
新NISAと20代の“投資デビュー”
インフレなどから「生活防衛」をしようと、新NISAの拡充などをきっかけに、投資デビューをする人々が増えている。前編に続いて、意識調査の内容を報告する。
前編記事はこちら【ハフポスト投資1000人調査・上】新NISAで投資デビュー急増の20代は「いい企業を応援したい」。副収入を模索する姿が浮き彫りに。
ハフポスト日本版が実施したインターネット調査(20代〜50代・各世代250人、計1000人)では、20代の33%がすでに投資をしており、12%が「近いうちに始めたい」と回答。特に20代では「いい企業を応援したい」と、お金を増やす以上に社会との関わりを意識している回答が多いことがわかった。
一方、「興味があるがしていない」(31%)「するつもりはない」(23%)と未経験層もいまだ過半数を占める。他世代でも同様に、それぞれ30代(34%、11%)、40代(27%、15%)、50代(34%、13%)と、「デビュー」をまだ踏みとどまっている人々が半数近くの割合だ。その理由や、一歩踏み出すための必要な情報は何かを探った。

情報源として「SNS」を活用。20代の投資ハードルは“情報の質”?
20代が投資をしていない理由は、「難しそうだから」(60%)「元手になる資金がないから」(48%)が他世代同様、上位を占めた。しかし、「良い企業や商品を調べる方法がわからないから」(21%)は、他世代より低く、企業や商品への関心が高いことがわかる。

20代の投資情報の入手経路は「SNS」(33%)、「証券会社サイト」(31%)、「Webメディア」(26%)の順だが、「SNS」が「証券会社サイト」を上回ったのは20代のみだ。
上の世代では、新聞、テレビからの情報入手もいまだ根強い傾向がみられた。
また、20代の「どこから情報を入手すべきかわからない」(26%)という回答も目立った。他世代と比較して高い割合だ。
SNSで得た知識を頼りに投資を始める人が多い一方で、断片的な情報や“誰かの成功談”が過剰にバズる構造もあり、情報の質や信頼性にはばらつきがあるのではないだろうか。

実利だけでなく、企業のサステナビリティやESGへの取り組みに関心
投資に関して「足りない・もっと知りたい情報」については、20代の上位は「配当や株主優待」(36%)、「財務情報」(34%)、「企業の成長性」(33%)となっているが、他世代と比較して「財務情報」「企業の成長性」への関心は低い。
代わりに「企業のサステナビリティやESGへの取り組み」(29%)と回答した人の割合が50代同様高く、ソーシャルグッド志向が見てとれる。
また、全世代を通して「経営者の姿勢やパーパス」に注目する層も少なくなく、投資が単なる「利回りゲーム」ではなく、「どんな社会にお金を回すか」という選択になりつつあることを示している。

投資を通して、未来とつながる
調査から浮かび上がったのは、20代の生活防衛とソーシャルグッド志向だ。
「生活のため」という現実的な目的を持ちながらも、「いい企業を応援したい」「サステナビリティやESGに関心がある」という層が存在する。
それは、“お金をどう使うか”を通して“どんな社会を望むか”を模索している姿でもある。
しかし同時に、「難しそう」「どこから情報を入手すればよいかわからない」という声も多い。
SNS中心の情報収集では体系的な知識が得にくく、金融リテラシーの格差が広がるおそれもある。20代にとって必要なのは、投資の知識や企業情報を理解できる環境だ。
企業やメディアには、企業の財務データ、パーパス、社会貢献の実績などを積極的に伝えていく姿勢が求められる。
投資は、未来への投票でもある。その意思をどう支えられるかが、次の世代の希望につながっていく。



