働き方やライフスタイルの多様化が進み、働き手が勤務先の企業に求めるニーズについても、細かなヒアリングが欠かせない時代となった。
総合人材サービスを提供するランスタッドは、6月4日「エンプロイヤーブランドリサーチ2025日本版」を発表。働き手が雇用主に対して求める魅力・価値の検証結果を一部明らかにした。
【調査概要】
調査対象:日本在住の18歳~64歳の学生・就業者・無業者 3637人
実施年月:2025年1月
調査方法:14分間のオンラインインタビュー
働き手が思う「理想の雇用主」とは?
調査では、日本の働き手の理想の雇用主に求める優先事項は「魅力的な給与と福利厚生」が最も多く、次いで「ワークライフバランス」と「働きやすい職場の雰囲気」が続く結果となった。また、Z世代では他の世代と比較して、給与を重視する割合が低く、ワークライフバランスを最優先する結果となったと説明している。
現業職とオフィス・専門職に分けて内訳を見てみると、現業部門職(現場での実務作業を担当する職種)は「働きやすい職場環境」をより重視し、給与、ワークライフバランス、職場環境の3つの要素をより均等に評価しているという。一方、オフィス・専門職では給与とワークライフバランスを優先する傾向が強かった。
退職もしくは退職検討の理由調査はまた、全体の転職件数が前年比で3%の減少、転職意向も同様に2%減と緩やかに減少していると説明。退職経験者や退職を検討している人の離職理由は、依然として報酬の不十分さが最も多く、ワークライフバランスの悪さがそれに続く結果となった。Z世代は他の世代と比較して社外への転職率が著しく高く、17%が2025年の前半に転職を計画していると回答した。
リスキリングについては、オフィス・専門職では50%が重要視している一方、現業部門職では44%となり、わずかにギャップが見られた。
AI導入により、Z世代の多くが雇用の不安定性を懸念
雇用主の公平性指標に関する評価は改善傾向にあるが、総じて肯定的に評価している働き手は3分の1に留まっている。
Z世代は公平性のあらゆる指標において、他の世代よりも雇用主を高く評価している。対照的に、上の世代は現在の雇用主の公平性の実績に対する満足度は低い結果となった。
定期的なAI活用AIの導入は着実に進んでおり、何らかの形で利用したことがある従業員の割合は、昨年と比較して30%から41%に上昇した。肯定的な意見は5%増加したものの、全体としては依然として中立的な態度が多数を占めている。
AI利用でリードしている世代は主にミレニアル世代で、日常的または頻繁にAIを使用する割合は、過去1年間で11%から19%へと増加し、2%減少したZ世代を追い抜く結果となった。
Z世代は雇用の不安定性を懸念する回答が多く、ミレニアル世代やX世代と比較して、AI統合による失業への恐れを感じている。対照的に団塊の世代は依然として大部分がAIに懐疑的で、27%が、AIは自分の役割にほとんど影響しないと考えているという。


