「静かな解雇」とは?※2025年にハフポスト日本版で反響の大きかった記事をご紹介しています。(初出:4月23日)
キャリアアップするには今の仕事を辞めて転職するしかない、と感じているなら…。もしかしたらあなたは、上司から「静かな解雇」をされているかもしれない。
ビジネス向けSNS「LinkedIn」が2023年に行った世論調査によると、「静かな解雇」とは雇用主が何年も昇給や昇進を与えず、経験が浅くてもできるような簡単なタスクを与えたり、責任のある仕事の機会を意図的に取り下げたりすることだという。
同調査には20万人以上が参加し、そのうち48%が「同僚が静かな解雇をされるのを目撃したことがある」と答えている。
「静かな解雇」は数年前にトレンドとなった「静かな退職」とは別物だ。後者は、従業員が職場で最低限の仕事はするが、それ以上は頑張らないことを自主的に選ぶことを言うが、「静かな解雇」の主導権を握るのは雇用主側だ。
場合によっては「静かな解雇」が「静かな退職」を引き起こすこともある。自動化ツールZapierの人事担当者ボニー・ディルバー氏によると、キャリアの成長を支援しない環境が「静かな退職」の原因になることもあるという。
「静かな退職も、従業員ではなく雇用主側から始まることが多いのです。雇用主が従業員に対して本気で向き合わず、成長を支援しないことにより、気持ちが離れていってしまうのです」
雇用主が従業員に対し、「社内で将来性がなく、他を探すべきだ」というサインを示す手段は、静かで巧妙な場合もあれば、はっきりと明確な時もある。
「静かな解雇はもちろん存在します。幹部のお気に入りがあなたの代わりに昇進するなど、政治的な決定であることもあります」とハーバード大学でキャリアアドバイザーを務めるゴリック・ン氏は話す。
「もしくは、上司があなたにアドバイスをしても業績に改善が見られず、諦めた可能性もあります」
以下に、「静かな解雇」のサインをいくつか紹介する。あなたも身に覚えがあるかもしれない…
1. 上司に重要な会話を避けられている
もしあなたが上司に会話を避けられていると感じているなら、それは「静かな解雇」の前兆かもしれないとン氏は話す。
「上司は確かに忙しいかもしれないですが、『話すと気まずくなるから隠れておこう』と思っている可能性もあります」
ディルバー氏はLinkedInで人気となった投稿で、ミーティングを何度も移動したりキャンセルしたりすることは、静かな解雇でよく起こることだと述べている。
「マネージャーのもっとも重要な仕事は、チームの従業員の幸せと成功を支援し、それを妨げる障害を取り除くことです。もし上司があなたの仕事を理解するために時間を割いていないとしたら、それは問題です」
また、「上司があなたに将来性も見出していないのか、もしくは上司やリーダーが部下のケアをすることを支援しない職場なのか…、どちらにせよ、そこはあなたが成長し活躍できる環境ではないでしょう」と加えた。
2. 欲しかったチャンスに他のチームメンバーが指名される
静かな解雇のもう1つの兆候は、上司があなたではなく他のチームメンバーに重要プロジェクトを任せることだとン氏は話す。
「以前はある仕事をあなたに与えると約束していた上司が、突然それを他の人に任命したりする時です。実際に気が変わったのかもしれませんが、『あなたを信用していない。この重要な仕事は必ず成功させてくれるであろう人に任命する』と思っているかもしれません」
ン氏は、同僚に上司から同じような対応を受けたことがあるかを聞いてみるよう勧める。そして、どうすればそのような仕事を任命されるようになるのかを、上司と話し合うためのミーティングを設定しよう。
「状況を解決するための第一歩は状況を診断することです。上司の行動が変わったのは本当に『静かな解雇』なのか、それとも悲観的になり深読みしすぎているのか…」
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3. 同僚が昇進・昇給しているのに自分はしていない理由を上司が明確に説明できない
重要なキャリアの話の場にたとえ上司が同席していたとしても、あなたがさらに成功するために何が必要かを明確に説明されないなら、「静かな解雇」をされているかもしれない。
他の人はもっと昇給しているのに自分は少ししかもらえなかったり、同僚と同じように頑張っているのに、常に昇進を見送られたりするかもしれない、とディルバー氏は説明。そういった際には、更なる昇給や昇進を得るためには何が求められているのかを、上司と直接会話することを推奨する。
「もし上司がそれを説明できないなら、その職場はあなたが成長やチャンスを得られる場所ではないと思います。雇用主はそれを積極的に伝えるべきです」
「静かな解雇」とは?4. 無理な「業績改善プログラム」を設定される
業績改善プログラム(Performance Improvement Plan、略してPIP)はときに、従業員の成長を促すのに重要なツールとなる。しかし、あなたが有能で、PIPが主観的なフィードバックにのみ基づいている場合、それは「あなたに辞めてほしい」という意味になりうる。
PIPを設定されることは、もっとも「静か」ではない解雇の兆候だ。あなたの改善目標を説明する時でさえ、雇用主はその真意を正直に話さないかもしれない。
グループ・コーチング・プログラム「Real You Leadership」の創設者であるナディア・デ・アラ氏は以前ハフポストUS版に対し、「行動計画が明らかに期限内に達成できそうもない内容であったり、上司や関係者があなたが目標を達成するためのサポートをしてくれなかったりする場合、PIPはあなたの解雇を目的としているかもしれません」と述べた。
5. 相談なく、仕事量や仕事への期待値が変更される
キャリアコーチのジャスミン・エスカレラ氏は、あなたへの相談や、肩書きや給与の変更もないまま、雇用主の期待値が変わることも「静かな解雇」のサインの1つだという。
エスカレラ氏は同僚がこのようにして仕事量を減らされ、他の州に異動させられたのを目撃したという。
「雇用主は彼女に、もしこの仕事を続けたいならニューヨーク州からカリフォルニア州へ異動するしかないと言いました。引越しなどの手当は何も提示されませんでした。同じ仕事ですが降格され、まったく違う州に行きました」
大きな変化の後、条件の再交渉の場が設けられない場合は「現状を受け入れるか、去るか」という意味だという。
「組織は、私たちがお金や給料を必要としているという事実を利用しています。だからこんなことができるのです。もしあなたが辞めても誰かを見つけられる、と自分が優位な立場にあると感じているのです」
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。


