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近くの後は遠く
2026.6.4 渋谷CLUB QUATTRO

5月8日(金)大阪・梅田CLUB QUATTRO、5月29日(金)愛知・名古屋CLUB QUATTRO、6月4日(木)東京・渋谷CLUB QUATTRO――3公演が行われたワンマンツアー『近くの後は遠く』。観客のシンガロングで彩られた曲の数々が、熱い空間を作り上げていた。7月から次のツアー『遠くの街で磨く』がスタート。10月31日(土)には、初のZepp DiverCityでのワンマンライブ『なるべく近く、できるだけ遠く』を開催するSunny Girl。今後の活動への期待も高めてくれた渋谷CLUB QUATTRO公演の模様をレポートする。

ステージに登場した橘高連太郎(Gt,Vo)、小野友揮(Ba,Cho)、大森琉彦(Dr,Cho)が演奏を始めるや否や、興奮の極みに一気に達したオーディエンス。オープニングを飾った「月光」を皮切りに大合唱が何度も起こり、ステージへと押し寄せるクラウドサーフが続出。意志を持った巨大生物のように揺らぎ、激しく躍動するフロアの風景が、どこか神々しく感じられる。「マリナー」の曲中で 「こっちのかっこいいは任せろ! そっちのかっこいいを信じてる!」と叫んだ橘高。序盤の数曲の時点でものすごい熱気が会場内に漂っていた。

初めて渋谷CLUB QUATTROのステージに立ったのが約5年前。その後も何度か経験したこの会場でのライブについて「気づけばずっとクアトロに呑まれてる感覚なんですよ」と言っていた橘高。「ちゃんと勝ち星つけにきました!」という決意は、全力の歌、演奏によって示され続けた。「濃藍」「once」「例えば」「シネマと信号」「夏の花」など、多彩な曲の連発をメンバーたちが心から楽しんでいるのも伝わってくる。「渋谷CLUB QUATTROは、何年経っても憧れてる場所だし、“うわっ! あの場所だ!”ってなるし。でも、今日立ってみて、思い出せる思い出が増えてることに気づいて。それがすごく嬉しかったです。そんな日を一緒に作ってくれてありがとうございます」――中盤での橘高のMCが思い出される。観客にとってもかけがえのない思い出を胸に刻めるライブだったはずだ。

「口癖」「シーン11」「幸せになるために」「生活と嘘」「スーパームーン」「雨と走れば」などを大合唱する声は、メロディと歌詞を噛み締めながら過ごしてきた日々を自ずと物語っていた。「少し赤くなる街を背に」歌う前、“人生で一番大切なもの”について語った橘高。「難しいことばかり考えてたけど、意外とただ人生をやめない。降りない。その舞台を降りないこと……だと俺は思ってるし、この考えが変わらなきゃいいなって。近くの後は遠く。遠くの後は近く。そんな言葉を使ってたけど、遠回りな言葉を使ってたけど、ほんとは長くいたいだけなんだ」――Sunny Girlの活動の源にあるものに触れた気がするMCだった。

本編を締め括ったのは「純朴」。「君の見つけた大切を手放さずに済みますように! また君の町で会おう! 音楽で会おう!」という言葉を添えて演奏の幕切れを迎えると、ステージを後にした3人。彼らを見送った歓声は、すぐにアンコールを求める声と化した。戻ってきた橘高、小野、大森を出迎えたフロアのムードは熱いまま。橘高は、歓声を上げ続ける観客に今後のライブについて語った。7月から10月にかけての全国ツアー『遠くの街で磨く』は、ワンマン8本、対バン8本。10月31日に行われる『なるべく近く、できるだけ遠く』は、Sunny Girlにとって初のZepp DiverCityでのワンマンライブ。「今回の東名阪だけにしようと思ってたんですけど、一番僕がかっこいいと思う形になったと思います。Zepp DiverCityも面白がれるように。どこまで俺らが面白いと思うことが通用するのかやってみたいから、面白がってくれたら嬉しいです!」という言葉には、ライブをたくさん重ねる日々への喜びが漲っていた。

「何やる?」と問いかけられたので、聴きたい曲のタイトルを一斉に叫んだ観客。たくさんの声が重なるので、何を言っているのかは聞き取れない。その状態を楽しんだ橘高が「ごめん! 決まってた!」と言い、歌い始めたのは「東京に惚れたら」。東京を代表する繁華街の一つ、渋谷で鳴り響いたこの曲は、活動を重ねても手放したくないものがあるバンドの姿を示しているように感じられた。そして、温かなメロディを届けた「いつかこの足が縺れても」で一旦は迎えた終演。しかし、ダブルアンコールを求める観客の声が激しさを増し、3人は戻ってきた。「自分の中では納得してたんですけど、“これ、最終回か。湿っぽ!”と思ったので1曲だけやります!」と橘高が宣言。ラストを飾ったのは「君でしか」だった。初っ端から大合唱が起こり、会場全体が歌声の塊と化した。3人がステージ上で感じた熱は、今後の活動を後押しする力となり、観客が受け止めたものは各々の日常を支えるのだろう。バンドとファンが必要とし合いながら作り上げるSunny Girlのライブは、最初から最後まで清々しい熱気で満ちていた。

取材・文=田中大 撮影=稲垣ルリコ