バスの車内で黄色い手すりにしがみつく、一匹のコアラ…?
オーストラリア・ブリスベンで起きたある珍事件が、話題を呼んでいる。
米誌PeopleとABC Newsによると12月13日夜、市街地を走行していた市バスの運転手が、一匹のコアラが車を避けながら動き回り、街灯によじ登るのを目撃した。
交通量の多い道路で、街灯から落下するのを心配した運転手は、コアラを安全な場所へ移すことを決断。薄手のジャケットでコアラの頭部を覆い、車内へと迎え入れた。コアラはバスの黄色い手すりにつかまりながら、束の間の「乗車体験」を楽しんでいたという。
このコアラは「ペリ」と名付けられ、通報を受けたコアラ救護団体「コアラ・レスキュー・ブリスベン・サウス」に引き取られた。その後、野生動物病院で検査を受け、健康状態に問題がないことが確認された。
思いがけずバスの「乗客」となったペリは、15日にセブン・ヒルズ・ブッシュランド保護区へと無事に戻されたという。
運転手の一連の対応について、同団体はFacebookの投稿で「ヒーロー」と称え、「立ち止まって助けてくれたバス運転手さんに心から感謝します」とお礼を述べた。
一方で「コアラは非常に危険な爪を持ち、噛むこともある」といい、訓練を受けていない人がコアラに触れると深刻なけがにつながる可能性があるため、推奨しないとも注意喚起している。
もしケガをしている可能性のあるコアラを見つけたら、救助が到着するまで無理に触れず、タオルをかけた洗濯かごなどを使って安全な場所にとどめておくことを提案している。
世界自然保護基金(WWF)によると、コアラは毛皮目的で狩猟された結果、1900年代に個体数が大幅に減少。現在では狩猟は行われていないものの、森林伐採や交通事故などさまざまな脅威に直面しており、2022年にはオーストラリア首都特別地域などで絶滅危惧種に指定された。

