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夏場の「暑さ」が深刻化し、あらゆる猛暑対策の新商品が登場している。その中で近年、注目を集めるのが、ファンが内蔵された「空調ウェア」だ。

工事現場など屋外作業で広く普及した空調ウェアだが、6月末に新しく、おしゃれなクロップド丈の空調ブルゾンのブランドがローンチした。

空調ブルゾン「BUBBLES（バブルス）」は機能性はもちろん、リボンやフリルなどデザインにもこだわり、作業着に見えないファッション性の高さも魅力だ。

開発の背景には、「かわいくて、本当に涼しい空調ウェアがほしい」という代表の思いがあった。BUBBLESを開発した「ファンクロ」の代表取締役・齋藤あゆみさんを取材した。

【動画】ふわっと感が可愛い…！空調ブルゾン、ファンをつけるとどんな感じ？動画で見てみる

なかったから、作った。おしゃれな空調ブルゾン

──おしゃれな空調ブルゾンという新しい発想は、どのようにして生まれたのでしょうか。開発のきっかけや背景を教えてください。

新卒で住宅メーカーに入社し、バックオフィスを担当していました。建設現場で働く方々が熱中症にならないよう、空調ウェアの着用を呼びかけていました。

ある時、空調ウェアを着用させてもらったら、涼しい風が身体を駆け抜ける感覚にとても感動しました。当時、日々の通勤の暑さに本当に困っていたので、日常使いできないかとネットで空調ウェアを探し始めました。

女性向けと販売されていたお手頃な価格の商品をやっと見つけて購入したものの、全然涼しくなくてがっかりしたんです。原因は、膨らまない構造だったこと。つまり風が循環しなかったからでした。

元々、いつかは起業したいという思いがあり、小規模な組織も経験してみたいと考えてベンチャー企業に転職しました。自由度の高い会社だったため、途中から週4勤務に変更してもらい、並行して個人事業主として空調ウェアの研究と仲間集めを始めました。

家にあったUV加工のウィンドブレーカーに穴を開けて、ファンをつけてみたのが、最初の試作品です。

残念ながらそのウィンドブレーカーは、生地が厚すぎて涼しさをあまり感じられませんでしたが、それ以来、街でウィンドブレーカーを見かけるたびに「あれにファンをつけたらどうなるだろう？」と考えるようになりました。

試作品も、膨らむ形も可愛い絞れるデザインにしましたが、生地の密度が低く、空気が抜けるべきところから抜けずに布地から漏れてしまい、「改善の余地がある」と感じました。

試行錯誤を積み重ねが、今の製品につながっています。

──2年間にわたり試作と改良を重ねられたということです。開発において特に困難だった点や、苦労した点を教えてください。

布を選び、何度もパターンを修正し、着用して風の通りや肌触りを試す。試作品を作るたびに資材を手配して……。とにかく「時間が足りない！」という日々の連続でした。

膨らませたときに可愛いシルエットを保ちながら、しっかり風が通るようにするために、2023年の開発スタートからパターンは10回以上修正しています。

最後の最後まで悩んだのが布選びです。チタン加工を施すかどうかについては、ギリギリまで検討を重ねました。

今年度のBUBBLESでは、テストマーケティングの一環として、赤字覚悟でshortブラックのみチタン加工を施しています。

UPF50＋の高密度織物に酸化チタンをスパッタリング加工することで、気密性が非常に高まり、必要な箇所から効率よく空気が抜けるため、涼しさを感じやすくなります。

大変ご好評をいただいておりますので、来期もチタン加工ありの製品を展開する予定です。

トレンドのクロップド丈を採用。デザインと機能性の両立で工夫も

──デザインや、「デザインと涼しさの機能性」の両立でこだわられた点を教えてください。

クロップド丈の空調ブルゾンは、トレンドでもあり、日本人女性の骨格に合っていること、他社がまだ作っていないことから最初の製品として考えていましたが形にするのは本当に大変でした。

最初のクロップド丈の空調ブルゾンの試作品はファンの重さで、ファンが倒れてしまうという結果でした。またファンやバッテリーの重さで肩部部分も風を通りにくくなっていました。

洋服のお直しをしているベテラン縫製士の方の店に通い、風がなんとか通らないか試行錯誤を重ねました。その結果できたのが、現在採用している「肩吊り下げ構造」でした。

ショート丈の「short」においては、膨らむことで可愛いパフスリーブをリボンで絞り、ロング丈の「long」では手首にフリルの絞りを入れました。これはデザインだけでなく頸動脈にそって風が抜けるようなデザインにしています。

フェスやアウトドア、屋外イベント…日常生活でも活躍できる

──公式サイトではアウトドアシーンや夏場の屋外イベント、テーマパークなどでの着用写真もありました。様々な場面で活躍しそうです。どのようなシーンでの活用を予想されていますでしょうか。

フェスなど夏の特別なイベントでも映えますし、自転車での子どもの送り迎えや通勤などの日常のシーンでも使っていただきたいと思います。

またBtoBでは、真夏も屋外で働く女性スタッフ向けにご提供できたらと思っています。

──ファンクロやBUBBLESの名前の意味についても教えてください。

「ファンクロ」は、「ファン＋クローゼット」から生まれました。

「BUBBLES」は、空気で膨らんで軽やかなシャボン玉のように涼しげに空間を浮遊する感じをイメージしました。

暑さで億劫になってしまう夏のイベントを、BUBBLESを使って少しでも軽やかに快適に過ごしてもらえたらいいなと思っています。

今後はECだけでなく、小売店での販売もしていきたいので販売パートナーも募集しています。またBUBBLESは夏物商材なので、日本の秋冬のシーズンは、海外ECで南半球で展開していくことも検討しています。

＜空調ウェア「BUBBLES（バブルス）」＞

価格： short 22000 円 ／ long 24000 円 （税込）
※付属品セット価格　バッテリー・ファン（カバー付）・ケーブル

サイズ：フリー　　ファンの稼働時間：最大 10 時間

販売先：公式サイトやAmazonなどで販売中。「long」は2025年7月18日発売

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