イタリアン・ブレインロットとは?「トララレーロ・トラララ」「バレリーナ・カップチーナ」…
もし、あなたの子どもが完璧なイタリア訛りでこうした言葉を連呼しているのなら、自分が正気を失ったのかと不安に感じるかもしれない。
でも、心配はいらない。それは今、学校の教室にまで広がっている最新トレンド「Italian Brain Rot(イタリアン・ブレインロット)」と呼ばれる、AIが生み出したミームだ。
TikTokクリエイターで教師でもあるフィリップ・リンジーさんが、今学校で子どもたちが頻繁に使っている言葉を紹介したが、そのトップに上がったのはもちろん、イタリアン・ブレインロットのキャラクターたちの名前だった。
まだ家でその名前を聞いていない?それはきっと時間の問題だ。
イタリアン・ブレインロットとは?
「Italian Brain Rot(イタリアン・ブレインロット)」とは、前述のとおりAIによって生成されたキャラクターたちから成るミームやコンテンツのこと。主にTikTokで爆発的に広がりを見せており、日本を含む世界中の子どもたちを夢中にさせている。
人間と動物やモノが合わさった奇妙なキャラクターたちが登場し、ナイキのスニーカーを履いた3本足のサメ「トララレーロ・トラララ」、上半身はチンパンジー、下はバナナの「チンパンジーニ・バナニーニ」、頭はカプチーノ、体はバレリーナの「バレリーナ・カップチーナ」など、多くはイタリア風の名前が付けられている。
「ブレインロット」は直訳すると「脳の腐敗」であり、取るに足らない、あるいは知的刺激のないコンテンツを見続けることで「人の精神的・知的状態が劣化する」とされる現象を指す言葉。オックスフォード辞典の2024年の新語にも選ばれている。
「イタリアン・ブレインロット」のトレンドでは、AI動画や画像と架空のストーリー、誇張されたイタリア訛りとが組み合わさり、インターネット上で次々と進化している。
例えば、人気キャラクターの1人「バレリーナ・カップチーナ」の動画はTikTokで2300万回以上再生されており、ダンス動画からメイク動画に至るまで、キャラクターからインスピレーションを得た様々なコンテンツが誕生している。
なぜ子どもたちは夢中になるのか?
それはもちろん「バカバカしいから」である。
アメリカを拠点とするコミュニケーション学の臨床准教授フレディ・トラン・ネイジャー氏は、このトレンドを「AI世代の『I Can Has Cheezburger』(元祖ネコミームとも言われる)」と呼び、Forbesに対し「これはソーシャルメディアユーザーのための不条理な逃避である」と語っている。
この面白さを理解できる人もいれば、そうでない人もいる。2025年1月から始まったとみられるこのトレンドについて、ある投稿者はRedditで「友達みんなが話しているけど全然理解できない」とコメントしている。
それに対し、他の投稿者は「名前を言うだけで面白いし、子どもたちが楽しむユーモアの新しい形がTikTokやYouTubeショートのようなメディアに広まっただけ」と他の投稿者は返信している。
夢中になっているのは子どもたちだけではない。みんながニュース疲れを感じている今の時代を考えれば、むしろ当然かもしれない。
「子どもだけ?私は42歳だけど、友人たちと一緒にイタリアン・ブレインロットを楽しんでいる。ローマ帝国以来、イタリアから生まれた最高のものだ」と別の投稿者はコメントしている。
ただの「時間つぶしの馬鹿げた遊び」としてのトレンドである一方、懸念もある。
イタリアン・ブレインロット発のフレーズの中には、真似をした子どもたちが無意識のうちに攻撃的な意味合いのある発言をしてしまうものもある。中には何の意味も持たない言葉をイタリア語訛りを誇張して言っているものもあり、それがステレオタイプを悪化させるという意見もある。そのため、子どもが実際に何を口にしているのかを見守ることは重要だ。
ハフポストUS版の記事を翻訳・編集・加筆しました。


