多摩美術大学グラフィックデザイン学科の学生、櫂(@___karty)さんが投稿した「1ページの本」がSNSで大きな注目を集め、話題になっています。
投稿された写真は、分厚い木の板だけがとじられた本。背にはしっかりと装丁が施され、見た目は確かに“本”なのに、開いてみるとページは分厚い木が1枚。その木のページには、友人が淡い緑のタッチで風景画を描き、一冊の「1ページの絵本」として完成しています。
櫂さんは、この作品が生まれた背景について次のように話します。
「本の定義について考え、どこまで“本”としての要素を削れば形を保てなくなるのかを実験しました。最終的に、1ページだけをとじた形に行き着き、日本画を描く友達に絵を依頼して“1ページの絵本”へと昇華させました」
つまりこの作品は、造本の極限を探る思考実験であり、ページという概念をほぼ失いながらも“本らしさ”をとどめることを追究したプロジェクトでもあります。
素材に木を選んだ理由について尋ねると、櫂さんはこう語りました。
「1ページ=1枚であることを視覚的に分かりやすく伝えるため、厚みのある木を使いました。木と相性のよい作風をもつ友人に絵を描いてもらったこともこだわりです」
本という形式を削ぎ落とすほどに、素材の質感や描かれた絵そのものの存在感が強く立ち上がる本作。
今後の制作の展望を聞くと「とにかく実験的で面白い作品を作り続けたいです。固定観念にとらわれないアイデアを大切に、制作に励みたいと思います」と明かしました。
SNS上ではすでに1.7万もの「いいね」、を記録。本の概念を揺さぶるこの作品に、大きな反響が広がっています。
【画像】「1ページの本」の中身
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