自民党大会で小泉進次郎防衛相と握手を交わす陸上自衛隊中央音楽隊でソプラノ歌手をつとめる隊員4月12日に開かれた自民党大会で陸上自衛隊員が国歌を歌った行為が、隊員の政治的行為を禁止する自衛隊法に違反するのではないかと波紋が広がっている。
小泉進次郎防衛相は「私人として歌唱した」などと説明しているが、隊員は、音楽隊の一員として歌唱する際と同じ制服を着用していた。
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「陸上自衛隊が誇るソプラノ歌手」として制服で歌唱
歌唱したのは、陸上自衛隊中央音楽隊のソプラノ歌手の隊員。
朝日新聞によれば、当日の隊員が登壇する際には「陸上自衛隊が誇るソプラノ歌手」と紹介があり、歌唱は「通常演奏服装」とみられえる自衛隊の制服を着用してのものだった。
自衛隊法61条第1項では、選挙権の行使を除いて、自衛隊員の政治的行為を禁止している。
公明党の竹谷とし子代表は「政党が自衛隊を党の演出に利用することは厳に慎むべきだ」と記者会見で述べ、国民民主党の玉木雄一郎代表も記者会見で「自衛隊の政治的中立性に疑惑を持たれるような行為は慎むべきだった」と批判した。
これに対して、防衛省や自民党は、歌唱は「職務ではなく私人として」であると主張している。
小泉防相「私人として」。論点を「国歌の斉唱」にすりかえ回答
小泉進次郎防衛相は、同14日の参議院外交防衛委員会において、立憲民主党・田島麻衣子参議院議員からの質問に答え、「当該自衛官は職務ではなく私人としてイベント会社からの依頼を受けて国歌を歌唱したものと聞いています」と回答。「国歌を歌唱することが政治的行為に当たるものでもなく、今回の件は自衛隊法違反に当たらない」という認識を示した。
田島議員から、隊員が着用していたのは「通常演奏服装に見える」と指摘。「陸上幕僚長が演奏のため特に必要があると認めて指示するとき、通常演奏服装をするものとする」と定めた自衛隊の服装規程を紹介し、「私人というのは非常に難しいと思います」と問いただした。
すると、小泉防衛相から答弁を促された廣瀬律子防衛省人事教育局長は、次のように述べた。「今回の歌唱は私人としての行為であり、幕僚長の指示を受けたものではないが、法令上職務外において演奏服装の着用が禁止されているわけではなく、今回私的な場面で演奏服を着用した事実をもって規則違反と評価するものではない」
田島議員また、自民党の最高意思決定機関である「党大会という場所で歌唱すること」自体が「政治的行為」ではないかと追及したが、小泉防衛相と廣瀬局長はそれぞれ「国家の歌唱」自体が政治的行為にあたらないという回答を繰り返した。
高市首相「違反にはあたらない」同パターンの論点すりかえ
高市早苗首相も小泉防衛相と同じ見解を述べている。
朝日新聞によれば、高市首相は同14日、記者団に対し「国歌を歌唱することは政治的行為にあたらず、自衛隊法違反にはあたらない」との認識を示した。
自衛隊員が党大会に参加したこと自体が批判の的であるにもかかわらず、「特定の政党への支援を呼びかけるのではなく、国歌を歌唱した。法律的にも問題はない」と強調した高市首相。
しかし、自民党大会とは、総裁つまり高市首相本人が招集した「党の最高機関」であるはずだ。今回は、来春の統一地方選での勝利も明記した2026年運動方針を採択した(共同通信)。ただのパーティーではない。
党広報SNS「自衛隊」はっきり明記。小泉防相は投稿削除
自民党や防衛省が、あくまで私人で通そうとしているが、自民党広報Xアカウントは同12日の投稿では「陸上自衛隊中央音楽隊所属のソプラノ歌手である #鶫真衣 さん リードによる #国歌 斉唱です」と、所属をはっきりと明記している。
また、小泉防衛相は、同12日に鶫隊員とのツーショット写真に添えて「陸上自衛隊の鶫真衣さん」と紹介し「鶫さんをはじめ自衛隊の音楽隊を誇りに思います」とXに投稿していたが、その後削除した。
他に北村経夫参議院議員も、「陸上自衛隊の歌姫」と「陸上自衛隊中央音楽隊副隊長」と紹介のうえで、「党大会での素敵な出会い」として当該隊員とその上官と自身とのスリーショット写真を4月13日にInstagramに掲載している。
当該自衛官は日本会議兵庫本部でも歌唱
当該自衛隊員は、2019年に開催された日本会議兵庫本部の「天皇陛下御即位をお祝いする県民の集い」でも国歌独唱した。
日本会議とは、関係の深い「日本会議国会議員懇談会」の特別顧問をかつて安倍晋三首相(当時)が務めた政治団体。現在でも自民党の閣僚ら政権中枢が会員に名を連ねる。
日本会議国会議員懇談会は、高市早苗総裁が副会長、麻生太郎副総裁が特別顧問をそれぞれ歴任し、自民党を中心として衆参両院の数百人が所属している。


