「SNSがないと、もう生きていけない」
Instagram、X、TikTok、BeReal……Z世代のコミュニケーションツールとして日々使われているSNS。
「SNS依存」が問題視され、「SNS疲れ」や「SNS離れ」が話題になるなど、SNSとZ世代については、さまざまな意見が語られてきました。
結局、若者たちはSNSをどう使っているの? そんな疑問を抱えている人も少なくないのでは。
ハフポスト日本版では、当事者たちは一体どのようにSNSと向き合っているのか、学生インターンのリアルな本音を取材。「Z世代とSNSの関係」について3つのポイントにまとめました。
ハフポスト日本版学生インターンの二人。左:山口優太さん、右:後藤衣香さん①一番使うのはInstagram。広告はインフルエンサーのPR投稿を見ちゃう
―自己紹介をお願いします。
後藤衣香さん(以下、後藤):大学3年生の後藤衣香と申します。趣味は海外旅行です。最近、上海に行ってきてめっちゃ楽しかったです。
山口優太さん(以下、山口):こんにちは。大学4年生の山口優太です。今年の5月まで、アメリカのアリゾナ大学に交換留学していました。留学中はいろんなところを旅をして楽しかったですね。いいな、上海!
―普段、SNSは使っていますか?
二人:はい、使ってます!
―よく使うSNSは?
後藤:Instagramを一番よく使います。ご飯屋さんを調べる時もインスタだし、ほとんど情報源はインスタな感じ。あと、フィードの「おすすめ」に出てくる投稿もチェックしています。
逆にTikTokはあんまり見てなくて、フォローしているアカウントも全然ないです。
山口:僕もやっぱり一番はインスタ。投稿もするし、見る。TikTokも見ちゃう。あとXもPCで見ています。

―Instagramは、やっぱり使いやすいですか?
山口:友達もインスタで投稿するし、著名人、有名人、それにハフポストのようなニュースメディアも投稿している。だから、一つのメディアでいろんな情報をテンポよく見られるのがやっぱりいいですね。
―広告は見ますか?
後藤:あんま見ないです(笑)。あ、けど、広告っぽくないものだったら気づかずに見ているかも。
山口:僕はたまに見ますね。インスタだと、インフルエンサーのPR投稿とかは結構見ちゃうかも。あとはファッション系、旅行系とかの広告。気になってリンクに飛んじゃうこともあります。
何か調べたら、調べたことについて広告がすぐに出るから。やっぱり、つい見ちゃいますね。
②Xはニュース中心。フェイクへの意識が高い一方、フィルターバブルには葛藤も
―Xは使っていますか?
後藤:Xも使っています。やっぱり情報が早いから。気になったことがあったら、とりあえずXで調べちゃいますね。ニュースメディアをフォローすることが多いかも。
山口:ニュースメディアもいいけど……。たまにリプライ欄が分断して、荒れているのを見ると腹立っちゃいます。
―フェイクについてはどう考えていますか?
山口:気をつけていますね。やっぱり出所がわからない情報は信用できないので。フォローするアカウントも切り抜き系は避けていますね。
とくに選挙とか。正直ネット上の有象無象の情報はあてにしてないです。新聞社のオンライン版とか、信頼できるメディアを慎重に選びます。
後藤:それ、わかります。私も出所のわからない情報って怖いなって思う。
それに、SNSの情報ってスピード感があるけど、発信者の主観も混ざりやすい。だから、一つの投稿だけで判断しないで、複数の投稿を見たり、公式の情報を確認したりするようにしていますね。
Rotterdam, Netherlands – April, 2023 : Social media application on the smartphone screen―「SNSで友達づくり」ってどう思いますか? いわゆるコミュニティみたいな。
山口:僕はないですね。周りでも聞かないかも。
後藤:私もないです。だけど、韓国アイドル好き友達がいて。その子はSNSで同じ趣味の友達をつくっていたかも。周りに同じ趣味の人がいないと、SNSでつながるっていうのはめちゃくちゃある。
―フィルターバブルについては、どう考えていますか?
