法律上同性同士での結婚が認められていないのは違憲だとして、性的マイノリティ当事者が国を訴えていた「結婚の自由をすべての人に」訴訟で、東京高裁は(東亜由美裁判長)11月28日、結婚を認めていない法律上の規定を「合憲」と判断した。
判決が言い渡された後、原告は裁判所の前で「不当判決」と書かれた旗を掲げた。
東京2次訴訟の8人の原告のうちの一人である鳩貝啓美さんは、「涙が出るというよりは本当に怒りというか、呆れてしまうような気持ちを感じている」と記者団に語った。
「裁判官たちは私たちが届けた言葉を聴いていたのか、(提出した)膨大な資料をちゃんと読んでくれたのか、司法というのは私たちの味方ではなかったのか。今非常に憤っています」
「不当判決」の旗を手に思いを語る原告の鳩貝啓美さん(中央)ら同じく原告の福田理恵さんは「私たちがずっと言ってきたのは、皆さんと同じように結婚して幸せを追求する選択肢が欲しいだけ、それだけなんです。私たちは結婚して幸せを追求して、祝福を受けるに値しない人間なんですかということをずっと問い続けてきました。それに対する回答がこれなのかと、本当に怒りでいっぱいです」と言葉に悔しさをにじませた。
福田さんのパートナーの藤井美由紀さんも、涙をこらえる姿を見せ「憲法14条1項に違反しない、24条1項にも違反していないと言われ、私たちは国民として享受する幸せを貰えないんだなと思った」と語った。
「不当判決」と書かれた旗を持って涙をぬぐう原告の藤井美由紀さん(右)。左は福田理恵さんこれまで5件の高裁で違憲判決が言い渡されていた
全国6件の裁判のうち他の5件は、大阪地裁で合憲と判断されたものの、高裁ではすべて違憲判決が言い渡されていた。
28日に判決が言い渡された東京2次訴訟の判決で、東京高裁の東亜由美(ひがし・あゆみ)裁判長は、LGBT理解増進法が制定されて2年以上が経った現時点でも、国が同性カップルを家族として取り扱うための動きも見せていないことについて、「行政に責任がある」と指摘。
国賠法上の違反となる場合もあるとした一方で、憲法は同性カップルの結婚の自由は保障しているとまでは言えないなどの理由で、憲法24条1項、2項、憲法14条1項のいずれにおいても合憲と判断した。

