
「地球温暖化」や「気候変動」は今や、誰にとっても身近で深刻な問題です。
この問題に関して、今年(2026年)はどのような話題が注目されるでしょうか。
3つのトピックスを気候変動問題の専門家である江守正多さん(東京大学 未来ビジョン研究センター教授)の監修のもと見ていきましょう。
第1回目は、気候政策を推し進めるうえで地球温暖化の深刻な現状と対策を報告する国際組織、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)に関する話題です。
アメリカが離脱を表明したIPCC
「アメリカは第2次トランプ政権になって以降、IPCCに資金の拠出や会合への参加を行っておらず、これから正式に離脱することがもたらす当面の追加的な影響はあまりないといえるかもしれません。
しかし、これらの国際活動に長期的にアメリカの参加が得られないことは、国際協力の実効性を弱めることにつながります」(江守さん)
アメリカが離脱を表明したIPCCの2027年の総会を、日本政府は誘致しています。「たとえアメリカがIPCCを離脱しても、日本はしっかりコミットしていくことが重要です」と江守さんは強調します。
IPCCとは、どんな組織?

そもそもIPCCとは、どういうものなのでしょうか。
「IPCCは『政府間パネル』と訳されているように、そのメンバーは政府で、IPCCは各国の政府の集まりです。
科学者も関与しています。IPCCの総会には議長団と呼ばれる人たちがいて、彼らは科学者です。また、報告書の原稿を書く執筆者たちは科学者です。
ざっくり言うと、政府代表の人たちが科学者たちを集めて、科学者たちが気候変動に関する報告書を作成している構図です」(江守さん)
2027年、日本開催の可能性は?
2019年に京都で開催されたIPCC総会(2019年5月8日撮影、写真/時事)
IPCC総会の日本での開催は、2014年の横浜市、2019年の京都市と、過去に2回あります。
2027年の日本開催の可能性は高いのか、また、2027年の主要テーマは何か、江守さんは次のように話します。
「日本に決定する可能性は高いと思います。特に反対される理由や競合する国は今のところなさそうだからです。
このIPCC総会は現在、作成が進んでいる『インベントリ方法論報告書』を承認する回になりそうです。
IPCCにはインベントリタスクフォース(TFI)という組織があって、各国が国連に提出する自国の温室効果ガス排出量の目録(インベントリ)の計算方法を決めています。
日本はTFIの共同議長を長年にわたって担っています。現在の榎剛史(えのきたけし)さんもその一人です」(江守さん)

「気候変動問題の国際交渉では、京都議定書以降、日本の存在感は低下していると聞きます。しかし、IPCCのインベントリ方法論を支えるといった地道な部分で日本が貢献することは、国際的な日本の信用を高める上で重要であると思います」(江守さん)
2027年のIPCC総会の開催地は、例年の決定時期を考えると、今年の後半には決定する可能性が高そうです。
気候変動問題に対して、日本のリーダーシップを期待したいですね。
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