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TOMIOKA AI LIVE TOUR 2026 "愛が溶けないうちに"
2026.6.6 LINE CUBE SHIBUYA

冨岡 愛のツアー『TOMIOKA AI LIVE TOUR 2026 "愛が溶けないうちに"』が、6月6日(土)東京・LINE CUBE SHIBUYAでツアーファイナルを迎えた。1stアルバム『愛'sCREAM』のデラックス盤として2月にリリースされた配信限定アルバム『愛が溶けないうちに』に収録されている曲の他、新曲や未発表曲も披露。ピアノ弾き語りも観客の喝采を浴びるなど、見どころ満載だったこのライブの模様をレポートする。

バンドの演奏がスタートすると、観客が打ち鳴らした軽快な手拍子。心地よいビートで会場全体が震える中、冨岡 愛が登場。ものすごい歓声が上がった。オープニングを飾ったのは「デジャヴ」。ステージ上を巡りながら歌う彼女を包む手拍子は、ますます熱を帯びていく。続いて、「ジェラシー」、「劣り」、「かろやかに」、「831」が届けられる中、爽やかな昂揚感が客席全体を満たしていた。

「いきなりみんなが“かわいい!”って言うから、反応しそうなったじゃん! かっこよくキメないといけないのに(笑)」と、最初のMCで観客に言った冨岡。歌っている時は凛としているが、MCタイムでは親しみやすさが際立つ。「過去一のライブができるような気がします! 最後まで歌うなり、ジャンプするなり、手を挙げるなり、笑うなり、泣くなり、自由に楽しんでください。最高の時間にするので、お互いの愛を確かめ合っていきましょう!」と呼びかけられた観客は、明るい歓声で応えた。

アコースティックギターの弾き語りで届けられた「Star空」(※未リリース)、「missing you」。今回のツアーで東京公演限定の披露となった未リリース曲「Lullaby」。歌う前に「みんながライブで聴きたいであろう曲たち」と言っていたが、まさしくその言葉通りの盛り上がり方になった「恋する惑星「アナタ」」、「Psycho」……あらゆる曲で彼女は歌う喜びで満ちていた。

「どこから会いに来てくれたのかな?」と問いかけると、客席のあちらこちらから上がった「秋田」「横浜」「バンコク」「ラスベガス」「韓国」などの声。友だち、姉妹、兄弟、男性2人組など、様々なファン同士で来てくれているのも確認しながら無邪気に喜ぶ姿に和まされた。

「みんなの中から1人だけ、その人に向けて歌っちゃおうかなと。人と人は8秒以上目を合せたら恋に落ちちゃうんだって。この曲のサビが丁度8秒なので、愛とeyeとeyeを合せてもらっちゃいます!」――2、3年前にSNSにのせたことがあるが、音源リリースはしていない「TIPSY」を歌う前に、悪戯っぽい笑みを浮かべた冨岡。事前予告通り、サビに差し掛かると、観客の1人を狙い撃ちして歌っていた。そして、「MAYBE」、「HEART BEAT」、「あなたは懐メロ」……柔らかなトーンの歌声だが、バンドサウンドによって埋没することなく、むしろ活き活きとした存在感を発揮するのが、彼女の独特な魅力だ。各々のソロプレイを交えたバンドセッションにもエレキギターを弾きながら参加。共にステージを作り上げているメンバーたちに寄せている信頼が音から伝わってくる。「アイワナ」、「delulu」、「New Style」が披露された直後、客席から上がった「かっこいい!」という声。音源でももちろん感じられる一面だが、ステージで歌う彼女は雄々しさにも溢れていた。

「実は初のホールなんですよ。今日に備えて、コンタクトの度数を1つ上げてきました! 後ろの方も見えてるし、表情筋まで見える(笑)」と言った後、「delulu」がテーマソングのTVアニメ『ゲルぴよ』について彼女は紹介した。会場内のロビーにはフォトスポットなどのコラボスペースを設置。開演前、着ぐるみのゲルぴよが観客の人気を集めていた。毎週の放送を彼女はとても楽しみにしているのだという。リラックスしていたように思えるMCタイムだったが……実はそうでもなかったようだ。

「私は今、途轍もなく緊張してます」と、突然落ち着かない様子を見せ始めた。「今回のツアーで新しいことにチャレンジしたいと思って、ピアノの弾き語りをやってみようかなと。私、ピアノ弾けないんですけど(笑)。次に歌うのは、私が初めてキーボードで作った曲なんです。ここで弾き語りしたいんですが、もし不協和音が聴こえたら間違いではないので。東京公演オリジナルバージョン(笑)」と語ると、緊張した面持ちでピアノに向かった。そして披露されたのは「愛'sCREAM」。ピアノを弾きながら歌い上げた1コーラスは東京公演オリジナルバージョンになることはなく、瑞々しい音色で彩られた。2コーラス目からはバンドが合流し、爽やかに躍動した歌声。幕切れを迎えた瞬間、大きな拍手と喝采が彼女を讃えた。

大合唱が起こった「グッバイバイ」。元気なコール&レスポンスが交わされた「愛 need your love」。観客が掲げた腕が揺れる風景が壮観だった新曲「soulmate」を経て、ついにラストの曲。歌い始める前に彼女は想いを語った。

「人と人の間の縁はすごくもろくて、アイスクリームが溶けてしまうかのように簡単に崩れてしまう。大切だった人と会えなくなって、連絡がとれなくなることよりも、その人がいなくても毎日は進んで行くことの方が悲しいんじゃないかなと感じています」――2月にリリースしたアルバム『愛が溶けないうちに』の背景にある想いが伝わってくる。「いろんな人生を送ってるみんなが一つの空間に集まって、音楽を生で聴きたいと思ってくれて、時間を割いてくれて……それは当たり前のことではないんですよね。孤独な夜、憂鬱なこと、ハッピーな瞬間、いろんな時があると思うけど、これからも音楽を通して、みんなの人生の一部として少しでも交われたら、すごく嬉しいです」という言葉が力強かった。

約4年前、19歳の頃にLINE CUBE SHIBUYAのエントランスの前で路上ライブをした思い出にも彼女は触れた。「絶対にやっちゃいけないんだけど。この場を借りて、警備員さん、ごめんなさい」と謝りつつ、「LINE CUBE SHIBUYAの中でライブができるのは、幸せで嬉しいことです。良い思い出を増やしていけるようにもっともっと頑張ろうと改めて思いました」と言っていたのが思い出される。作った歌を届けたい一心だった彼女は今、たくさんのファンに愛されている。歌うのが好きな少女がピュアな衝動に突き動かされながら大きなステージに辿り着いたという事実は、何らかの目標へと向かう人々の心を鼓舞するメッセージにもなっていた気がする。そして、「これから楽しみながら音楽と向き合いながら頑張っていくので、みんなもまたライブで会えるまで、自分を大切に毎日を過ごしてください」という言葉が添えられ、ラストを飾ったのは「愛が溶けないうちに」。響かせた歌声の温かなトーンは、観客の一人ひとりとの間にある愛が溶けないことを願う祈りでもあったのだと思う。終演を迎えた時に感じた余韻が、とても爽やかだった。

取材・文=田中大 撮影=YUSUKE TAKAMURA