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Xで流れてくるこんな投稿。目にしたことがある人も多いのでは。(画像はイメージです)Xで流れてくるこんな投稿。目にしたことがある人も多いのでは。(画像はイメージです)

たまに流れてくる、気になる投稿の真相

Xを眺めていると、「本人に代わって投稿します。○○は永眠しました」といった投稿が流れてくることがあります。追悼の気持ちが湧く一方で、「どうやって遺族が本人のアカウントに入ったんだろう」と気になったことはないでしょうか。

このトピックは少し前にもX上で話題になりましたが、中にはスマートフォンの製造元やXが提供する機能を誤解している人もいるようです。そこでこの記事では、改めて本人以外の人がXに投稿する方法について整理します。

iPhoneやAndroid側が提供する遺族向けの機能

まずは、スマートフォンに「遺族向け」の仕組みがあるのかを見ていきます。

iPhoneについては、Appleが「故人アカウント管理連絡先」という制度を用意しています。これは本人が生前に登録しておくことで、遺族がAppleアカウントに紐付いた一部のデータへアクセスできる仕組みです。iCloudの写真やメモ、ファイルなどを取り出せるので、思い出の整理や手続きに役立つでしょう。

ただし、この仕組みを使っても故人のXアカウントにはログインできません。故人アカウントの制度では、iCloudに保存された各種サービスのパスワードは確認できず、iPhoneやiPad、Macのロック解除もできないからです。

Androidの場合は、Googleの「アカウント無効化管理ツール」という機能があります。一定期間ログインがないと、本人が指定した相手にデータを共有できるという仕組みで、期間や共有内容は本人が自由に設定できます。

ただ、この機能でもデバイスのロックは解除できません。さらに、Google Chromeに保存されたパスワードを見るには、Googleアカウントへのログインに加え、実際に端末のロックを開ける必要があります。つまり、この機能だけではXのログイン情報にはたどり着けません。

故人アカウント管理連絡先は、iPhoneの「設定」を開き、「(ユーザ名)」→「サインインとセキュリティ」と進むと見つかります。故人アカウント管理連絡先は、iPhoneの「設定」を開き、「(ユーザ名)」→「サインインとセキュリティ」と進むと見つかります。
Googleの「アカウント無効化管理ツール」は、WebブラウザでGoogleアカウントにログインして行います。「アカウント無効化管理ツール」で検索するとよいでしょう。Googleの「アカウント無効化管理ツール」は、WebブラウザでGoogleアカウントにログインして行います。「アカウント無効化管理ツール」で検索するとよいでしょう。

X側は遺族向けのサービスを提供している?

では、Xそのものに遺族向けの仕組みはあるのでしょうか。Xには、遺族がアカウントの閉鎖を申請できる手続きがあります。死亡証明書などの書類を提出し、審査が通ればアカウントを閉じてもらえます。

ただ、ここでできるのは「閉鎖の手続き」だけです。ログイン情報が提供されることはなく、アカウントの中身に入ることもできません。

Xには、遺族がアカウントの閉鎖を依頼する機能があります。Xのヘルプセンターを探してみましょう。Xには、遺族がアカウントの閉鎖を依頼する機能があります。Xのヘルプセンターを探してみましょう。

現実的にあり得る5つのログイン方法

ここまで見てきたように、AppleやGoogle、そしてXが提供している公式の仕組みでは、故人に代わってXへ投稿することはできません。では、実際に遺族が投稿しているケースでは、どのような状況が考えられるのでしょうか。現実的な可能性を整理しましょう。

1 デバイスのロックを解除できた場合

1つ目の可能性は、デバイスにロックがかかっていなかった、あるいは、パスコードを推測して解除できたケースです。Xのアプリはログアウトしない限りログイン状態が続くため、端末を開ければそのまま投稿できます。Webブラウザでも、ログイン状態が保持されていることがあります。

また、スマートフォンのロックは解除できなくても、自宅のPCが簡単なパスワードのままだったり、パスワードを入れずにスリープを解除できる設定になっていた場合は、そちらからアクセスできる可能性があります。

2 生前にパスワードを教えていた場合

故人があらかじめ家族に、デバイスやXのパスワードを伝えていたケースも考えられます。病気などで死期を意識していた場合、「代わりに投稿してほしい」と頼むことも十分あり得る話です。

3 生前から複数人でアカウントを運用していた場合

著名人などの場合、Xを複数人で管理しているケースがあります。事務所やマネージャーがログインできる体制になっていれば、本人の死後も投稿が続くことがあります。

4 メールアドレスを通じてパスワードを再設定できた場合

Xは登録メールアドレスにパスワード再設定用のリンクを送る仕組みがあります。遺族がそのメールアカウントにアクセスできる状況であれば、パスワードを変更してログインできる可能性があります。

ただし、Xで2段階認証を有効にしていた場合、この方法だけではログインできません。また、遺族が本人のメールアカウントを確認できるケース自体もあまり多くないでしょう。

5 専門業者に依頼してロック解除に成功した場合

世の中にはデバイスのロック解除を試みる業者が存在します。成功率は機種やOS、セキュリティ設定によって大きく変わるため確実ではありませんが、こうした方法が選ばれることもあります。

このように、故人が強固なセキュリティ設定をしていた場合、遺族がXへアクセスするのは簡単ではありません。技術的に見て、もっとも多いのは「デバイスのロックを解除できたケース」や「生前にパスワードを共有していたケース」だと考えられます。

家族が困らないよう今からできるデジタルの備え

自分が亡くなったあと、家族がデジタル情報にアクセスできずに困ってしまうケースは少なくありません。Xに限らず、スマホや写真、メールなど、残された家族が必要とする情報は意外と多いものです。家族の負担を減らすために、どんな手段で情報を残すかを考えておくと安心です。

もっとも手軽なのは、デバイスのパスワードを紙に書いて、手紙やエンディングノートと一緒に保管しておく方法です。保管場所を家族に伝えておけば、必要なときにデバイスを開けます。

デバイスの中身をすべて見られるのは抵抗がある場合は、Appleの「故人アカウント管理連絡先」やGoogleの「アカウント無効化管理ツール」を使う方法もあります。どちらも公式の機能で、生前の設定が必要です。ただし共有できる情報の範囲には制限があり、デバイスに保存されたパスワードは対象外です。パスワードも伝えたいときは、別の方法で残す必要があります。

そのほかに、民間のデジタル遺言サービスを利用するという選択肢もあります。家族にとって扱いやすい方法を選ぶことが大切です。

終活はつい先延ばしになりがちですが、元気なうちにデジタル環境を見直すだけでも家族の安心につながります。大がかりな準備でなくても、最低限の手当てをしておくと気持ちが楽になります。

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