薄くて曲がる次世代の「ペロブスカイト太陽電池」の販売を、積水化学工業の子会社、積水ソーラーフィルムが始めた。3月27日に発表された。ペロブスカイト太陽電池の商用化は国内で初めてという。自治体や避難所に使われる体育館などに向けて販売を進める。
現在、最も普及している従来の「シリコン系太陽電池」は耐久性に優れ、光のエネルギーを電気に変える変換効率が高いものの、重くて硬いという性質から設置場所が限られる。
一方、ペロブスカイト太陽電池は、シリコン系とほぼ同等の変換効率ながら、重さは10分の1程度。厚みはたった1ミリと薄く、軽量で柔らかいことから、重さに弱い体育館や工場の屋根、ビルの壁面と行った垂直面などさまざまな場所に設置できる。また、主原料であるヨウ素は国内で安定調達でき、エネルギー安全保障の観点からも期待がかかる。
同社が販売するのはフィルム型ペロブスカイト太陽電池「SOLAFIL(ソラフィル)」。発電効率は15%で、耐久年数は10年相当としている。まずは環境省が公募した導入支援事業で採択されたさいたま市や福岡市、東京都などの自治体、西日本高速道路に向けて販売される。
同社は2027年度に旧シャープの堺工場で年10万キロワットの生産ラインを立ち上げ、2030年までに年100万キロワット級に生産能力を高める計画。100万キロワットは原発1基分に相当する。性能についても発電効率20%、耐久年数20年を目指して開発を進めるという。
ペロブスカイト太陽電池の導入促進は、高市早苗政権が掲げる「戦略分野17」の一つ「資源・エネルギー・安全保障・GX」にも挙げられている。
政府は2030年までに再生可能エネルギーが総発電量に占める割合を、23年度の20%程度から36〜38%に高める計画だ。再エネ比率を引き上げる上で、ペロブスカイト太陽電池を“切り札”と位置づけ、2040年までに原発20基分に相当する約2000万キロワットの導入を目指している。
ペロブスカイト太陽電池の販売開始を受け、片山さつき財務相は3月28日、自身のXで「ついに国産、薄くて曲がる、使用後処分問題もない太陽光電池が!」「勝ち筋作ろう!日本にしてはスピード早い方だと思います」と反応した。
国内では他に、パナソニックホールディングスが建材に使える「ガラス型」の実証を開始、京都大発のスタートアップ、エネコートテクノロジーズが産学連合で大量生産技術の確立を目指すなど、開発競争が進んでいる。


