京都市京セラ美術館で『西洋絵画400年の旅―珠玉の東京富士美術館コレクション』が2026年3月20日(金・祝)から5月24日(日)まで開催される。
東京富士美術館は1983年、東京都八王子市に開館。国内外の絵画、版画、彫刻、写真、陶磁器など約3万点を所蔵する。なかでも16世紀イタリア・ルネサンスから20世紀近現代美術に至る西洋絵画コレクションは、国内屈指の充実度を誇る。
ジャック=ルイ・ダヴィッドの工房「サン=ベルナール峠を越えるボナパルト」 1805年 油彩・カンヴァス
同展では、その所蔵品から精選した約80点を展示。モネ、ルノワール、ゴッホ、シャガールといった人気画家のほか、ティントレット、ヴァン・ダイク、クロード・ロランらオールドマスターの名画を通して、西洋絵画400年の歴史が堪能できる。展示構成は下記の通り。
第Ⅰ部 絵画の「ジャンル」と「ランク付け」
アントニー・ヴァン・ダイク「ベッドフォード伯爵夫人アン・カーの肖像」 1639年 油彩・カンヴァス
第Ⅰ部では、ルネサンスから19世紀前半まで続いた「ジャンル」による価値の序列に焦点を当てる。
当時の西洋美術では、神話や聖書の物語を描く「歴史画」が最も格が高く、肖像画、風俗画、風景画、静物画と続いた。この背景には、キリスト教的価値観やルネサンス期の人間中心主義がある。
ノエル=ニコラ・コワペル「ヴィーナスの誕生」 1732年頃 油彩・カンヴァス
なかでも17世紀オランダは特異な例だ。共和制国家で、偶像崇拝を禁じるプロテスタントを国教としていた同国では、教会や宮廷に代わり裕福な市民層が主要な顧客となった。その結果、風俗画や静物画が大きな人気を博し、独自の絵画文化が花開いた。
第Ⅱ部 激動の近現代―「決まり事」の無い世界
ピエール=オーギュスト・ルノワール「赤い服の女」 1892年頃 油彩・カンヴァス
第Ⅱ部では、産業革命や市民革命を経て成立した近代社会とともに変貌する美術の姿を紹介する。
18~19世紀のフランスでは、古典主義を重んじるアカデミズムが支配的で、官展サロンへの入選が画家の成功を左右した。しかし社会構造の変化とともに既存の価値観は揺らぎ、感情や個性を重視する新たな美意識が台頭する。
やがて印象派などが独自の展覧会を開催。中産階級の成長によって風俗画や風景画の需要も拡大し、歴史画の優位は後退する。こうしてジャンルの序列は崩れ、絵画は伝統よりも独創性を重んじる時代へと歩みを進めた。
クロード・モネ「睡蓮」 1908年 油彩・カンヴァス
西洋美術史の大きな潮流を、名品とともに体感できる貴重な機会となりそうだ。
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