染谷俊之と小西詠斗が主演を務める『UNREAL‐不条理雑貨店‐』。ドラマ舞台連動企画として、2025年10月・11月にドラマ版が放送され、その不思議な世界観で視聴者を魅了した。そして、ドラマのその後の展開にオリジナルストーリーを取り入れた舞台版が2026年1月16日(金)品川プリンスホテル クラブexにて開幕した。初日前に行われた公開ゲネプロの様子をレポートする。
片山愁(コミック)、ヨダカケイ(原作)による『不条理雑貨店 UNREAL』(隔月刊「ウィングス」連載中/新書館)を原作とした本作は、人の「想い」を売っている不思議な雑貨店を舞台に、店にひきつけられるように訪れる客が不思議な運命をたどる姿と、それを冷たい眼差しで見つめる雑貨店「UNREAL」店主の姿が描かれる。舞台版では、ドラマのその後となる、宗哉がUNREALの店主になり、ヤギオが謎の鍵を手にどこかで目を覚ました後の物語が綴られる。
演出を務めるのは、舞台「チョコレート戦争~a tale of the truth~」や『舞台 幕が上がる』など数々の人気作を手掛けてきた久保田唱。ドラマに引き続き、ヤギオ(柳庭音矢)役を染谷俊之、濱家宗哉役を小西詠斗、黒澤羊時役を細貝圭、鮭とば役を世古口凌、水門朝也役を新正俊が演じる。また、舞台版から登場する的羽廻を美弥るりかが務める。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
物語は、ヤギオが謎の鍵の声を聞く場面から始まる。ヤギオはこの鍵が過去や未来のUNREALへと繋がるドアの鍵であることを知り、UNREALの店主となった宗哉のために過去への旅を続ける。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
一方、宗哉は店主を続けていたが、それはこれ以上の犠牲を出さないため。鮭とばと対立しながら、ヤギオとの再会を願っていた。
舞台では、この2つの世界が交互に描かれていき、その中でUNREALの過去の店主である的羽廻や黒澤羊時が店主になったきっかけ、鮭とばの正体と目的といった謎が明かされていく。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
本作が上演されている品川プリンス クラブeXは、円形劇場だ。客席は、ステージの3面を取り囲むように設置されている。客席の真ん中にある円形のステージは、盆が周ることで、さまざまな表情を見せる。ステージ後方には、一段高く作られたステージもあり、キャストたちはそれらステージを行き来しながら芝居を見せた。さらに、客席通路も積極的に使い、クラブeXという劇場ならではの演出がなされていた。こうしたステージ配置や演出によって、より没入感を味わえた。まるで本当にUNREALの世界に入り込んだような、ダークでファンタジックな空気が会場全体を取り囲んでいた。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
舞台版で印象深かったのは、やはりヤギオと宗哉が互いに相手を思いやる気持ちだ。ドラマ版でも描かれた2人の関係だが、舞台で、目の前で繰り広げられる生の芝居によって、よりその想いの強さや互いを思う暖かい気持ちが心の中にスッと入ってくる感覚があった。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
また、舞台版から登場する美弥の存在感も素晴らしい。的羽廻は本作のキーとなる人物だ。ある場面では、廻の心の叫びが響き渡り、その悲痛な想いが会場の空気を震わせた。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
そのほかにも、黒澤の悲しい過去と彼の苦しみなど、心に迫るエピソードが次々と綴られていく。“デイドリーム・ファンタジー”と銘打たれた本作だが、描かれているのは人間らしい心だ。1幕約100分という舞台としては短い時間の中で、人との出会い、生きることと死ぬことを改めて感じさせてくれるストーリーが展開されていた。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
ドラマ舞台の連動企画とあって、冒頭に細かなキャラクター説明やここに至るまでのお話が提示されるわけではないので、ドラマを未履修の場合はぜひドラマを観てから舞台に足を運んでもらいたいが、ドラマを観ていなくてもキャラクターの関係性さえ把握していれば舞台の世界にどっぷりと浸かれる。感動的な、ドラマ舞台連動企画の本当のラストをじっくりと味わってほしい。
取材・文・撮影=嶋田真己
キャストコメントは次のページへ
オフィシャルコメント
――公開ゲネプロを終え、本番を目前に迎えての心境を教えてください。
染谷:午前中に一部の電車が止まってしまって、キャストもスタッフの皆も来るのも大変だった中でゲネプロが始まったんですけれども、無事に終わることができました。まだまだ修正するところはあるので、修正するところは修正して、しっかりしたものを皆様にお届けしたいなと思います。
小西:ゲネプロを終えて、自分の中では全体を通してすごくいいゲネプロになったんじゃないかなと思うので、今はすごくワクワクしています。あとはこのまま気負わず同じものをお届けするだけかなと思っています。きっとテレビドラマ版から観てくださってる方が多いと思うので、この舞台での物語の結末を劇場で直接お届けすることが出来て、すごく嬉しいなと思います。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
