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衆院選/発言する高市首相衆院選/発言する高市首相

2月8日投開票の衆院選に向け、高市早苗首相が「飲食料品を2年間限定消費税ゼロ」の検討の加速を掲げる他、多くの野党が「消費税ゼロ」や「食料品の税率ゼロ」を公約に掲げるなど「減税合戦」が過熱している。

消費税の減税は物価高の今、日常の「買い物」が安くなり、即効性のある生活支援と見られているが、経済的な視点では現在の日本で実施した場合「逆効果」になる恐れも指摘されている。

一見魅力的な消費税減税が、国民の暮らしを窮地に追い込むことになりかねない理由についてポイント解説する。

需要の過熱⇨「悪性のインフレ」に

現在の物価高の主な原因は、原材料やエネルギー価格の上昇による「コストプッシュ型」だ。この状況で消費税減税を実施すると、消費者の購買力が一時的に高まりモノやサービスの需要が急増する。

しかし、現在の日本は深刻な人手不足や供給網の混乱により、需要が増えてもすぐに供給を増やせる状態ではない。供給が追いつかない中で需要だけが膨らむと、企業は価格をさらに引き上げることになる。これが、「ディマンドプル(需要牽引型)インフレ」だ。

消費税減税による効果を上回るペースで物価が上昇してしまうと、国民の実質的な購買力は減税前よりも低下するという事態を招く。結果、国民生活をさらに困窮させる「悪性のインフレ」を誘発する可能性をはらんでいる。

円安を加速⇨さらなる物価高騰

少子高齢化が進む日本において、消費税は景気に左右されにくい、最大かつ安定した財源だ。2026年度当初予算の見通しでは年間約26.7兆円。この財源を削減すれば、国際的な投資家に対し「日本は財政再建を放棄したのではないか」というネガティブなイメージを抱かれかねない。

日本の財政赤字が深刻化する観測が高まると、円に対する信頼は失われさらなる「円安」を誘発。円安が加速すれば、輸入にたよるエネルギーや食料品の価格はさらに高騰するだろう。減税で家計を救うはずが物価のさらなる押し上げを招き、国民生活をより苦しめる悪循環に陥ることになる。

第一生命経済研究所の主席エコノミスト・熊野英生氏は、1月23日に発表した「消費税減税の是非論」の中で「政府の物価高対策がその根元である円安を止められずに、減税・支援ばかりに注力する」のは危険と指摘。

「為替レートが過度に円安に振れないように、金融政策を通じて輸入物価を抑制する方が、経済全体への弊害は少ない。また、毎年のように上昇する食料品物価への対応は、賃上げ率を毎年プラスにもっていくことを主軸に考える方が賢明」と分析している。

金融政策の混乱⇨格差拡大

インフレと円安が加速した場合、日銀は物価を抑えるために「急激な利上げ」を選択することになる。これにより、住宅ローンの負担増や中小企業の資金繰りの悪化を招き大きな痛手となる。

仮に消費税を一律で減税した場合、支出額が多い世帯ほど「減税によって軽減される税額」も大きくなる。消費税率10%を前提にすると、月100万円を支出する世帯では10万円となるが、月10万円の支出で暮らす世帯では1万円にとどまる。

将来的に社会保障を維持できなくなった際、最もダメージを受けるのは公的支援を必要とする低所得層である。目先の「安さ」と引き換えに、将来の保障や地域の安心・安全が欠落してしまっては本末転倒である。

必要なのは困っている人への負担軽減

「消費税」という安定財源を削るのではなく、光熱費や食料品といった「生活インフラ」の高騰で困っている層に絞った負担軽減を行うべきという見方も強まっている。耳障りの良い「減税」という言葉に惑わされず、「国の信用」と「将来的な生活の安定」を守る冷静な視点が大切な局面である。

衆院選、各党の「消費税」の公約は?

衆院選/討論会に臨む各党党首衆院選/討論会に臨む各党党首

衆院選で主要各党が、「消費税減税」などの減税についてどのような公約に掲げているかを公式サイトなどで比較した(1月27日時点)。

自民党や各種野党が「飲食料品はゼロに」もしくは「減税」などを掲げる中で、「チームみらい」は消費税は現状維持、社会保険料引き下げなどを優先すると発表している。

飲食料品の消費税をゼロにすると、およそ5兆円規模の「財源の穴」が生まれると試算されている。どう捻出するかについても注視する必要がある。

自由民主党:「飲食料品を2年間限定消費税ゼロ」の検討を加速

飲食料品を2年間に限り消費税の対象としないことについて、「国民会議」で財源やスケジュールの在り方など、実現に向けた検討を加速する。

高市首相は1月24日、ニコニコ生放送の党首討論会で消費税減税分の財源については、赤字国債の新規発行を否定。26日に行われた7党の討論会(日本記者クラブ主催)でも、懸念されている長期金利の上昇に対しては「財政の持続可能性に相当配慮をしている」とした。

中道改革連合:飲食料品の消費税率を恒久的にゼロ

今年秋から恒久的な食料品消費税ゼロを実現。財源に政府基金、特別会計の剰余金などを活用。国の資産を運用する政府系ファンドを創設し、新たな財源をつくり出す。

日本維新の会:「飲食料品を2年間限定消費税ゼロ」の検討を加速

飲食料品を2年間に限り消費税の対象としないことについて、「国民会議」で財源やスケジュールの在り方など、実現に向けた検討を加速する。新聞を軽減税率の対象から外す。

国民民主党:賃金上昇率が物価上昇率を安定的に2%上回るまで消費税率一律5%

住民税の控除額を178万円に引き上げる。賃金上昇率が物価上昇率プラス2%に安定するまで、消費税は一律5%に減税する。

日本共産党:消費税、緊急に5%に減税

将来的に消費税の廃止を目指し、緊急に5%に減税。インボイス(適格請求書)も廃止。大企業や富裕層への減税、優遇措置を改め、軍事費大増額の見直しなどで30兆円の財源を確保する。

れいわ新選組:消費税廃止。最低でも5%への減税

景気回復のため消費税は廃止。最低でも5%への減税を実現する。消費税を廃止しインボイス(適格請求書)を撤廃する。実現までのつなぎとして全国民に一律10万円を給付。

減税日本・ゆうこく連合:消費税廃止

重税に苦しむ国民の現状を打破するため、消費税については減税に留まらず「廃止一択」と主張。

参政党:消費税の段階的廃止

消費税を段階的に廃止する。積極財政で社会インフラを整備し、経済成長を実現する。減税と積極財政で国内総生産(GDP)1千兆円を目指す。

日本保守党:飲食料品の消費税率を恒久的にゼロ

「減税による経済活性化」を掲げ「食料品の消費税率を恒久的にゼロ」を公約。

社会民主党:消費税ゼロ

物価高対策として消費税率ゼロを公約。財源は大企業の内部留保への課税や所得税、法人税の累進性強化、防衛費の引き下げで確保する。

チームみらい:消費税は現状維持

消費税減税ではなく「子育て減税」を柱に公約。社会保険料を下げ、高額療養費制度の負担上限額引き上げも主張。「社保料引き下げで現役世代の働く意欲を高めたい。消費税減税よりも優先する」という考えを示している

【画像】衆院選「消費税を減税」は甘い罠なのか?

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