参院本会議で「年収の壁」が160万円から178万円に引き上げることを盛り込んだ2026年度税制改正関連法が可決・成立。一礼する片山さつき財務相2026年度の税制改正関連法が3月31日、参院本会議で可決、成立した。注目すべきポイントの一つが、所得税の課税最低ラインである「年収の壁」が178万円まで、さらなる拡大をされたことだ。
一方で、いわゆる「社会保険の壁」は残っており、労働時間などによっては手取りが減ってしまうケースもある。今回の改正のポイントと、注意すべき点を整理する。
年収の壁、改正のポイントは?
今回の法改正では、所得税の基礎控除を大幅に引き上げ、非課税ラインを年収178万円まで拡大する。所得税の非課税ラインは、2025年4月に103万円から160万円になったばかりで、今回はさらなる引き上げとなった。
「178万円」という数字は、給与所得者に適用される「基礎控除」と、会社員やパートの必要経費にあたる「給与所得控除」を合計したものだ。この2つの控除が拡大されたことで、年収178万円までは課税所得が発生せず、所得税が課せられない仕組みとなっている。
物価高で生活が苦しくなる中、「年収178万円までは生活に必要な最低限の所得として税金を課税しない」ことで、税負担が緩和され柔軟に働けるようになると期待される。
恩恵を受けるのは低所得層だけではない。年収665万円以下の幅広い層に対しても段階的な減税措置が導入されており、現役世代の多くで「手元に残るお金」が増えることになる。
「社会保険の壁」で手取りが減るケースに注意
税制面での「壁」が解消される一方で、新たな課題となるのが「社会保険の壁」だ。今回の改正はあくまで所得税に関するものであり、社会保険の加入ルールは全く別の基準で動いている。
これまでは、従業員数51人以上の企業で働き、「月額賃金8.8万円(年収換算で約106万円)以上」かつ「週20時間以上」働くことが加入の条件だった。
しかし、2026年10月からはこの「金額基準」が制度上撤廃される。 新たな基準では、月々の給与額に関わらず「週の所定労働時間が20時間以上」であれば、原則としてすべての労働者が社会保険への加入対象となる。
さらに2027年からは企業の従業員数による制限を縮小し、最終的に撤廃する予定だ。小さな商店や事務所で働く人にもこのルールが適用される見通しだ。
所得税の壁が178万円に拡大して「税負担」が軽くなっても、「週20時間」という時間基準を超えれば、社会保険料の負担によって結果的に手取りが減るケースも出てくる。
さらに、週の労働時間が20時間未満であっても、年収が「130万円」を超えると家族の扶養から外れ、国民健康保険や国民年金の保険料を自ら納める義務が生じる「130万円の壁」は依然として残っている。
税金が178万円までかからないからといって安易に年収を増やすと、社会保険料の発生によって「税金はゼロだが手取りは数10万円減る」といった可能性もある。2026年10月の制度切り替えに向けて、自身の労働時間や社会保険加入の手続きを行うタイミングを慎重に検討する必要がある。



