イメージ画像東京・目黒区のトイレが、使用済みの生理用品やオムツの持ち帰りを求めていることに、SNSで波紋が広がっている。
きっかけになったのはこのトイレの利用者による投稿だ。「使用済サニタリー用品及びオムツ等については各自お持ち帰りください」という表示があったという写真を、12月8日にXに投稿した。
張り紙には「目黒区」と表示され、小さな子どもがゴミ袋を持つイラストが描かれている。
目黒区議のかいでん和弘氏はこの投稿を引用して、「目黒区立自由が丘駅公衆便所」ではないかと指摘。
サニタリーボックスが設置されていないのは、別のごみがあまりに多く捨てられるようになったからで、この問題は目黒区議会でも取り上げられた。
目黒区議会での質疑
「自由が丘駅公衆便所」にサニタリーボックスが設置されていない問題については、目黒区の斉藤優子区議(共産党)が9月24日に、決算特別委員会で質問している。
議事録によると、斉藤区議は「女子トイレにサニタリーボックスが置かれていない」という声が区民から寄せられていると伝え、「使用済みの生理用品等は持って帰れということなのか。だからといってトイレに流してしまっては、詰まってしまう」と指摘して、設置されていない理由を尋ねた。
これに対し、区の道路公園サービス事務所長は、過去に設置していた時期があったものの、生理用品だけではなく使用済みオムツやストッキング、梱包袋などが捨てられるようになり、さらには弁当がらや家庭ごみも持ち込まれるようになったと説明。
「ごみがあまりにも多くなったことから、すべてのサニタリーボックスを撤去した」と答えた。
斉藤区議は「様々な経緯はある」としつつ、「サニタリーボックスがあると思ってトイレを利用した人が、持ち帰れずに使用済みの生理用品を置いていくケースもある。衛生面からも、使用済み生理用品だけ捨てられる、手をかざして小さな扉が開閉するサニタリーボックスを設置してはどうか」と尋ねた。
この要望に対し、道路公園サービス事務所長は、手をかざして小さな扉が開閉するタイプのサニタリーボックスは、高額で定期的なメンテナンスも必要であるほか、生理用品以外のゴミを捨てようとして壊れる恐れもあるため設置は困難だと回答。
サニタリーボックスを設置しない方針は変わらないとした上で、今後は持ち帰りを促す掲示をすると述べている。
ネット上にはさまざまな声
「自由が丘駅公衆便所」は2024〜25年にかけて改修工事を行い、リニューアルした。
改修後は、明るくきれいになった一方で、サニタリーボックスがないことへの驚きや、使用済みナプキンやその他のゴミが放置されている不衛生さを嘆く声もネット上に投稿されていた。
SNSには、生理用品以外のゴミを捨てるマナーの悪さを問題視し、「施設管理者がサニタリーボックス置きたくない気持ちもわかる」という意見も投稿されている。
その一方で、「使用済みの生理用品持ち帰れということ?」「急に持ち帰れと言われたら困る」「ゴミ箱を排除してもゴミが放置されてしまうくらいなら、置いた方が良いと思うが難しいのか」などの声が寄せられている。
トイレにサニタリーボックスが設置されていないことは、生理用品の交換を我慢する原因になりかねない。生理用品を長時間交換しないと感染症を引き起こす可能性もあるなど、衛生面や健康面での問題が生じる恐れもある。
サニタリーボックスが置かれているのは、女性やバリアフリートイレだけではない。尿漏れパッドを使用する人などが安心して外出できる環境を整えるため、男性トイレにもサニタリーボックスを置く動きがある。

