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MUSIC AWARDS JAPAN WEEK SPECIAL LIVE 
Billboard JAPAN| Spotify presents Women In Music – EQUAL STAGE
2026.6.9 SGC HALL ARIAKE

国内最大規模の国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN』(以下、MAJ)。アワードウィークはさまざまな切り口のスペシャルライブが開催されているが、6月9日にSGC HALL ARIAKEで実施された『Billboard JAPAN| Spotify presents Women In Music – EQUAL STAGE』は今を生きる女性のエンパワメントをテーマに、新しい学校のリーダーズ、Awich、羊文学、LANAというジャンルを超えたアーティストの放つリアリティが圧倒的なパワーを生み出す一夜となった。

本イベントはBillboard JAPANとSpotifyがそれぞれ取り組む主要プロジェクトを掛け合わせた意欲的なステージ。MAJアワードウィーク期間に音楽業界におけるジェンダー・エクイティ(公平性)を促進するプレイベントとして開催されたものだ。背景としてBillboard JAPANは2022年から「Billboard JAPAN Women In Music」と題して、自身の活動を通じて社会をエンパワーするアーティストや音楽業界を支える人々を多角的に紹介。アーティストインタビューやライブレポートはもちろん、ジャーナリストのインタビューなども紹介し、音楽を通じてインクルーシブな社会を目指すシリーズとなっている。一方、Spotifyが2021年にグローバルでローンチした「Spotify EQUAL」は女性アーティスト/クリエイターの表現の機会を広げ、継続的にサポートするプログラムで、プレイリストやライブイベントを通じて才能ある女性アーティストの発信を支えている。

継続的に女性アーティストをサポートするSpotifyとBillboard JAPANの主要プロジェクトを掛け合わせたイベントである今回の『Women In Music – EQUAL STAGE』。初めての試みにオーディエンスもまた、ジャンルを超えて彼女たちの表現に惹かれて集結した多様な人たちだ。

出演アーティストのMVなどが流れ、MCのmikako(Nagie Lane)とアナウンサーの名越涼がイベントの趣旨などを説明するといよいよライブがスタートした。

新しい学校のリーダーズ

新しい学校のリーダーズ

トッパーは昨年結成10周年迎え、自身最大規模のライブや日本、アジア、オーストラリア全18都市を巡るツアーを成功させた新しい学校のリーダーズだ。授業の始まりを告げるチャイムから和とトライバルビートを混交した「Go Wild」で口火を切り、最新曲「Chanka Chanka」でリーダーズ流の夏祭りを演出。ブレのないシンクロダンスとアクロバティックな振り付けでオーディエンスを釘付けに。そしてヒット曲「オトナブルー」では闘牛士のごとくスカートを煽りのコレオグラフに盛り込むSUZUKAの卓越したセンス、メンバーそれぞれのソロの見せ場も盛り込んでいく。また、ディスコファンクな「Arigato」ではホウキにマイクがついた小道具が古今東西、ホウキをマイクやギターに見立てるカルチャーもリンクして、ダンスに新鮮なニュアンスも加えていく。

新しい学校のリーダーズ

新しい学校のリーダーズ

新しい学校のリーダーズ

新しい学校のリーダーズ

ハードコアな音像と歌謡曲の懐かしさが混ざる彼女たちらしさは「乙女の美学」でも際立ち、終盤の「Fly High」ではハードテクノな重低音と四つ打ちにフロアが跳ね上がる。ムキムキの筋肉キャラで描かれる4人のアニメーションもシュールで痛快。さらにSUZUKAの爆発的なラップが炸裂する「Tokyo Calling」と、息もつかせぬステージを展開していく。ラストは「今日という1日が最高」「音楽って最高」とさまざまな「最高」をコール&レスポンスした上で彼女たちのポリシーである“常識をはみ出していく”意思をハイパーなスイングジャズに乗せる「One heart」でハッピーに展開。

