今回のテーマは、「AIを『使える』よりも大事なことは?」。AIじゃなくて泉谷由梨子がポチポチと自力で執筆しています。なぜなら、思いついたことを書くのが、楽しいからなんです。
Googleが11月20日(現地時間)に発表した、新しいAI画像生成モデル「Nano Banana Pro」(Gemini 3 Pro Image)で、また、衝撃が広がりましたね。
特にニュースを扱う私たちにとって、ずっと待ち望んでいたのが、「ニュースを一枚の絵にしてくれる」技法。
複雑なニュースをいかにわかりやすく伝えるか。その観点では、インフォグラフィックや漫画の優位性は明らかです。しかし、デザインをしたり、絵を描くのは、とても時間がかかる…。私たちも取り組んではいますが、日常的にいくつも送り出すのはなかなか難しい。
今までは様々なAI製品で試してみましたが、達成できなかったこの機能が、ついに「Nano Banana Pro」では、かなり使える形で送り出されました。
ということで、今回は文字での要約ではなく、記事をインフォグラフィックにしたものを先に、ご覧いただこうと思います。
わー・・・すごい!これが、ほんの数十秒で上がってきました。

さて、この絵はこちらの記事が元になっています。
AIで業務効率化⇨さらに仕事が積まれる問題。 組織はどうすればいい?がAI活用の調査結果から見えてきた
記事は、AIで効率化したはずなのに、なぜかさらに忙しくなってない?という「あるある」から始まり、既存業務を倍量こなすことよりも、空いた時間で何をするのか?の方が、もっと大事なのではないか?と、問いかけます。
そこからさらに踏み込んで、組織として何をすれば「もっと大事なこと」に社員それぞれが時間を振り向けられるのか?ということまで、具体的に提案している記事です。
さっそく実践できる考え方が満載ではないですか。すばらしい。編集部でも来週から即実施しようと思いました。
マスコミなどに生成AIを用いたコンテンツ編集サービスを提供するStoryHubが、ユーザーであるメディアの記者・編集者に対して行ったアンケートデータからこの記事が生まれました。
そして、分析して記事を書いたのは、ハフポスト日本版の立ち上げから在籍しているメンバー、和田千才さんです。
和田さんは、現時点ではバズフィードジャパン社のテックマネージャーと、プログラマティック広告マネタイズの責任者と、なぜか、ハフポストのエディターを兼務しています。すごいマルチな才能ですね。
ハフポストよりも前は、エンジニアとして、ニュースよりももっと収益性の高い事業を手掛けていたと聞いたことがあります。
お金を稼ぐよりも大事なやりたいことのために、転職してきた。そして、最近は、国家資格キャリアコンサルタントの資格も取得して、さらに「人生のやりがい」ということを考えているそうです。
そんな和田さんの人間像を、10年近く一緒に働く中で、断片的に少しずつ私は理解していきました。
さて、この記事そのものはAIに書けるでしょうか?
「やりがいのある人生を送るために、ってところを軸にしてね」という「切り口」を設定することだけは、今のところまだ、人間の仕事です。そこに、書き手の人生の深みが関係してくるから、文章が面白くなる。
ただ、その「切り口」もいずれ、AIが完璧なものを出してくるでしょう。そんな時代になれば「AIが書ける」と言わざるを得ません。
でも、それが面白いかどうかはまた別の軸です。
私がこの記事に感じている「面白さ」は、おそらく、媒体や書き手の人間像やその人の哲学、美学を知ってることで増幅されているのだと思います。
つまり、「仕上がった文章そのもの」×「この人が考えてるんだ〜」という掛け算があって、面白さが膨らんでいるということです。
AIで、高品質な仕上がりがコモディディ化する時代には、受け手は面白さを求めて「裏側」を探索するようになります。「裏側」、つまり人間そのものにしか人間は「愛着」が感じられないからです。
皆さんが気になる、広告の文脈に話を移すと、「社会課題解決型のキャンペーンがイマイチ跳ねない」というご相談もよくいただきますが、「跳ねないパターン」の一つは、実は「仕上げがキレイすぎる」なのではないかな…?と思っています。
地味な調査や、泥臭い試行錯誤や、葛藤や、失敗して泣いたりする人間が「それでも、これをやりたい、やるべきだ」と考えている。そこにしか、やっぱり読み手との間に「愛」が生まれない。アイドルを応援するのと一緒ですね。
だから、AIで「空いた時間」に使うのは、「人間としての哲学や感性」を構築するための試行錯誤にすべきです。
そして、何ができるのか、何をしたら楽しい人生を送れるのかを考えることそのものが、人間にしかできない営みなのではないかと私は思います。

