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SMASH go round FUJI ROCK NIGHTS 2026
2026.4.3 SHIBUYA CLUB QUATTRO

『FUJI ROCK FESTIVAL』本番開催に向けたキックオフイベントとして一昨年からスタートした『SMASH go round FUJI ROCK NIGHTS』が、4月3日、SHIBUYA CLUB QUATTROで今年も開催された。
当日の正午には『FUJI ROCK FESTIVAL '26』の第二弾アーティストが発表されたこの日。桜もそろそろ見ごろを過ぎる東京、特に渋谷はインバウンドの観光客や若者で凄まじい混雑だ。センター街をかいくぐってクアトロに到着すると、苗場の記憶が甦える趣向が凝らされていて気分が上がる。

この日のライブアクトは苗場音楽突撃隊とゲストの浅井健一、そしてnever young beach。もちろんライブ目的のオーディエンスが多いが、そこはフジロック好きな皆さん。4階の無料エリアには、昨年も好評だった苗場に繋がる名物店の出張販売やオフィシャルグッズの販売、今年のポスターデザイン同様のアートワークのデコレーションなども楽しみつつ、そこここでフジロック話に花を咲かせていた。

■DJ POKASKA(from苗場)

DJ POKASKA(from苗場)

DJ POKASKA(from苗場)

開場から終演までフロアを盛り上げてくれたのは苗場育ちで、小学生の頃から『フジロック』に接してきたDJ POKASKA。ボードウォークキャンプでのDJなどを経て、昨年は本番のBLUE GALAXYでもプレイした彼。歴代の『フジロック』出演者のナンバーを交互に選曲し、スクリーンに映し出される過去のライブや会場のオーディエンスの映像と相まって、夏の苗場の感覚が甦ってくる。終盤は今年のヘッドライナーであるザ・エックス・エックス(The xx)、苗場の明け方や朝を思わせる電気グルーヴの「虹」、RCサクセションの「雨上がりの夜空に」でフジロッカーの血をムズムズさせてくれたのだった。なんなんだろう? あの条件反射は。

DJ POKASKA(from苗場)

DJ POKASKA(from苗場)

 

■苗場音楽突撃隊 ゲスト:浅井健一

苗場音楽突撃隊

苗場音楽突撃隊

この日最初のライブアクトは苗場食堂の守神(!?)、苗場音楽突撃隊がオンステージ。3日連続で苗場食堂でライブを行う以外にも、大将こと日高正博氏の愛犬にちなんだ“どん吉カフェ”で深夜に目撃した人もいるだろう。歴戦の強者、池畑潤二(Dr)、ヤマジカズヒデ(Gt)、隈倉弘至(Ba)、細海魚(Key)、青木ケイタ(Sax/Fl)、タニーホリデイ(Vo)、この日スケジュールが合わなかった花田裕之(Gt)に代わってジミィ(Gt)が「苗場音頭」のSEに乗って登場するだけで気分が上がる。

苗場音楽突撃隊 ゲスト:浅井健一

苗場音楽突撃隊 ゲスト:浅井健一

リトル・リチャードの「Good Golly Miss Molly」やAC/DCの「Whole Lotta Rosie」、ローリング・ストーンズの「Sympathy For The Devil」をいぶし銀のアンサンブルで聴かせたあと、ヤマジがボーカルをとり、ザ・ストゥージズの「I Wanna Be Your Dog」をブチかますと歓声もボリュームアップ。往年のロックンロールの名曲に今の火を灯す。そしてお待ちかねのゲスト、浅井健一が登場するとこの日一番の大歓声が上がった。ベンジー自身のバンドは3ピースだが、この日はギター3本のライブアレンジで貴重な「シルベット」(JUDE)、「デリンジャー」(BLANKEY JET CITY)をプレイ。「今年は久々に『フジロック』に出演します。盛り上げようぜ!」の一言からあのイントロのギターが響くとフロアに絶叫が生まれた「ガソリンの揺れ方」(BLANKEY JET CITY)。フルートが哀感も添えるこの日ならではのライブアレンジだ。破格の存在感を残してベンジーが去った後は、ザ・ビートルズの「With A Little Help From My Friends」、ザ・クラッシュの「I Fought The Law」と続く。

苗場音楽突撃隊 ゲスト:浅井健一

苗場音楽突撃隊 ゲスト:浅井健一

浅井を含む全員のサイン入りTシャツ争奪戦は、池畑とオーディエンス全員のじゃんけんで勝敗を決することになり、この流れがフロアの一体感を高めた印象も。勝者の男性がメンバーと握手することがメンバー紹介を兼ねるというアドリブ感が楽しかった。

苗場音楽突撃隊

苗場音楽突撃隊

ラストは仲井戸“チャボ”麗一が『フジロック』のために書いた「Yeah! FUJI ROCK」を披露してエンディングと相なった。それにしても今年は苗場食堂で彼らを呼び込むスマイリー原島がいないんだと思うと、少し寂しい。因みに今年は3日目のステージにベンジーが出演すると、タニーが発表。もうすぐタイムテーブルと睨めっこする時期がやってくる。

