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Conton Candy ONEMAN TOUR 2026 “すっぴん”
2026.7.12 Zepp Shinjuku

Conton Candyを知るということは、筆者にとっては彼女たちが持つロックバンドとしてのかっこよさにシビれることだった。彼女たちが熱いライブを見せてくれるバンドだということを幸いなことに知ってしまった筆者は、5月20日にリリースされたMajor 1st Full Album『すっぴん』におけるバンドの成長がどんなふうにライブに反映されるのかということも含め、期待がぱんぱんに膨れ上がった状態で、7月12日(日)、『ONEMAN TOUR 2026 “すっぴん”』のツアーファイナルとなるZepp Shinjuku公演に足を運んだ。

するとどうだろう。「最後まで超絶楽しく、ボルテージを上げるところまで上げて、めちゃめちゃいいところまで一緒に行きましょう!」と宣言した紬衣(Vo, Gt)をはじめ、Conton Candyの3人から2時間たっぷりと彼女たちがロックバンドとして持つかっこよさも含め、ライブバンドとしての神髄をまざまざと見せつけられ、シビれるどころか、すっかり圧倒されてしまったのだった。

何が凄かったって、3人が繰り広げる、音源の2割、いや、3割増しと言えるくらいエネルギッシュな演奏もさることながら、彼女たちが観客と作る一体感および熱狂だ。もちろん、それは一朝一夕に作れるものではない。その一体感と熱狂がそのまま彼女たちがこれまでどんなふうにライブ活動を続けてきたのかを物語っていた。

「最高のライブハウスを一緒に作りましょう!」

この日の中盤と終盤、紬衣はそう観客に語りかけた。つまりそれは彼女たちが自身の楽曲「ライブハウス!」で歌っているとおり、ライブハウスらしい空間を作ろうという意味なのだが、どんなふうに彼女たちが理想と考えるライブハウスを作り上げていったのか振り返っていこう。

アルバム『すっぴん』の始まりの曲でもあるインストナンバー「すっぴん」とともにオンステージした3人はアトモスフェリックな曲調を、雨音を表現しているような彩楓(Dr, Cho)のドラムプレイとともに巧みにバンドサウンドに落とし込んだ1曲目の「レイニーデイ」で早速、新境地を印象づける。その一方で、「声を聴かせて! 東京!」と紬衣が求めると、観客は「オーッ!!」と声を上げた。

「周ってきたツアー、掛けてきた時間、すべてこのステージにぶつけます!」(紬衣)

そこから繋げたのは、「Touring」や「リップシンク」といったアップテンポの曲の数々だった。

観客がハンドクラップで応えた「ファジーネーブル」では「聴かせて!」「飛び跳ねろ!」と声を上げた紬衣に応え、観客がシンガロング&ジャンプして、まだ3曲目にも関わらず、スタンディングのフロアには大きな盛り上がりが生まれている。

そして、「ワン・ツー!」と彩楓が声を上げ、なだれこんだ間奏。声を上げながら、楽しそうにキメを重ねる3人の姿がまた観客の気持ちに火をつけ、観客が落ちサビをバンドと一緒に歌う頃には、ステージとフロアが一つになっていた。

この日のセットリストは「ファジーネーブル」をはじめ、これまでConton Candyのライブで熱狂を作ってきたアンセムの数々に、前掲の「Touring」や「普通」「スノウドロップ」といったメジャーデビュー以降、リリースしてきた新たなアンセムが加えられ、Conton Candyのアップデートを印象づけていたように思う。しかし、それだけが彼女たちの魅力ではない。後述する「濁り」をはじめ、観客の耳をそばだてさせるスロー~ミドルテンポの曲が持つ表現力も聴き逃せなかったが、この日、『すっぴん』から披露した「思い出は海風のように」「フルムーンライクアキャットアイ」の2曲は、曲が孕む哀愁やせつなさが観客の胸を焦がしながら、ナイーブさやエモさにだけに頼らないという意味でバンドの成熟や、ある意味洗練を印象づける聴きどころだった。その2曲でリズムを刻む紬衣のギターに代わって、リフやメロディーを奏でる楓華(Ba, Cho)のベースプレイも耳に心地いい。

「このツアー中、喉を痛めてしまい、仙台と新潟公演は振替になってしまったけれど、「このZepp Shinjukuでいったん区切ることになります。最後まで必死に歌います」

改めてツアーファイナルに臨む気持ちを語った紬衣は、5月31日から、札幌、香川、福岡、名古屋、大阪と周ってきた今回のツアーで何を得たのか、その成果を観客に伝えることも忘れない。