新しい学校のリーダーズ

新しい学校のリーダーズ

“下校”の文字が大写しになり、慌ててステージ袖に走っていく演出も含め、4人のパフォーマンスはやはり唯一無二だった。ライブ後にはこれは他の3組も同様だが、グループのプロフィールやBillboard JAPANのインタビューなども紹介され、ファン以外のオーディエンスにとって新たな入り口になる構成となっていた。

新しい学校のリーダーズ

新しい学校のリーダーズ

羊文学

羊文学

続いては、この日唯一のロックバンドである羊文学がクールに登場。昨年の『MUSIC AWARD JAPAN』で「最優秀国内オルタナティブアーティスト」と「最優秀国内オルタナティブ楽曲賞」の二冠を達成した他、同年US、アジア、欧州の3大陸を巡る海外ツアーも成功させ、世界で存在感を増している。

浮遊するSEからドラムの4カウントで突入した「OOPARTS」のスケールの大きさはもはやシューゲイザーのジャンルに括るのも窮屈に感じるほどで、塩塚モエカ(Vo,Gt)のより強く遠くへ歌の核心を飛ばすパワー、河西ゆりか(Ba)のコーラスが拡張する清冽と艶が同居する空気感に圧倒される。さらにこれぞオルタナなザクザクしたギターリフが作るオーセンティックな「doll」は国内外のオルタナギターバンドの中でも最高にクールだ。

羊文学

羊文学

この日は2人ともジーンズ姿で素のロックミュージシャンっぽさも際立っている。さらに塩塚のシンガーソングライター的なメロディと歌の良さが伝わる「声」でライブの流れに起伏を作る。演奏がフィニッシュすると小さく「ありがとう」と謝辞を述べるほかは無言で淡々と曲を繰り出していく。サポートとしてすっかり定着したYUNA(Dr)も大きな空間を作り出すドラミングでバンドの屋台骨を支える。

羊文学

羊文学

演奏の強度で進めていくライブの終盤に最大のヒット曲である「more than words」の透明なアルペジオのイントロが鳴らされると、大きな歓声とハンズクラップが起き、他の出演者と少し違うカラーは全くの杞憂であることがわかった。もはやスタイルではなく、媚びず透徹した音楽そのもので羊文学が浸透していることを思い知る場面だ。ブルージーだったり透明だったりする塩塚のボーカルとリアリティに満ちた歌詞がフロアを包み込む。ラストは爆音で現実の閉塞を噛みちぎるような最新曲「Dogs」が今の羊文学を表明する。鋭いストロークと共に広がる真っ赤なライティングが生々しいエンディングを印象付けた。

羊文学

羊文学

LANA

LANA

続くLANAは女性ファンの歓声の大きさに今の女性アーティストの最新形がアップデートされていることを思い知らされる強烈なオープニング。凄まじい爆音のトラックの上で歌うのだが、それぐらいの圧が必要なほどLANAのボーカルはハスキーで強い。初っ端の「華」からダンサーと共に自信たっぷりなパフォーマンスを見せ、ノイジーなギターリフをフィーチャーした「No.5 Band Arr」は思わずハンズアップしたくなるヒップホップ×モダンロックだ。ゴージャスでキュートな佇まいの彼女が承認欲求ではなく、シャネルの5番もジミーチュウのヒールも好きで纏っていると歌いつつ、「お金で買えるものじゃ足りない」と歌う、そのピュアな野望が眩しい。

LANA

LANA

さらに2ステップの軽妙なビートと王道のメロディが混在する「My Life Remix」や、ほぼエレキギターのみの伴奏で聴かせる「it's okay Band Arr」では、どこかエイミー・ワインハウスにも通じるボーカルの表現力に圧倒された。そして中盤には彼女が失恋で傷ついていた時に母親から教えられ、大いに救われたという中村あゆみの「翼の折れたエンジェル」のカバーを披露してくれるというサプライズも。もはやジャンルは関係なくボーカリストとして特大の存在感を示す彼女のスケール感を示してくれた。かと思えば可愛らしく「新曲やりまーす」と、ファンクテイストとシティポップの洗練が共存するフック満載の「Drama Queen」を披露。パワーで押すだけじゃない表現力も加味したこの曲は少しレトロなムードもあり、上の世代にも訴求していく大いなるきっかけになりそうだ。