細貝:1ヶ月ちょっとの稽古を重ねて、今回の舞台版ということで、原作とはまた違う「UNREAL」の完結編を皆様にお観せできるということを嬉しく思います。初めて観られる皆様も、もちろん楽しんでいただけますし、この空間を一緒に共有できることを嬉しく思います。
世古口:いよいよ始まるんだっていう気持ちですね。やっぱりドラマから連動企画で、自分の気持ちの中では、ずっと終わってないっていう感覚を持ってたので、ようやく半年以上かけて物語が終わりに近づくなっていう瞬間を今感じてますね。
新:ドラマの後の話ということなので、僕自身も最初ドラマの台本を読ませていただいて、そこからどうなっていくのかっていうのは、ドラマの撮影中ずっと楽しみにしてたのが、やっと今日開幕ということで、本当にもう楽しみですね。お客様のリアクションがどうなっていくのかを生で体感できるっていうのが舞台の醍醐味だと思うので、お客さんのリアクションが楽しみです。
美弥:ゲネプロでは、ようやく、流れというか、体にこう初めて湧き出る感情があったりとかして。少し観てくださっている方々の姿が見えた時に、あ、なんだかいつもと違うエネルギーが湧いてきて、稽古場とはまた違う、感覚、感触とか感情が生まれたなという感じがしました。きっと初日が開けたら、もっとたくさんの方が来てくださると思うので、また違う景色と感触を役を通じて、もっと違うものが生まれてくるんじゃないかなと思って楽しみにしています。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
――座組の雰囲気はいかがですか。また稽古場でのエピソードなどありましたら教えてください。
染谷:とっても素敵な座組です。ドラマから引き続きのメンバーとは絆ができていますし、舞台からのキャストの方が混ざり合ってとってもいい雰囲気じゃないかなって思います。本番会場では、中央ステージが回転するんですけど、稽古場では中央ステージが回転しないので、稽古中役者がカニのように横歩きで動くしかないんです。だからすごい真面目なシーンでも、端から見るとチョコチョコ動くところがすごく面白かったです。
小西:心強い新たなキャストの方々が加わって、テレビドラマ版ではあまり掘り下げられなかったキャラクターも今回すごく掘り下げられますし、感動してグッと引き込まれるようなシーンがたくさんあるので、すごく注目していただきたいですね。稽古場のエピソードだと、ヤギオ役の染谷さんがサンダルで演じるので、みんなで「染谷さんの足を踏まないように気をつけよう」と心掛けていました。僕は革靴なので、もし踏んだら大変なことになると思います。染谷さんからは『3回までなら許す』と言ってくれていて、幸いまだ一度も踏んでいませんが、千秋楽まで絶対に踏まないよう演じたいです。
細貝:染ちゃん(染谷俊之)を筆頭にみんな良い雰囲気で、今日まで臨んできました。今回は物語の重要な要素でもあるタイムリープや、僕は実際に絡む人が少ないですけど、各々で与えられた役を全うして、臨めていけるのではないかと思います。稽古場のエピソードだと、美弥ちゃんが意外とおっちょこちょいで、しっかりしてそうなイメージとのギャップがすごい素敵です。
世古口:舞台から加わるキャラクターやスタッフさんが加わり、また元のドラマのスタッフさんがいてくれたりもして、全体的に人数が増えたので、空気感は違っていて、すごく明るい現場でしたね。「UNREAL」の話自体は明るいお話ではないかもしれないんですけど、みんなで物を作っていくっていうことで、各々話し合ったり、細かいところを突き詰めていったので、自然とコミュニケーションが生まれるような現場になっていたと思います。めちゃくちゃいいチームワークでした。
新:稽古場の雰囲気はすごいいいと思います。やっぱりドラマからのメンバーはもうスッと役になれてたんじゃないかなという風に思いますし、舞台から参加してくださってる皆さんも役とマッチしていらっしゃったと思います。すごく仲のいい座組です」
美弥:染谷くんは前に一度共演したことがあったので、すごく安心感があるというか。彼はすごくしっかりしていて、言葉は多くなくとも背中で座長をみせるタイプと言いますか。なんか素敵な座長さんだなという風にも思います。あとやっぱり鮭とばの世古口くんはやっぱり絡みも多いので、最近ようやく少しお話しできるようになったりとかしてますけど。役的にはすごく孤独を感じる役ではあるので、そこまであんまり皆さんとイエーイってなってから出番に行くっていう役でもなく、結構一人で集中していないとなかなか難しい役だなと思っているので。ここから千秋楽まで、少しでも皆さんとこういう休憩時間とかにお話できたらいいなとは思っています。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
――テレビドラマをご覧になられた方と、舞台で初めて「UNREAL」をご覧になられる方に、それぞれ本作の観どころや注目ポイントを教えてください。