「いろいろな景色を見せてもらいながら、成長させてもらったツアーでした。人に何かを伝えようとか、思いを届けようとかした時に、上手に伝えられなかったりとか、思ったように受け取ってもらえなかったりとか、そういうことが私は生きている中でけっこうあって。でも、そういうことも言葉にして、歌にして、作り上げた『すっぴん』というアルバムをひっさげ、ツアーを回ってきて、『すっぴん』の曲がみんなに届いたという事実が私は何よりもうれしいし、『すっぴん』というアルバムを出した大きな意味に繋がったと思ってます。本当に目の前にいてくれてありがとうございます」

中盤、ギターのフィードバックノイズを轟かせ、なだれこんだ「濁り」。スローナンバーと思わせ、曲の後半、テンポアップして、最後はメンバー3人が向かい合いながら、楽器を激しく鳴らして、観客が身じろぎできないほどの凄みを見せつけたが、ヒリヒリとしたその緊張から一転、「強くなったんじゃない。強くさせてもらったんだ!」と紬衣が声を上げ、観客が拳を振った「急行券とリズム」から再びアップテンポのロックナンバーをたたみかけるように繋げていく。紬衣がソリッドなコードリフを刻んだ「OTAGAISAMA」では、観客がバンドを煽るように声を上げる。Conton Candyのライブの観客は、血の気の多い連中が少なくないようだ。そして、紬衣はそんな観客を「来い!」とさらに煽るのだった。

Conton Candyが理想と考えるライブハウスという空間を作り上げるためには、もちろん観客の貢献も必要不可欠だが、そんな観客の、さらに上を行く熱いパフォーマンスを繰り広げる彼女たちの姿を目の当たりにして、やはり彼女たちはライブハウスで揉まれながら、力をつけてきた正真正銘のライブバンドなのだと改めて感じずにいられなかった。

そこから繋げた「ロングスカートは靡いて」でも観客がバンドと一緒に歌い、「ファジーネーブル」同様に、せつない恋心を歌ったラブソングとは思えない盛り上がりが生まれた。そして、ラスサビでは「任せた!」とマイクをオフった紬衣の代わりに観客のシンガロングが響き渡り、フロアの興奮はマックスに!

しかし、そう思ったのも束の間、「Conton Candyの音楽を愛してくれる人がこんなにもいるって自信に繋がるし、勇気が必要なとき、がんばらなきゃなってとき、みんなの顔が浮かんで、一歩踏み出せる。みなさんが私たちを成長させてくれる源だと思ってます。普段は恥ずかしくて言えないけど、心の底から愛してます!」と紬衣がバンドを代表して、観客に感謝を伝えてからの後半戦。バンドの勢いは止まるどころか、「スノウドロップ」「102号室」、さらに「爪」と「傷」というともにパンクな1分ちょっとのショートチューンをノンストップで繋げながら、むしろ体感的にはどんどんテンポアップしていくのだった。

そして、「もう1回やったほうがいいんじゃない?」と紬衣が言い、「傷」をアドリブでもう1回演奏してから、なだれこんだ「ライブハウス!」。《君と僕を繋ぐ ここはライブハウス!》というパンチラインの《ここはライブハウス!》を全員でシンガロングした瞬間、フロアにはさらに大きな一体感が生まれたのだった。

本編最後を飾ったのは、『すっぴん』収録のバラード「国道20号」。音源よりもエモさ3割増しの歌と演奏も聴きどころだったが、男女の別れを歌ったサッドエンドなラブソングの《笑顔の君と私、それぞれの道へ ただそれだけなのに 心の距離で繋がっている》という最後の歌詞が、終演を目前にして観客に語り掛けているように聴こえたのは筆者だけだったろうか。

それは観客が歌う「好きなものは手のひらの中」に迎えられ、再びオンステージした3人がアンコールに演奏した「Rookies」「好きなものは手のひらの中」の2曲も同様だった。ライブ賛歌の「好きなものは手のひらの中」はさておき、テレビアニメ『メダリスト』の第2期エンディングテーマとして書き下ろした「Rookies」もライブハウスで演奏されると、《嗚呼、君に出会えて良かった また私強くなれるんだ》というサビも含め、観客へのメッセージにしか聴こえないのだから、彼女たちがそれを意識しているのか、いないのかはともあれ、そんなところも彼女たちが生粋のライブバンドであることを物語っているように思えたのだった。

「『すっぴん』ツアーはConton Candyの歴史の1ページ。通過点なので、まだまだこれから楽しい未来が広がっていくし、その未来には必ずみんながいないといけないと心の底から思っているので、まだまだ一緒にいてくれますか?」

この日、紬衣が尋ねると、観客はイエスと答える代わりに歓声を上げたが、紬衣が言う「楽しい未来」を実現するため、彼女たちは紬衣にとってバンドを始めるきっかけになったというKANA-BOONとの対バンライブ『“CHAOS!!!” Vol.4』を10月24日(土)、渋谷CLUB QUATTROで開催する。

取材・文=山口智男 撮影=Ryohey Nakayama