12月8日午後11時15分ごろに、青森県東方沖を震源とするモーメントマグニチュード(Mw)7.4の地震が発生したことを受け、気象庁と内閣府は9日午前2時、初となる「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表した。
同庁は、北海道の根室沖から東北地方の三陸沖にかけての巨大地震の想定震源域で、大規模地震が発生する可能性が高まっていると考えられるとして、注意を呼びかけている。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」とはどんな内容なのか?対象地域や被害想定などをまとめた。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」とは?
日本海溝・千島海溝沿いでは、モーメントマグニチュード(Mw)7クラスの地震発生後、新たにMw8クラス以上の大規模地震が発生した事例が過去に確認されている。
先に発生した地震は「先発地震」、その後に引き続いて発生する地震は「後発地震」と呼ばれる。後発地震の発生確率は低いものの、内閣府は「発生した場合には北海道から千葉県にかけての広い範囲で甚大な被害が想定されます」と説明している。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の想定震源域とその周辺でMw7以上の地震が発生した場合に発表される。大地震の発生可能性が平時に比べて相対的に高まっている状況から、後発地震への注意を促し、被害を軽減することを目的としている。2022年12月から運用が始まり、今回の地震で初めて発表された。
内閣府は、「情報が発信された際には、北海道から千葉県にかけての太平洋側で、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震で強い揺れや高い津波が想定される地域にお住いの方は、後発地震の発生に備えた防災対応をとりましょう」と呼びかけている。
一方で留意事項として、同注意情報が発信されたら後発地震が必ず発生するわけではないことや、情報発信の対象とする地震の発生エリア(北海道の根室沖から岩手県の三陸沖)の外側でも、先発地震が発生した周辺では大規模地震が発生する可能性があることなどを挙げている。
どの地域が対象となるのか?内閣府によると、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の発信に伴い防災対応をとるべきエリアは、北海道、青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の1道6県内の市町村のうち、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震で震度6弱以上、津波高3m以上となる地域を基本としているという。
ただ、内閣府は「防災対応をとるべきエリア以外であっても、強い揺れや高い津波が生じる可能性はありますので、情報が発信された際には、平時からの地震への備えを再確認するなど、個々の状況に応じて後発地震に備えた対応をとることが重要です」と注意喚起している。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の発信時に防災対応をとるべき地域(内閣府の防災情報のページより)最悪の場合、死者は19万9000人に
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」に関するポスター
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」に関するポスター日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震が発生した場合、被害はどれほどの規模になるのか。
内閣府と気象庁のリーフレットによると、M9クラスの巨大地震が発生した場合、最悪のケースで死者数は約19万9000人に上ると想定されている。
また、津波から逃れた後には低体温症による死亡リスクが高まると警鐘を鳴らした上で、「避難意識の改善や防寒備品の準備など、事前の備えで被害を約8割低減」できるとも記している。
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表された後の対応例として、気象庁などは▽すぐに避難できる態勢での就寝▽非常持ち出し品の常時携帯▽揺れによる建物の倒壊や土砂災害への注意▽緊急情報の取得体制の確保━などを挙げている。