山口:ハっとさせられることは結構あって。僕は政治的にリベラルで、僕や周りの人の考えと世論がかけ離れていると感じることがある。選挙のたびにびっくりします。
やっぱり、Xやインスタでフォローしている人たちは同じ考えの人たちなわけで。そうすると、SNSのアルゴリズムは「自分の見たい世界」をすぐに作ってくれる。
だから、本当は良くないなと思いつつも、心地よい部分もあって。自分自身が分断の原因だなと思って葛藤していますね。
後藤:SNSって自分好みの投稿ばかり出てきて、気づいたら同じようなファッションやライフスタイルの情報ばかりになってしまう。
だから、たまにニュースとか全然違うテーマを検索したりして、自分の視野が狭くならないように心がけています。だけど、出てくる投稿は自分の好きなことばかりで。結局、放置しちゃっているかもしれないです。
③「細くてかわいい子」の投稿で病む。SNS疲れを感じつつも、使い続けちゃう
―「SNS疲れ」は感じますか?
山口:SNSは時間が溶けていくから。ただスクロールを続けて、どうでもいい情報を延々と見ちゃったときは疲れますね。あとは、他人を傷つけるような酷い投稿を見たときも。
だから、意識的に本を読むようにしたり、映画やドラマを見たり、なるべくSNSから距離を置こうと思って。スクリーンタイムも設定しているんだけど、やっぱり難しいですね。
後藤:私もずっとSNSを見ていて「めっちゃ時間が経ってる!」ってときは、自分が嫌になりますね。
山口:同じです(笑)。
後藤:虚しくなっちゃう。とくにリールとか。良くないと思いつつ、本当ずっと見ちゃう。

山口:あとは、キラキラ系も。休みの日を一人で過ごしているときに、友達みんなで遊んでいる投稿を見ると、ズシっと来るものがあって。
自分の人生が惨めに思えちゃったり。もちろん惨めじゃないんですけど。だから、BeRealをやっていました。
―「ルッキズム」は感じますか?
山口:ありますね。整形や脱毛みたいな美容系の広告が調べてもないのに、たくさん出てきて。そういうのを見ていると、自分のボディイメージが歪んでくる感覚があって。
「自分も脱毛した方がいいのかな?」みたいな。それまではまったく考えたこともなかったのに。
後藤:それで言うと、細くてかわいい子の写真がSNSで流れてきたりするとめちゃめちゃ病む。最近は、体型で病むことは減ってきたんですけど、高校のときはめちゃくちゃありました。断食したりとか。つらかった。
高校生って制服を着るから、みんな同じ格好して、足出して。いやでも足の太さに目がいっちゃって。TikTokでもダイエットのビフォーアフターの投稿とか見ちゃったり。
だけど、今は大学生になって、好きな服を自由に着て、「体型じゃないんだな」ってことに気づいて。心が軽くなりました。
―最後に、これからもSNSは使い続けますか?
山口:使い続けちゃうと思います。
後藤:嫌でもくっ付いてくるものなので、SNSは。SNSがないと、もう生きていけない感じですよね。
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今回の取材から、Z世代とSNSの「悩ましい距離感」が見えてきました。
キラキラ疲れや孤独感、時間をいたずらに溶かしてしまう虚無感、そしてフィルターバブルやルッキズム……。SNSをめぐる負の側面を認識し、程よく距離を取りたいけど難しい。そんな葛藤を抱える等身大な本音が語られました。
一方、広告においては、インフルエンサーのPR投稿への抵抗感が薄いなど、その影響力の高さが示唆されました。また、自身のフィードとのビジュアル的な親和性を広告において重視するというコメントも印象的でした。
「SNSは、嫌でもくっ付いてくるもの」という言葉の通り、今後もZ世代とSNSの関係は続いていきそうです。