「顧客リスト」や有力者を恐喝していたとする証拠は見つからなかったとする2ページの文書を発表した。
しかし司法省の発表は、文書を公開すると大統領選挙期間中に公言していたトランプ氏の約束と矛盾するものであり、支持者からも非難が噴出した。
文書を公開するよう求める声が高まる中、WSJは17日、トランプ氏が性的なイラストや謎めいたメッセージを含む誕生日メッセージを2003年にエプスタイン元被告に送っていたと報じた。
この報道に対し、トランプ氏は手紙は偽物だと否定。記事を書いた記者と新聞社の親会社を相手取り訴訟を起こした。
ボンディ司法長官がトランプ氏の名前が含まれていると伝えていたという今回の報道についても、ホワイトハウス広報部長のスティーブン・チャン氏は、「以前の記事と同じように、ウォールストリートジャーナルのフェイクニュースだ」と、23日に同紙に語った。
しかし批判は続いており、ニューヨークのタイムズスクエアの大型スクリーンには23日、エプスタイン事件に関する資料を公開するよう求めるメッセージが表示された。
【画像】タイムズスクエアの大型スクリーンに表示された、エプスタイン文書の公開を求めるメッセージ
トランプ氏は文書は「でっちあげ」と主張
トランプ氏とエプスタイン元被告は、かつて親しい間柄だったことが知られている。トランプ氏がエプスタイン元被告の飛行機に同乗していたことは以前から報じられており、エプスタイン文書の中にトランプ氏の名前が出てきたとしても、驚く人は少ないだろう。
しかしトランプ氏は15日に、ボンディ司法長官からエプスタイン文書に自身の名前が記載されていると知らされたかを記者から尋ねられた際「ノー」と回答している。
同氏はこの時、司法長官から「非常に簡単な説明は受けた」と述べるにとどまり、文書について「でっち上げだ」と主張した。
トランプ政権は様々な方法で高まる批判を緩和しようとしている。
ブランチ司法副長官は22日、エプスタイン元被告の共犯者ギレーヌ・マクスウェル被告に面会する可能性があると発表した。
イギリス出身のソーシャライトであるマクスウェル被告は、エプスタイン元被告による未成年の性的虐待にリクルート役として関与したとして、2022年に懲役20年の刑を言い渡された。
一方、下院監視委員会は23日に、マクスウェル被告に対して召喚状を発行したと発表した。
また司法省は18日、2005年と2007年のエプスタイン元被告に関する捜査に関連した大陪審の証言記録を公開するようフロリダ州の連邦裁判所に求めたが、連邦判事は21日、要請を却下した。
この動きも事件に対する透明性を高める試みの一環と見られるが、大陪審の証言記録が公開されることはほとんどないため、トランプ政権はあらかじめ結果を予測していた可能性が高い。
ハフポストUS版の記事を翻訳・加筆しました。


