『KOBE MELLOW CRUISE 2026 -5th Anniversary-』2026.5.5(THE)@GLION ARENA KOBE / TOTTEI PARK
5月5日(火祝)、5月6日(水祝)の2日間、神戸・GLION ARENA KOBE/TOTTEI PARKにて、都市型音楽フェス 『KOBE MELLOW CRUISE 2026 -5th Anniversary-』(以下『メロクル』)が行われた。
2022年より毎年神戸・メリケンパークで開催され、今年5周年を迎える『メロクル』。節目となる今回は、GLION ARENA KOBEと、すぐ隣の海が臨める公園・TOTTEI PARKに会場を変えて開催。DAY1のヘッドライナーは千葉雄喜、Kohjiya、LEX。そしてAI、AK-69、AZU、DADA、ENEL、G.B.C CAMP、guca owl、HARKA、IFE、Jin Dogg、Kaneee、lilbesh ramko、Pxrge Trxxxper、Tete、Watson、Masato Hayashi(50音順)が出演した。また、OPENING ACTとしてKAGVYAが、新企画「HOOD UP SHOWCASE De-void* Hosted by kZm」として、AOTO、Sad Kid Yaz、Siero、Ludioが登場。「HOOD」や「仲間」の色を強く感じる2日間になった。
当日はこれ以上ないほどの晴天に恵まれた。GLION ARENA KOBEの前に到着し、広がる海を見ながら綺麗に整備された海岸通りをTOTTEI PARKの方に歩いていくと、観客がリストバンドを交換するために長蛇の列を作っていた。
今回会場となったGLION ARENA KOBE、TOTTEI PARKは、『メロクル』の風景としてすっかりお馴染みの神戸ポートタワーやオリエンタルホテルがあるメリケンパークと同じウォーターフロントエリアの東側に位置し、メリケンパークからは徒歩20分ほど。各線三宮駅からも徒歩圏内(約15~20分)で、駅からはバスも通っている(バス停「アリーナ前」「税関前」下車約5分)ため好アクセスだ。
近くには都市型水族館「átoa」や神戸みなと温泉「蓮」があり、レジャーを楽しむことができる。また、GLION ARENA KOBEにはいくつかの飲食店が併設されており、海岸通りのあらゆる場所にベンチが設置されていた。ちょっと休憩したい時や食事をしたい時、散歩をしたい時など誰でも気軽に訪れることができる受け皿がある。少し歩いてみただけで、GLION ARENA KOBEのホスピタリティを感じた。
メインで屋内ステージの「URBAN」ステージはGLION ARENA KOBEに、野外ステージの「SEASIDE」ステージはTOTTEI PARKに設置された。
5Fまで高さがあるアリーナでのライブは大迫力。巨大なビジョンと最先端の照明音響機材が演出の幅を広げ、アリーナからスタンドまで、しっかり熱狂で巻き込む構造になっていた。
「SEASIDE」ステージは、『メロクル』らしい海を臨むステージ。間近にフェリーターミナルや真っ赤な神戸大橋が見え、山と海に囲まれた開放的な空間はいつもと変わらない。約11mの高さがある「緑の丘」は階段状になっており、座ってライブを楽しむことができた。
『メロクル』には欠かせないファッション・カルチャーショップはGLION ARENA KOBE 2Fロビーに、フードやドリンクはTOTTEI PARKの芝生広場にずらりと並んでいた。Awichプロデュースの「HABUSH」や、毎年来場者にエナジーを提供する「Monster Energy」のブースも健在。
特筆すべきは、今回新たに始動した企画「HOOD UP SHOWCASE」だ。『メロクル』は関西・神戸というローカルな地で育まれたカルチャーと共に歩んできた。HIPHOPアーティストが多数出演する関西最大規模のフェスティバルとして、「HOOD(地元コミュニティ)を体現し、その中で次世代を育てているラッパー」を起点に、HOOD単位でそこから生まれたアーティストのフックアップを行うことに意味がある」と考え、この企画を始動させた。
「HOOD UP SHOWCASE De-void* Hosted by kZm」
TOTTEI KOBEのHPにも「150年前の開港以来、見たことのない人やモノ、情報で溢れてきた神戸。異なる価値が融合し、生まれた街並みや暮らし。市民主体の街づくりが行われてきたのも、ここに住む一人ひとりの好奇心や情熱から。そのDNAを受け継ぎ、このアリーナは誕生する」という言葉が書かれ、本企画の「HOODの育成/継承/連鎖をライブで体感させる、次世代フェスやシーンへの入り口を作る」という意図がマッチしていた。実際今年の『メロクル』では、HOODのカラーが一層色濃く感じられた。「HOODが次のHOODを生む」。この流れは今後の『メロクル』を象徴する特色のひとつになっていくのではないかという予感がした。