LANA

LANA

LANA

LANA

続いてはグランジテイストのギターが際立つ「Like a Flower」と、音楽的にも飽きさせない展開を見せ、ラストは彼女がラッパー/シンガーとして自己表現を始めた頃の心情を爆発させる「L7 Blues Extended」。重低音のレゲトンビートも相まって、フロアの興奮をさらに上昇させた。10代の等身大ラッパーから2020年代後半のディーヴァへ。急成長したLANAを存分に見せつけてくれた。

LANA

LANA

Awich

Awich

トリを飾るAwichは「EQUAL」での展開でなんと海外リスナーが776%増という驚異的な成長を見せたと、ライブ前のプロフィール紹介でアナウンス。我々が洋楽のカッコいい女性アーティストをディグリ、ハマる曲を見つけた時と同じ体験が海の向こうでも起こっている。国内ではすでにヒップホップクイーンである彼女がさらに世界で発見されていることを認識したところで、いよいよステージがスタート。

Awich

Awich

暗転と同時に「姐さーん!」と声が上がり、バンドのパワフルなアンサンブルに乗って登場したAwichは「Remember」を歌い始めるが、一度演奏を止め、オーディエンスが全力で遊んでくれるか問いかけて再スタート。いついかなる時も本気のステージしか見せない彼女の心意気を見る。イントロで女性ファンの悲鳴に似た歓声が上がった「どれにしようかな」、ルーツである沖縄のメロディとラウドロックのミックスがAwichならではの「RASEN in OKINAWA」、沖縄出身のヒップホップクルー・SugLawd Familierとの共作曲「LONGINESS REMIX」と、彼女の音楽はすべて彼女のバックボーンや経験、もっと言えば存在からしか生まれないものだと改めて実感する。

Awich

Awich

「今日はこうしたイベントでライブができて非常に光栄です。もっと女性がくると思ったから女性を応援するセットリストにしたんですけど、その女性を応援する男性にも贈ります」と述べ、ウーマンエンパワメントと言えば、痛快なこの曲「Bad Bitch 美学 feat. LANA」をブチかます。曲の半ばではLANAも登場し、さらにヒートアップした。

最初のデビュー当時も再デビュー当時も女性ラッパーはまだ市民権を得ておらず悔しい思いをしたという彼女。「今はこんな素敵なラッパー女子も増えて嬉しいです」と、今の状況を話したからこそ、心情的には不変であろう「Revenge」で描かれるハードな生き方が刺さった。そして実娘のYomi Jahもステージに現れ「TSUBASA feat. Yomi Jah」を共に歌い、アーティストAwichの全方位の心情を伝えてくれる。正直、イベントライブでここまでの幅を見せてくれるとは、と驚いた。

Awich

Awich

終盤はエレガントさを醸すボーカル曲「Bad Bad」で、また違う側面を見せ、ラストは敬愛するWu-Tang ClanのRZAがプロデュースした彼女の半生を描いたという「A Woman Hung Up」をこの日のために日本語訳の字幕も用意して披露。1人の女性のドキュメントと普遍的なソウルナンバーに昇華したこの曲を、この日の締めくくりに意思を持ってセットしたAwichの真摯さに打たれるエンディングとなった。

存在もパフォーマンスも強さのあるアーティストが揃った今回のイベント。結果として女性であることはもちろん、人間としての生き方や自己表現に感銘を受けたオーディエンスが多かったのではないだろうか。今回の出演者はもちろん、世界の「EQUAL」プレイリストや「Women In Music」の記事もチェックしてみたい。

取材・文=石角友香
撮影=【新しい学校のリーダーズ、Awich、羊文学】山内洋枝(PROGRESS-M)、Chie Kato(CAPS)
    【LANA】山内洋枝