トランプ大統領=2026年7月8日アメリカのトランプ大統領には、ソーシャルメディアの投稿の最後に、自分のフルネームと肩書を署名として書き残すというお決まりのクセがある。
関税について投稿することもあれば、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事を批判すること、時には軍隊や最高裁判所の判決を称えたり、イランでの戦争について持論を語ったりすることもある。
しかし、どんな内容であれ、トランプ氏は投稿を「DONALD J. TRUMP, PRESIDENT OF THE UNITED STATES(アメリカ合衆国大統領 ドナルド・J・トランプ)」や「President DONALD J. TRUMP(ドナルド・J・トランプ大統領)」という言葉で締めくくる傾向がある。
コメディアンのマーク・ワトソン氏はSNSで、「トランプが自分の投稿に『アメリカ合衆国大統領 ドナルド・J・トランプ』って署名してるのは、父親からだと分かっているメッセージに、わざわざ最後に『お父さんより』って書いてくるような感じ」と例えている。
ハフポストUS版が政治データベース「RollCall」を用いて試算したところ、トランプ氏は6月29日以降、Truth Socialでの投稿に「President DONALD J. TRUMP」と約68回署名しており、5月29日以降は「DJT」というイニシャルを少なくとも101回使用している。
なぜわざわざ署名するのか? 専門家の見解
ジョージタウン大学の著名な言語学教授であるデボラ・タネン氏は最初、この署名を「手紙の書き方の慣習」に例えた。オンライン上のメッセージでも、初めて連絡を取る相手や、何か頼みごとをする際に冒頭や結びに形式的な挨拶を入れる人がいるのと同じ感覚だ。
しかし、明らかに署名が不要な投稿にも入っていることから、「これは、それ以上の意図があるように思えます」とハフポストUS版に語る。
「私の推測では、単なる名前だけでなく『大統領』という肩書とミドルネームのイニシャルを入れていることから、まず第一に、彼はこれを非常に公的なものとして扱っています。そして第二に、自分が大統領であることを人々に思い出させているのです」
もちろん、そんなリマインダーは本来不要だ。トランプ氏のTruth Socialのユーザー名自体が、すでに「President Donald J. Trump」になっているからだ。
「自分のエゴが強い人からすれば、署名なしで投稿を送信してしまうと、『これじゃあ誰からの発信か分からないじゃないか』と感じてしまうのかもしれません」とタネン氏は分析する。
「『大統領』という肩書とミドルネームのイニシャルは、自分という存在を前面に押し出し、自分が誰であるかを周囲に知らしめるための手段なのです」
一方で、トランプ氏があまりにも何度もこの方法で署名しているため、深い意味を持った行動というよりは、単なる「ルーティン化した習慣」になっている可能性もあると指摘する。
「ルーティンになっている場合、それは特に意味を持ちません。でも普段と全く違う場合は、『なぜそんなことをするんだろう』と疑問を持つべきでしょう」
デジタル世代との「ギャップ」
ネット環境とともに育った若い世代にとって、すでに誰のアカウントか明確に記載されているソーシャルメディアの投稿の末尾に、わざわざ自分の名前を書き添える行為は奇妙に映る。
デジタルコミュニケーションにおいて「年齢が高ければ高いほど、その文化は異質なものになる」とタネン氏は話す。これは、メッセージの最後にある正しい句読点、特に「.」が、若者にとっては怒っているように見えたり、冷たく感じられたりするという「マルハラ」の感覚とも似ている。
CNNのホワイトハウス担当記者、アライナ・トリーン氏がXに投稿した内容によると、トランプ氏は多くの場合、自身で投稿を執筆している。しかし、側近のナタリー・ハープ氏やダン・スカヴィノ氏もアカウントへのアクセス権を持っており、代筆することもあるという。
トリーン氏は、「大統領は自分が書いたことを示すために、投稿の最後にイニシャル『DJT』をサインすることがよくある」と説明している。
トランプ氏には他にもお気に入りの結びの言葉があり、「Thank you for your attention to this matter(本件にご注目いただき感謝いたします)」も頻繁にSNSで使われている。
理由がどうであれ、この「クセ」が衰える気配はない。トランプ氏が肩書とフルネームを書き続ける頻度を見ると、それは「誰が投稿を書いたか」を証明するためというよりも、大統領自身が自分の肩書に浸るためのものなのかもしれない。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。