KAGVYA
「SEASIDE」ステージでDAY1の幕を切ったのは、4人組HIPHOPクルー・KAGVYA。今年2月にデビューした彼女たちはこの日が初ステージ。それぞれ異なるルーツを持つMACHIL、UTA、AMI、MOMOは初めてのライブとは思えないほど堂々たる姿で、過去や葛藤をリアルに綴りつつ、「エピソード0」から新たな物語を始める意志をしっかりと提示。最後は「リミットなんてないんで、大変なことも面倒臭いこともチャチャッと乗り越えていきましょう(UTA)」と頼もしく「Get Over」を披露。新しいヒーローの誕生を目撃したオーディエンスは手を挙げて呼応した。
ENEL
神戸出身で和歌山を拠点に活動するENEL、ENELのすぐ後に登場したHARKAは、和歌山勢ラッパーの絆を見せつけた。ENELは地元ということもあってか、気合いたっぷりに「XXL」や「K to W」で熱を引き上げ、制作中の最新EPからの新曲なども交えて盛り上げた。途中、機材トラブルで「デコボコフレンズ」が流れない場面もあったが、アカペラでフロウを刻むスペシャルな対応で生のライブ感を感じさせた。
HARKA ft.ENEL , lj
同じく和歌山出身のHARKAは、前日にリリースした最新EP「FIRST FLEX」の楽曲も多めにかまし、「CULT」「Self marionette」などのアンセムでブチ上げる。さらに直前「デコボコフレンズ」をフルで歌えなかったENELのために「俺もデコボコフレンズやねんな」と急遽セットリストを変更して同曲を流し、ENELと客演のljが飛び入りするアツい展開も。ラストスパートは思い切りギアを上げ、「Drive」で締め括った。
「HOOD UP SHOWCASE De-void* Hosted by kZm」Ludio i
「HOOD UP SHOWCASE De-void* Hosted by kZm」Siero
そんな盛り上がりを見せる「SEASIDE」ステージでの「HOOD UP SHOWCASE」。DAY1のホストは、DAY2のヘッドライナーでもあるkZm。kZmは主宰のコレクティブ/レーベル「De-void*(デヴォイド)」で行う音楽イベントなどを通してアンダーグラウンドとメインストリームの橋渡しとなる活動を行い、シーンを横断するキュレーターとしての顔も併せ持つ。「De-void*(デヴォイド)」と『メロクル』のコラボレーションは、2023年に神戸Harbor Studioで開催されたアフターパーティーに続き2回目となる。今回登場したのはkZm同様に東京で育ち、今シーンで輝きを放つAOTO、Sad Kid Yaz、Siero、Ludio。4人は各々順番にソロで現在地を示す圧巻のショーケースを繰り広げた。Sad Kid Yazが「HIYAKE」を歌う前にkZmへ感謝を述べて、「kZmくん、もし見てたら次の曲入ってほしい」と伝える場面は彼らのリスペクトを感じさせた。トリを担ったAOTOは「『メロクル』荒らしにきたぞ!」と叫び、ボルテージを最高潮に引き上げる。詰めかけた観客はハンズアップで熱く応え、4人の新たな時代を築き上げるニューカマーに魅了された。
「HOOD UP SHOWCASE De-void* Hosted by kZm 」Sad Kid Yaz
「HOOD UP SHOWCASE De-void* Hosted by kZm 」Sad Kid Yaz
「URBAN」ステージはトッパーのPxrge Trxxxperが放ったすさまじい熱量を皮切りに、エネルギーのバトンが次々に繋がれた。もちろん『メロクル』といえばの客演も多数。割れんばかりの歓声を浴びてライブを展開した徳島県出身のWatsonは、「24/7」で同郷のLucyを、「OYJ Remix」「Real Love Remix」で鹿児島在住で2004年生まれのSonsiを招き、圧巻のパフォーマンスを構築した。
Pxrge Trxxxper
2024年から2年連続で登場していたElle Teresaは、今回残念ながら体調不良で出演キャンセルになってしまったが、Masato Hayashiが代打で出演。「LoveMySelf」ではKaneeeを客演に招き、重厚なステージでフロアをロックしていた。
Masato Hayashi
IFE
フィメールラッパーのエンパワーメントも頼もしい。日本とスイスのルーツを持つ福岡・天神出身のラッパー・IFEは「可愛いギャルがたくさん見えるよ」と笑顔を浮かべ、「Maleficent」や「City of heaven」、実姉MIAとのラップユニット・SPIRITUS名義の楽曲や新曲、LANAがキュレートした「花・魁 feat. Medusa, E.V.P & IFE」などを披露。複雑な家庭環境や人生経験にもとづく感情をリリカルに吐露し、「人間はいつ死ぬかわからんっちゃけん、今を大事に生きてくださいね」と穏やかな表情でメッセージを贈ったのだった。
