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■2026.04.17『ClariS -03- 1st TOUR 2026 ~Trigger Anthem~』@Zepp Haneda 

空を見上げれば轟音を立てながらジェット機が飛び立つ姿を眺めることが出来る場所、天空橋Zepp Haneda。ClariSの第三章は改めてここからスタートし、飛び立とうとしている。 会場内は比喩ではなく、本当に立錐の余地もないくらいの人の数だ。誰もが新体制ClariSの初ツアーに期待し、見届けようとしている。 

2025年1月に開催された『リスアニ!LIVE 2025』にてお披露目となったクララ、エリー、アンナの三人体制のClariS。その後も国内外イベント出演は多々あったが、ワンマンとしては満を持しての開催となった今回、果たしてどんな内容になるのか興味は尽きない。 

静かに暗転、開幕は映像からだった、楽屋から登場する三人、円陣、そしてステージへ……リアルタイムの映像だと気付いたのは数十秒たってからだった。そのままステージに登場したClariSがまずドロップしたのはライブタイトルにも記載されている三人での始まりの曲「Trigger」だ。 
  
客席を煽り、アッパーな空気のまま「ALIVE」、そして「again」へ。新体制の3人組ではコーラスが入ってくることで、楽曲の雰囲気もぐっと変わってくる。 
 
「次はタオルを振り回す曲ですよ!」煽りの言葉もしなやかに「border」。フルハウスのフロアの空気をかき回すようにタオルが振り回される。キラーチューンを惜しみなく序盤から投下していく。クララを中心にエリーとアンナがくるくると踊るようにステージを飛び回り、歌い終わるとタオルを客席に投げ込む三人。序盤からトップスピードだ。 
 
『魔法少女まどか☆マギカ』の映像をバックに展開されたのは「ルミナス」「リンクス」の二曲。ここでも三人になったClariSはコロコロとその色味を変えながら楽曲を展開していく。 
 
核としてのクララ、可能性を広げていくエリー、世界観を高めていくアンナ。クララが守り続けてきたClariSは、新たな二人と共に、多面的にそのプリズムを拡大させていく。 
 
MCも挟まず、矢継ぎ早に展開されていくライブ、響いてきたのは聞き覚えのない曲。初披露の新曲「Radiant」だ。『リコリス・リコイル』の世界観そのままのロマンティックでスリリングな楽曲を楽しんでいると、空気感は一変。「運命」がロマンティックに奏でられる。続いての「ひらひら ひらら」はコンセプトミニアルバム『SPRING TRACKS -春のうた-』からの一曲、これもまたコーラスが秀逸だ。散りゆく桜になぞらえたサヨナラとまたね、season3の幕開きとも言えるこのツアーで歌われる意味がある曲。 
 
そっとステージを去った三人、映像が流れ出す。2025年1月の『リスアニ!LIVE 2025』の舞台から今までの三人の軌跡が描かれている。 
 
オーディションを開催すること、そして新メンバーを迎えるにあたってクララが語った「ClariSらしさを持っていなくてもいい」という言葉が重い。誰よりもClariSらしく、ここまでの人生の半分をClariSに捧げて走ってきたクララが、ClariSであり続けるために「らしさ」を捨てることも構わないという思い。クララの思いや言葉がseason3を丁寧に説明しているように感じた。 

 
衣装をチェンジして耳に聞こえてくるのは波の音。TVアニメ『彼女、お借りします』第4期OPテーマ曲「Umitsuki」の時間だ。「Trigger」が新生ClariSの方向性を示す曲なら、「Umitsuki」はClariSであることの証明のような一曲。正直ライブで聴くと音源よりもぐっとその素晴らしさに気付かされる。 
 
「One more voice」も特筆すべき音楽体験だった。ClariSが歌い続けてきた切なさを内包した爽やかなメロディ、だが三人だからこそ生まれるハーモニーと音楽になっているのが素晴らしかった。音楽だけではなく、客席を含めた空間のチューニングがしっかりと合っている感覚。どんどんと熱量を増していく満員のフロアを潤すような時間。 
 
余韻に浸っていると、聞き覚えのあるオルゴールの音色。「カラフル」だ。ここまでほぼMCもなし、言葉で語るのではなく、音楽で今のClariSを最大限伝えようとしている構成。続く「ケアレス」も素晴らしいパフォーマンス。今までClariSに感じていた心地よさは全く変わらない。 
 
単純に思うのは、2人で歌うために作られた楽曲たちを三人用にコンバートし、それでも曲の印象は変わること無く真っ直ぐ届けるというのは、生半可な努力ではできないことなのではないか?ということ。クララの歌があるから、というのは勿論だが、そこにエリーとアンナの声が混ざると、まるで魔法のようにClariSになる。エリーだけでも、アンナだけでも何かが違う。新しくて、進化しているのに、懐かしさも感じられるのは、三人の声が絶妙な混ざり方をしているから、そのチューニングのための時間がこの一年だったのかもしれない。 
 
そしてTVアニメ『エロマンガ先生』の映像をバックに「ヒトリゴト」もフロアに投下。ベストヒット的なセットリストに目眩がしそうになる。だが、これがお披露目というだけのライブじゃないのはもう僕らにも解っている。可能性を届けるための音楽という名の対話。三人からの「心配しないで」と「期待していいよ」が音符の隙間に思いとして詰まっている。 

「CLICK」ではペンライトも輝きフロアを照らす。三色の光がBPM135に合わせて煌めく。メロウからダンス、そして歌謡ポップスまで圧倒的な幅の広さのレパートリーを持っているのもClariSの強さだ。このビートに続くのは勿論「irony」。歌い出しから圧倒的な歓声が上がる。背後には TVアニメ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』の映像。

