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MUSIC AWARDS JAPAN WEEK SPECIAL LIVE
「THE SUCCESSOR MAJ HIP HOP TRIBUTE」
2026.6.8 Zepp DiverCity (TOKYO)

『THE SUCCESSOR MAJ HIP HOP TRIBUTE』とは何か? それは昨年からスタートした国内最大規模の国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』による、ジャパニーズ・ヒップホップ40年以上の歴史を称えるセレモニーだ。プロデューサーは高木完、Zeebra、YZERR。事前に発表された出演者とプレゼンテーターにも凄いメンツがずらりと並ぶ。これは現場に行くしかない。

Zeebra、高木完

Zeebra、高木完

セレモニーのスターターを務めるのはT-Pablow。気合の入ったパフォーマンスで場内の熱を一気に上げる。そこから総合司会のMC RYU、そしてZeebraと高木完が登壇しての開会宣言。1983年、映画『WILD STYLE』出演者の日本訪問から説き起こす、当時の映像を交えたリアルタイムの証言には強い説得力がある。「THE SUCCESSOR」とは後継者の意味だ。日本のHIP HOPは、バトンを繋いだ多くの後継者のおかげで今がある。

ここからはHIP HOPカルチャーのクラシックな4大要素、「MC、GRAFFITI、BREAK DANCE、DJ」に沿ってセレモニーが進む。「B-BOY SHOWCASE」の主役はダンサーだ。DJ BEATのプレイに乗ってCRAZY-Aがラップする。ダンサーたちが、華麗な技で競い合う。CRAZY-AがRHYMESTERを呼び込み、ダンサーたちと共に「B-BOYイズム」をパフォーマンスする、それはまるでストリートパーティー。「オールドスクール、かましてやりました」と宇多丸。さすがの貫禄だ。

RHYMESTER

RHYMESTER

ここからはプレゼンテーター→パフォーマーの紹介の順でメニューが進む。日本のHIP HOPの最初期を知る、いとうせいこうとKEN THE 390がOZworldとMC TYSONを紹介する、時を超えた繋がりが面白い。OZworldは沖縄、MC TYSONは大阪。日本のHIP HOPの広がりを象徴する、それぞれのカラーを明確に見せるパフォーマンスに、フロアもよく沸いている。

サイプレス上野とZEN-LA-ROCKが、日本語ラップのクラシックソング「証言」の貴重なレコーディング風景を収めた映像や、クラブチッタでの伝説のイベント『鬼だまり』の映像などを映しながら語るシーンは、当時を知る者には感慨深い。続いてはMC-HULK、GDX a.k.a SHU、HIP HOP好きで知られるシソンヌ長谷川のトークに花が咲く。お笑い芸人にもHIP HOPリスナーは多いらしい。そして3人がステージに呼び込んだのはキングギドラ。「未確認飛行物体接近中」から「UNSTOPPABLE」へ、時を経ても褪せないリリックが突き刺さる。現役感バリバリ、圧巻のパフォーマンス。

HIP HOP DJとして初の日本武道館ワンマン公演を実現させたDJ CHARI & DJ TATSUKIのプレイが、ライブハウスで観られるのは贅沢だ。華やかなプレイのあと、インタビューに応えてDJ TATSUKIが「これからもDJシーンを盛り上げたい」と謙虚に語ったのも印象的。ここで再び高木完が登場、「BEATBOXING SHOWCASE」として、ヒューマンビートボクサーの第一人者・AFRAとNOVEL VINTAGEを紹介する。「東京ブロンクス」「人間発電所」などクラシックチューンばかりをメドレーで、声の力だけで再現するスキルが凄い。

3Li¥en

3Li¥en

MaRI

MaRI

続いてはグラフィティ・アーティストの登場だ。今日の会場ロビーには「Graffiti Art Gallery」として、KAZZROCK、TABOO1、SNIPE1らの作品が展示されている。彼らを代表してTOMI-Eが語る、日本のグラフィックのヒストリーはとても重要だ。そしてプレゼンテーターがDJ KAORIとCOMA-CHIに代わり、ここからはフィーメール・アーティストの独壇場。まずは3Li¥en、続いてMaRIが、ダンサーと共にド迫力のパフォーマンスでフロアを沸かす。シーンの中での女性躍進、それもまた日本のHIP HOPの成長を示す大事なキーワード。

Zeebraがマイクを握り、次に紹介するのは「NEW DANCE SHOWCASE」。1989年スタート、地上波テレビで放送された『CLUB DADA』が、いかに日本のHIP HOPとダンスに影響を与えたかを語り、そこから生まれたグループ・ZOOを語り、その遺伝子を受け継ぐ現在のLDHを語る。そして始まった「ROOTS OF EXILE TRIBE」は、EXILEのクラシックメンバー、ÜSA、MAKIDAI、MATSUを筆頭に、EXILE TRIBEのダンサーたちが15分以上ノンストップで熱演を繰り広げる。フロアからひっきりなしに飛ぶ、歓声の量がすさまじい。

あとを受けてステージに上がったDJ HAZIMEとDJ WATARAIも、『CLUB DADA』を原点に持つ二人。当時の思い出話をしながらもノスタルジーにはならず、今を代表するラッパーのWatsonと¥ellow Bucksをステージに呼び込む。スピーディーにたたみかけるWatson、語るように重厚にラップする¥ellow Bucks。時間は短いが、どちらも強烈な印象を残してくれた。

ここで、アメリカからの録画でコメントを寄せてくれたのはDJ YUTAKA。パイオニアとしての苦労を語りながらも、今も第一線で活躍する若々しい姿が頼もしい。「DJ SHOWCASE」として彼が紹介した4名、DJ Ta-Shi、DJ Kentaro、DJ IZOH、DJ Renaはすべて、DJ世界チャンピオンの称号を持つトップアーティスト。2台のDJ台を使って4人がスーパーな技を見せまくる、ある意味この日最も贅沢なパフォーマンスはこれだったかもしれない。

NITRO MICROPHONE UNDERGROUND

NITRO MICROPHONE UNDERGROUND

長いイベントも終わりが近づいてきた。プレゼンターの近田春夫は、LUNA、3Li¥en、MaRIの綺麗どころに囲まれてご機嫌だ。彼もまた、日本のHIP HOPの最初期に大きな足跡を残す一人。その紹介を受けてステージに現れたのは、NITRO MICROPHONE UNDERGROUNDだ。出て来るだけでヤバイ空気がステージに満ち満ちる、圧倒的存在感は昔も今も変わらない。曲は最新曲「G.U.I」とクラシック「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND」。今も輝いてる。

そして大トリを務めたのはこの二人、STUTS&PUNPEEだ。MPCを打楽器として叩きまくるSTUTS、クールにスマートにラップするPUNPEEのコンビは、80年代、90年代のスタイルとは異なるが、やはりHIP HOPの大きな流れの中にある。曲はもちろん「夜を使いはたして」。この曲が出て10年、HIP HOPにはクラシックが毎年のように生まれる。つまり、シーンはさらに先へ進んでいる。

ラストはMC RYU、Zebbra、高木完とオーディエンスの間で「HIP!」「HOP!」のコール&レスポンスで、およそ2時間45分に及ぶイベントは幕を下ろした。直前まで進行が決まらず、綱渡りの開催だったらしいが、終わりよければすべてよし。そしてジャパニーズ・ヒップホップ40年以上の歴史はまだまだ続く。いつか続編を期待しよう。

取材・文=宮本英夫
写真=(C)MUSIC AWARDS JAPAN