AI
「ハピネス」から「ラッキーアイラブユー」まで全8曲、会場全体をビッグラブで包み込んだのはAI。DJ・HIRAKATSUと6人のダンサーを引き連れ、中盤からは岸田勇気(Key)も加わり、ソウルフルでグルーヴィー、かつパワフルなステージで魅せてくれた。「あんたたち最高。世の中色んなことがあるけど、平和じゃないとこんなことできないからね。戦争いつ終わるんだよほんとに。私たちは仲良く楽しんで帰るから」という、終始ポジティブでピースフルなバイブスが気持ちをあたたかくしてくれた。
Jin Dogg
大阪出身のJin Doggは「DEATH NOTE(Remix)」でPxrge Trxxxperを、「Black Mamba」でVIGORMAN(変態紳士クラブ)を客演に迎え、会場全体を物理的に揺らす。最後にJin Doggは「端から端まで友達ってことでいいですね?」と呼びかけ、Young Cocoと参加した千葉雄喜の「チーム友達(Dirty Kansai Remix)」を投下。大合唱でフロアを沸騰させた。
guca owl
続いて登場した東大阪出身のguca owlは、1曲目の「Working Class King」からほぼ全曲でシンガロングが自然発生。中盤~後半はJin Doggを呼び戻した「⽣きる」から、演出も含めて完成度の高い「DIFFICULT」まで、抜群の存在感を示したのだった。
Kohjiya feat. MIKADO
6月に武道館2days単独公演を控えるKohjiyaは、初のヘッドライナーを任された気合いと『メロクル』への想いをバンドセットに込めた。「『メロクル』5周年おめでとうございます」と祝福し、分厚いバンドサウンドにフロウを滑らせ魅了する。中盤、「Ma Boyz」ではDAY2に出演するMIKADOと長崎県出身・同郷のTeteを、「Roulette」「Champions」の2曲ではKaneeeとYvng Patraが、さらに「PAGE ONE」では唾奇が登場。唾奇とステージに立つKohjiyaが、万感胸に迫るような表情を見せていたのが印象的だった。
千葉雄喜
『メロクル』へは初出演にして文句なしのヘッドライナー、2024年2月にリリースした初音源「チーム友達」が世界的なバイラルヒットを生んだ千葉雄喜は、身ひとつでステージを縦横無尽に動き回り、キャリアに裏打ちされたスキルや表情、佇まいで圧倒した。
「光をもらってもいいですか?」との言葉でスマホライトの光で会場が星空のように輝いた「もらいもの」を経て、ラストはお待ちかねの「チーム友達」。「俺1人で歌うのは嫌なんで、皆さん一緒にやってくれます?」とアリーナへ飛び降り、もみくちゃになりながらアリーナの各ブロックをハシゴし、通路を練り歩く。言わずもがな、オーディエンスの興奮は最高潮へ。ライブ終了後も、ざわめきと熱気がしばし会場を包み込んだ。
LEX
ヘッドライナーとしてDAY1の大トリをつとめたのは、2023年ぶり3回目の『メロクル』カムバックを果たしたLEX。オープニングから「レベルアップ」を叫ぶようにぶつけ、「⼒をくれ」では彼が足を踏み鳴らすアクションに合わせて特効の炎が吹き出し、内なる情熱を視覚的にも爆発させた。
そこからギアを上げて「Wasted」「Leave Me Alone」とアッパーなナンバーで会場を掌握。照明と映像演出も楽曲をドラマチックに彩り、会場に広がる大合唱は一体感を生みながらも、個々に寄り添う賛歌のように響き渡った。ラストに「心を込めて歌いたいと思います」と披露された「この世界に国が無かったら」を目を閉じて届けるLEX。<負けるなよ がんばれ><変えてこ この日本を 幸せになりましょうよ>とエモーショナルに叫ぶ姿は、新世代のヒーローそのものだった。
取材・文=久保田瑛理 写真=『KOBE MELLOW CRUISE 2026』提供(Hoshina Ogawa、ヤナギ、TAKARA FURUTA、Hiroto Yorifuji、YUKI SAKASHITA、Yoshiro Sakamoto)
■ 次のページでは紹介しきれなかったステージの写真も多数公開!
『KOBE MELLOW CRUISE 2026』PHOTO REPORT
『KOBE MELLOW CRUISE 2026』PHOTO REPORT
SEASIDE
KAGVYA<OPENING ACT>
ENEL
HARKA
lilbesh ramko
IFE
HOOD UP SHOWCASE De-void* Hosted by kZm [AOTO/Sad Kid Yaz/Siero/Ludio]
AZU
Tete
G.B.C CAMP
URBAN
Pxrge Trxxxper
Kaneee
DADA
Watson
AI
AK-69
Jin Dogg
guca owl
Masato Hayashi
Kohjiya
千葉雄喜
LEX