1stシングルとして発表されたのが2010年だからもう16年前。代表曲の一つであり、ライブでも定番だが、今でも初めて聴いた時のときめきのような興奮が身を包む。『俺妹』繋がりでそのままライブは「reunion」へ。ダンスフロアのような興奮と熱狂の中だが、改めて三人の体力に驚きを感じる。ClariSは見た目に反してノンストップ、ハイスパートでパワフルなライブが魅力の一つなのだが、エリーもアンナもしっかりとその系譜を継承している。 
 
いよいよライブも終盤戦。「ナイショの話」もドロップしてくる。聴きたいな、聴ければいいなという曲が全部聴けるという幸せ。1stでここまでの物を見せてくるということは、最高はこれからも更新されていくのだろう、未来をちょっとだけ意識しながら叫ぶ「ハイ!ハイ!」の掛け声は心躍るようだ。 
 
本編もいよいよラストの一曲、ここまで持てるヒット曲を惜しみなく出し続けてきた時間の最後は勿論「コネクト」だ。 
 
「みなさんと、忘れられない思い出を」の言葉とともに、ClariSそのものを象徴するようなメロディが響く。歌い紡がれてきた音楽を、エリーとアンナは気負うのではなく、背負いつつ歌う。大団円で終わった本編、止むことのないアンコールの声。 

アンコールで登場した三人は最新曲「Revive」をぶつけてくる。今までになかった激しいロックチューン。TVアニメ『勇者のクズ』第2クールオープニングテーマであるこの曲は、作品の雰囲気に合わせて制作されたものだが、今までの楽曲の中でも珍しいと思える部分として、クララがエリー、アンナに寄り添うように合わせている部分だ。 
 
MCの中では本邦初公開となる「Revive」のMVが初公開、ファンとともに完成品を初めて見るという三人だったが、始まったら度肝を抜かれた。今までのClariSのイメージをぶち壊すように金髪のクララ、ブルーのウルフカットのエリー、赤髪のアンナが激しく歌い踊る。低音を聞かせて歌い、挑発的に睨み、口元を歪めて歌い上げる姿は絶対に今までのClariSでは考えられないもので、それを選択する事を選べるのがseason3のClariSだということだ、それでもぶれないのは何故なのだろう? 

クララがClariSを続けるという決断をしたから今のseason3がある。それは間違いのない事実だろう。そしてクララのエリー、アンナに対する信頼をこの激しい一曲の中で感じられた。映像の中で語られた「ClariSらしさを持っていなくてもいい」がこの新曲を聴いている最中にもリフレインされる。そこで彼女たちが歌う、それだけでいい、それこそがClariSになるのだと感じられる。 
 
ここで遂にしっかりとしたMCの時間、クララが「それぞれ自分の言葉で思いを伝えたい」と語り、三人が言葉を選びながら語りだす。 
 
「楽屋を出る前から緊張していました、ステージに立ってみたら、こんなに幸せな時間が待っているなんて」とアンナが思いを吐露する。 
 
「自分にとって音楽は、自分が楽しくなるためのものでした。でも、皆さんのために頑張りたいと思えるようになって、本当の意味でClariSのアンナになれたんじゃないかと思う」 
 
温かい拍手が巻き起こる、続くエリーは 
 
「伝えたいことはシンプルです、諦めなくてよかった。自分自身が信じていることが、何より大事なんだって思えます」 
 
二人ともそれぞれにここに至るまでの人生があって、叶えたい夢や願いがあってオーディションを受けたのだろう、その軌跡は奇跡のようにクララへと繋がり、今のステージがある。仮面の謎の少女たちとして音楽シーンに颯爽と現れたClariSだったが、仮面を脱ぎ、三人の音楽ユニットとして活動している今でも、そのフェアリーテイルはきっと続いている。 
 
そしてクララの言葉は「ClariSという場所を守り続けたい、でも現状維持をしていても、良いものを届けられないと思っていた」という切実なものだった。 
 
ここまでClariSは「幻想的な女の子たち」という捉え方をされてきたのだと僕は思っている。実際始まりはそうだったし、アリスの脱退、カレンの加入、そして仮面を脱いだseason2と見続ける中で、彼女たちの実態とリアルはライブで感じ続けていた。 
 
だが、守ることを決めたクララは、明確にエリーとアンナの二人を鍛えようとしていた。歌やパフォーマンスでは見本になりつつ、時に二人を前に出し、ステージを感じさせるように歌っていた。MCでも「自分の言葉で思いを伝える」という課題を二人に与えていた。 
 
きっとクララには役割ができたのだろう。前と同じ自分ではClariSを本当の意味で守れないと思ったのではないだろうか? 姉であり、友人であり、仲間であり、先輩であることをクララは選んだ。なぜかずっと見続けてきたクララという人間が初めて「個」として感じられるに思えたら、一気に眼の前に広がるシーンが色づき始めた。このライブだけでもエリーとアンナのことを少し知れたような気持ちになっていたが、きっとこれからは三人の「個」の色をもっと感じられる、そう確信できた。 
 
最後の曲はこれも初披露となった新曲「タカラモノ」。可能性を見せつけた後に、がっつりClariSを感じられる新曲を持ってくるのはあまりにもニクい選曲だ。

興奮と発見と、ありがとうに満ちた2時間半はあっという間に過ぎた。波に現れ、磨かれたガラスの結晶のようにキラキラと輝き、僕らの心に熱を残してくれた新生ClariS。 
 
きっと太陽にかざせば、カレイドスコープのように色や形を変えて、僕らを楽しませてくれる。さあ、次はどんなClariSを見せてくれる? もっと驚かされて、もっと好きになりたい。止まらない三人の道行に幸福があらんことを。 
 
取材・文:加東岳史 撮影:平野タカシ