染谷:ドラマから観てくださった方は、ヤギオが最後どういう結末を迎えるのかというのをぜひ楽しみにしていただきつつ、『このキャラクター、実はこう思っていたんだ』というところも描かれているので、さらに楽しんでいただけると思います。舞台から観られる方は、ぜひ生でこの「UNREAL」というアンティーク屋さんに入ってきたかのような気分を味わってもらいたいです。何故このキャラクターたちはこんな強い思いを持っているのかというのを疑問に持っていただき、舞台を観終わった後に、配信等でテレビドラマを観て、『だからこうだったのか』と理解するのも楽しいと思うので、是非テレビドラマの方も楽しんでいただけたらと思います。
小西:一応ドラマでは完結しているんですけど、本当に謎が散りばめられたまま終わったので、きっとドラマを観てくださった方々は、すごく気になっていると思います。今回その謎が全て明かされるので、余すことなく結末を楽しんでいただきたいですし、個人的には、細貝さん演じる黒澤さんが、今回すごく掘り下げられていて、きっと黒澤を好きになってしまうくらい感動するシーンがあるので。ぜひ注目してほしいです。舞台版から観てくださる方ももちろん楽しめます。世界観がすごく独特で素敵で、新鮮な気持ちで観ることが出来ると思います。
細貝:ドラマを見た方々は、この世界観のラストをちゃんと皆様にお届けできることが観どころだと思いますし、実際初めて観る方は、「UNREAL」という特殊な世界に最初から没入できるかどうかというのはありますが、人間像が分かった中で、各キャラクターの心の中の掘り下げや葛藤する部分などを注目して観ていただけたら、よりこの世界観がわかると思います。
世古口:ドラマから引き続き観に来てくださる方は、もちろん物語は知ってる上での舞台観劇だと思うので、より一層UNREALの世界観やどういう終わり方をするのかなと期待を膨らませて観に来てくれる方が多いと思うんです。ぜび率直にそのまま楽しんでいただけたらいいなと。舞台から初めて観に来られる方でも観やすくなっていると思います。物語を丁寧に描いているので、何の情報がなくても、照明や音響などスタッフさんたちの力で、こういう世界なんだっていうのが分かりやすく伝わると思います。物語を全然知らない方でもぜひ一回足を運んでみていただきたいなと!
新:ドラマをご覧になって来てくださる皆様への観どころとしては、やっぱりドラマでの伏線があったと思うので、そこを舞台で回収して、すっきり結末を迎えられるところが観どころなんじゃないかなというふうに思います。舞台からご覧くださる方も、空間の綺麗さ、美しさという部分が舞台としての観どころの一つでもあると思います。空間、照明、音響全てそうですし、二つの世界線で動いているのが、そのまま同時に観れるっていうのも舞台の楽しみの一つだと思うので、そういう部分も楽しみにしていただけたら嬉しいですね。それぞれのキャラクター一人一人の心情も濃く表現されているので、そこも注目していただけたらなと思います。
美弥:ドラマを観ていた方は、やっぱ続きが気になっていらっしゃると思うので、その後のヤギオと宗哉のたどり着く場所が感じられると思いますし、私が新登場することで、また新たに鮭とばとの関係だったり、宗哉が今どうしていたかとか、こんなことになっていたのかという感触で観ていただけると思います。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
――公演を楽しみにされている方に向けて、メッセージをお願いします。
染谷:「UNREAL」にふと足を踏み入れたかのような没入感を味わっていただきたいと思います。この舞台とドラマ連動企画はすごく贅沢だと思っていて、ぜひ結末を皆さん生で観届けていただけたらと思いますし、劇場に来られない方は生配信を観ていただけたらと思います。
小西:スタッフの皆さんとともに手を取り合って、一つも手を抜かず、皆様に素晴らしいものをお届けしていきますので。ぜひ、「UNREAL」の世界に飛び込んで楽しんでいただけると嬉しく思います。
細貝:ほとんどのキャストが2026年最初の舞台で、きっと今年初観劇の方々も多いとは思います。新年のスタートを僕たちと一緒に共有できることを嬉しく思いますし、お互い2026年いいスタートを切りましょう。
世古口:いよいよ、あの「UNREAL-不条理雑貨店-」の舞台が始まるんですけど、ほんと一丸となってグッとまとまって作り上げたので、それが最後、皆さんにどう届くかは本当に皆さん次第ですね。僕たちも頑張って届けますけど、こういう物語だったんだと皆さんの中で落とし込んでいただけるような結末をお届けできたらなと思っています。ぜひ楽しみに観に来ていただきたいです。
新:舞台とドラマのメディアミックスということで、ドラマはドラマでしか味わえない表現方法やいろんな展開の仕方があって、舞台は舞台なりの表現があって、その違いを楽しんでいただけたらなというふうにも思います。本当に各キャラクターの関係性だったり、心情だったり、すごく濃く生で体感できるのも舞台の良さだと思うので、ぜひご覧ください!
美弥:今回のような円形の劇場でいつもと違ったご観劇になるかなと思いますし、今年初めてのご観劇って方も多いんじゃないかなと思います。ぜひ、この「UNREAL」という不思議な世界に没入していただいて、私たちの行く末を観届けていただけたらなと思います。私も作品にとってキーとなる役なので、大切に演じていきたいなと思っております。
舞台『UNREAL‐不条理雑貨店‐』公開ゲネプロ
舞台『UNREAL-不条理雑貨店-』は1月26日(月)まで上演。また1月25日(日)18:00公演と1月26日(月)13:00公演の生配信が決定している。