カナダ出身の俳優、シェイ・ミッチェルさんカナダ出身の俳優シェイ・ミッチェルさんが、「3歳以上*」の幼い子どもを対象にしたスキンケアブランドを立ち上げ、批判の声を浴びている。
「Rini(リニ)」は、パンダや子犬など動物をモチーフにした顔用のシートマスクなどを中心とした子ども向けスキンケアブランド。11月初旬にローンチしたばかりだ。
しかしその直後から、保護者や専門家から批判が相次ぎ、「子どもが学校に通う年齢になる前から、美容消費を当たり前にしている」などの懸念の声が上がっている。
*2026年発売予定のバスケア商品は3歳以上、フェイスマスクは4歳以上が対象となっている。
過熱する子ども達の“スキンケア熱”
近年、ティーンやそれよりさらに幼い子どもたちまでがスキンケア、特に高級ブランド品への関心を示す現象が広まっている。海外で人気のセレクトコスメストア「Sephora(セフォラ)」に夢中になる子ども達を指す「セフォラキッズ」と言う言葉まで生まれているほどだ。
インフルエンサーカルチャーやSNS、広告などの影響でこの潮流が加速し、5歳くらいの子どもでも、誕生日プレゼントにスキンケア商品を欲しがることもあるという。
この動きについて、心理学者のエレノア・チャットバーン博士はBBCに対し、SNSに溢れる、フィルターや編集で作られた“完璧な肌”のイメージを追い求めることが、「外見への不安」や、重症化すれば「身体醜形障害」につながる可能性があると警告している。
きっかけは、自分の真似をしたがった娘
2人の娘がいるミッチェルさんはRiniを立ち上げた理由について、自身のセルフケア習慣を娘が真似し、同じフェイスマスクをつけたがったことがきっかけだと語っている。
そこで子ども用フェイスマスクをネットで探したところ、「成分がひどくて、子どもには使うべきではないものばかりだった」と振り返った。
Rini公式サイトによると、1枚約6ドル(約940円)で販売されているこのマスクは4歳以上が対象で、成分には「白キクラゲ、β-グルカン、ビタミンE」が含まれている。
商品説明では、マスクは「遊んだ後や、日差しを浴びた後、いつでも肌を落ち着かせて保湿する」と説明し、「毎日使っても安全で優しい」と謳っている。
幼い頃から「美容消費を標準化」しているとの批判も
皮膚科医のエイミー・パーキンス医師はSNSで、商品が「自信」「創造性」「セルフケア」として宣伝されていることに疑問を呈し、「子どもにスキンケアルーティンは必要ない。必要なのは自由に遊ぶことと、肌に“問題がある”と思わせる美容広告から守ってくれる大人です」と述べた。
さらに「美容業界はすで10歳前後の子ども達を取り込んでいる。今度は幼児期にまで及び、子どもが学校に通う以前から美容消費を当たり前にしてしまっている。これはスキンケアではなく社会的刷り込みです。子どもは子どもでいさせるべき」と続けた。
SNSでは、育児インフルエンサーのロージー・デイビッドソンが「ただただ恐ろしい」とコメント。ほかにも、「なぜ幼児にフェイスマスクとスキンケアが必要なの?鏡の前で自分の顔を見つめるより、遊んで汚れて、肌なんて気にしない年齢でしょう。不要すぎる」「いろんな意味で鈍すぎる」など批判が寄せられている。
一方で、ブランドを擁護する意見もある。「文句を言ってる人の8割の人は、自分も子どものころおもちゃのメイクセットを持ってたはず。落ち着いて」「うちの娘も毎日私のメイクやスキンケアを真似したがって大変!安全な成分で一緒に楽しめるなら最高。しかもマスクが可愛い!」などの肯定的な意見も上がっている。
批判の声を受け、ミッチェルさんは朝番組「Today」で議論に言及。批判の声には少し驚いたものの、子どもに関わることなら、どんなことでも議論があるべきだと思うと述べた。また、このマスクは“美容目的”のものではないと強調し、「ただ、ひんやりした感覚や、一緒に共有する時間を楽しむだけなんです」と語った。
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集・加筆しました。


