兵庫教育大学教授で、NextUD LAB.(ネクスト・ユーディー・ラボ)を主宰する小川修史さん(@ogatti21)がXに投稿したエピソードが、4.6万件の「いいね」を集め、話題となっています。
小川さんが投稿したのは、バス停で隣に座った女性から「おしゃれね」と服を褒められたことをきっかけに交わされた会話。「大学で教員をしていて、障害の有無に関わらず楽しめるデザインを研究しています」と伝えたところ、女性は「実は亡くなった父に障害があって、おしゃれが大好きでした。素敵な時代ですね。応援しています」と話してくれたといいます。
小川さんはこのエピソードとともに、車椅子に乗った男性が洗練された装いを身にまとう写真を投稿。障害の有無に関わらず「心が躍るデザイン」をテーマに、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れたファッションで、小川さんが日々研究を続けているテーマでもあります。
この投稿には、「素敵な言葉。一期一会ですね」「これこそファッションが持つ力と可能性」「目頭が熱くなった」「私も応援したい」といった声が寄せられ、多くの共感とともに拡散されました。
小川さんに投稿の背景や、「NextUD」という考え方について聞きました。
──バス停でのやりとりは、多くの人の心に残るものだったように思います。小川さんは当時、どのような思いを抱かれましたか。
時代が変わるパラダイムの一端に関わらせていただいていることに、嬉しさを感じました。
私たちの取り組みは、もしかすると小さな一歩に過ぎないのかもしれません。実際、活動を続ける中で、不安や葛藤を覚えることもあります。それでも、その歩みが誰かの心を動かし、感動を生む瞬間に立ち会えたことで、私たち自身が大きな勇気をもらいました。
こうした小さな変化の積み重ねが、やがて大きな流れになっていくと信じています。
──小川さんが主宰する研究室「NextUD LAB.」では、「障害の有無に関わらず、心が躍るデザイン」を研究されています。そこではファッションのAccessibility(アクセシビリティ)やUsability(使いやすさ)に加え、「Enjoyability(楽しさ・幸福感)」を重視されています。これにはどのような意味があるのでしょうか。
楽しさや幸福感は、人生において欠かせない要素だと考えています。たとえAccessibilityやUsabilityが向上しても、その先に楽しさがなければ、価値は十分に発揮されません。
実際に障害のある方のお話をうかがうと、「おしゃれをしたい」「楽しみたい」という声を多く耳にします。AccessibilityやUsabilityは、Enjoyabilityにたどり着くための大切な基盤。しかし裏を返せば、Enjoyabilityという目的がなければ、それらの意味も薄れてしまうのではないでしょうか。
従来のユニバーサルデザインにも、楽しさにつながる要素は含まれていましたが、どうしても機能面が中心に語られがちでした。そこで私たちは、Enjoyabilityをより前面に押し出し、次世代のユニバーサルデザイン「NextUD」として再定義しました。
──投稿された写真からはは、まさに「機能性」だけでなく「美しさ」もきちんと共存している印象を受けました。デザインを考える際、そしてご自身で服を選ぶ際に大切にしている視点があれば教えてください。
私たちは、障害のある方にとっての「機能性」を、単なる利便性ではなく「可能性をひらく鍵」と捉えています。
日常生活の中で直面する困難は、障害のない人には想像しにくいものです。しかし、その困難を解消するためのデザインには、これまで見過ごされてきた多くの可能性が秘められています。それを「美しさ」という視点で捉え直すことで、デザインは新たな価値へと昇華すると考えています。
私自身も、「機能性から生まれる美しさ」を意識しながら、服を選び、身につけています。
──SNSでは大きな反響を、どのように受け止めていますか。また、ハフポストの読者に伝えたいことがあれば教えてください。
私たちが手がけた服や、NextUDの概念が多くの方に届き、広がっていくことを、とても嬉しく思っています。国内にとどまらず、世界に向けてユニバーサルデザインの魅力を発信していきたいと考えています。
バス停で隣にいた女性が語ってくれた思い出のように、時代は時に、思いがけない「ちょっとしたきっかけ」から動き始めます。そして、その流れは、私たち自身の手で変えていくこともできる。
NextUDの理念を共有し、皆さんとともに未来を形づくっていけたら嬉しいです。