■never young beach

never young beach

never young beach

この日が2026年初ライブで緊張していると安部勇磨(Vo/Gt)は話していたが、2010年代以降を一つ象徴するバンドとしてnever young beachの温かくも高い音楽性は『フジロック』に欠かせない存在になっていることは確かだ。1stアルバム『YASHINOKI HOUSE』をリリースした2015年に苗場食堂に初出演を果たしたのち、2023年にはグリーンステージの大舞台を沸かせ、2024年には変名バンド“真夏のデンデケデケデケ”で再び苗場食堂に登場し、ネバヤンだと判明した時、一斉にみんながダッシュしたことも記憶に新しい。それぐらい『フジロック』に愛されしバンドだ。

never young beach

never young beach

彼らも苗場音頭のSEで登場すると、安部のエンタテナーっぷりが発揮される「らりらりらん」でスタート。肩の力が抜けていく極上のアンサンブルで「気持ちいい風が吹いたんです」、岡田拓郎(Gt)と下中洋介(Gt/DYGL)のユニゾンギターの豊かさにグッとくる「哀しいことばかり」、イントロで嬌声が上がる「Motel」まで一気に軽快なナンバーでフロアを明るいムードに染める。さすが昨年12月にこのメンバーで武道館公演を成功させたアンサンブルだ。その後もカントリーテイストの「毎日幸せさ」、ネバヤン流のアメリカーナの消化が心地よい「蓮は咲く」、鈴木健人(Dr)と巽啓伍(Ba)のコーラスも効果的な「こころのままに」と、グッと大人になったグルーヴを届ける。ファンからエスキモーのぬいぐるみが安部に手渡される近しいムードに笑いが起きて、より温かい空気がフロアを包む。

never young beach

never young beach

新曲「だよ」で新鮮な印象を届けたあとは怒濤の人気ナンバーを連投。「どうでもいいけど」「あまり行かない喫茶店で」に続いてロックンロールな「Oh Yeah」を挟んで、大きなクラップが起きた「明るい未来」と熱演が続く。香田悠真(Pf/Key)も下中も大汗をかいているのが遠くからでも分かった。ラストは「夏のドキドキ」が安部の絶叫(!?)も相まって笑顔のクライマックスを迎えた。

never young beach

never young beach

が、指笛や不思議なチャントも混じったアンコールにメンバーが驚きながら再登場。久々のライブで声ガラガラの安部は「大丈夫? じゃあ声ガラガラバージョンで」と、「帰ろう」をオーディエンスのシンガロングにも助けられながら完走。理屈抜きで心を柔らかくしてくれるネバヤンのステージ、今年はどこで見られるのだろう。最終日も嬉しい悩みは尽きなさそうだ。

 

■本番の苗場のムードを少し先取りするフリーエリアも盛況

クアトロのある4階に着くと、大きなフラッグの前で写真を撮る人、このイベントのために描かれたアートワークを見る人など、すでに本番に続くムードだ。通路を進むと、この日のキックオフイベントを含むプレイベントでスタンプを合計3つ貯めて『フジロック』当日の食券に交換できるスタンプラリーが実施されている。一食分浮くのはありがたい。

さらに「ところ天国」名物の玉子サンド(『フジロック』当日の長蛇の列でサクッと買えて美味しいのが嬉しい)や、“iichikoが一番美味しい割合”で提供される緑茶割り「いい茶こ」やサワーも販売されている。山の中で動き回った後に飲む美味しさを思い出さずにいられない。1年の最高のご褒美だ。

また、通路の壁には過去の思い出深いライブ写真が掲出され、足元を見ると可愛いサイズのゴンちゃんもいる。今年こそは川から大きなゴンちゃんを連れて帰りたい気持ちになった人もいるのでは? 苗場のそこここを思い出す要素はボードウォークへの寄せ書きにも。本番開催までにボードウォークキャンプも開催されるので、参加してみたい人は調べてみてほしい。古くなったボードウォークの廃材を活用したオリジナルグッズの紹介など、苗場の森を大切に感じられる掲出物も改めてじっくり読んでしまった。渋谷にいると忘れてしまいそうになるが、苗場の自然維持・保全と『フジロック』は切り離せない。

オフィシャルグッズ売り場では、この日より発売開始となった出演者名入りのアーリーラインナップTシャツに人気が集中していた様子。他にも現地ではすぐ売り切れてしまうグッズも販売されており、見るだけでもいよいよ今年の『フジロック』が近づいてきたことを実感。なお、今後のプレイベントでも『フジロック』に関する質問にスタッフが答えてくれるので、チケット関連や装備についてプロに訊いてみるのもオススメだ。

取材・文=石角友香 撮影=Kosuke Kobayasi