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フォトジャーナリストのファトマ・ハッスーナさん。イスラエル軍による攻撃で破壊されたガザの街並みや、その中で生きるパレスチナの人々の姿を撮影・記録し続けたフォトジャーナリストのファトマ・ハッスーナさん。イスラエル軍による攻撃で破壊されたガザの街並みや、その中で生きるパレスチナの人々の姿を撮影・記録し続けた

パレスチナ自治区ガザ地区のフォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナさんとイラン人監督セピデ・ファルシさんの約1年間のビデオ通話を記録したドキュメンタリー映画「手に魂を込め、歩いてみれば」が12月5日、日本で公開された。

本作のフランス・カンヌ国際映画祭での上映が決まった直後の4月、25歳のハッスーナさんは、イスラエル軍の空爆によって家族とともに殺害された。

ファルシ監督は声明で、「指⼀本で押されたボタンが爆弾を投下し、ガザの⼀軒の家を、そこに⽣きる輝かしい命ごと消し去りました。もはや疑いの余地はありません。いまガザで起きていることは、2023年10⽉7⽇にハマスが⾏った犯罪への報復ではなく、イスラエル国家によって⻑期にわたり続けられているジェノサイドなのです」と述べた。

なぜ笑顔を絶やさなかったのか

ファルシ監督と笑顔でビデオ通話するハッスーナさんファルシ監督と笑顔でビデオ通話するハッスーナさん

ファルシ監督は、16歳の頃に反体制活動のために投獄され、18歳で故郷のイランから亡命した。それ以降、パリを拠点に、イラン・イラク戦争を題材にした長編アニメーションやドキュメンタリー、フィクションなどの映画を制作している。

2024年、イスラエルが外国人記者のガザ入りを全面的に禁止する中、ファルシ監督はパレスチナ人の友人を介してハッスーナさんと知り合った。

民間人が身を寄せる住宅や避難民テントを狙った爆撃、物資搬入の遮断が引き起こす人為的な飢餓、家族や友人たちの死。脆弱な電波で通話が何度も途切れる中、ハッスーナさんは、ガザの人々や自らの身の回りで起きていることをスマートフォン越しに伝える。ファルシ監督によると、ハッスーナさんは監督に電話をかけるために通信電波を探して何キロも歩くこともあったという。

2人が交流した約1年間、ハッスーナさんは家族や自身の命が脅かされる状況でも、笑顔を絶やさなかったとファルシ監督は振り返る。

11月下旬、都内であった日本記者クラブの会見で、ファルシ監督は「ガザのパレスチナ人として(自分を)どう思うかと尋ねた時、ファテム(ハッスーナさんの愛称)は『誇りに思う』と笑顔で答えていました。ファテムの笑顔は、生き続けるための方法であり、抵抗、尊厳、誇りの笑顔でもありました」と話した。

ハッスーナさんが撮影したガザの人々ハッスーナさんが撮影したガザの人々
日本での映画公開を前に来日したセピデ・ファルシ監督日本での映画公開を前に来日したセピデ・ファルシ監督

「葬られることのない永遠の姿を」

2025年4月15日、ファルシ監督はカンヌ国際映画祭での本作の上映決定をハッスーナさんに報告した。その翌日、ハッスーナさんはイスラエル軍によって家族6人とともに殺害された。

5月の映画祭開幕に合わせ、ハリウッドの著名俳優ら約400人が連名で、「カンヌで、ガザの恐怖を沈黙させてはならない」と題する書簡を発表した

書簡では、ファトマさん殺害に言及した上で、イスラエル軍がジャーナリストや作家、映画制作者、芸術家を含む民間人を標的にしていると非難。「ファトマのために、そして無関心のうちに死んでいくすべての人々のために。映画にはメッセージを伝え、社会を反映する義務がある。手遅れになる前に行動しよう」と呼びかけていた。

この書簡には、リチャード・ギアさん、スーザン・サランドンさん、マーク・ラファロさん、マイケル・ムーアさん、ホアキン・フェニックスさんなど、世界的な著名俳優や映画監督らが名を連ねている。

映画「手に魂を込め、歩いてみれば」のワンシーン映画「手に魂を込め、歩いてみれば」のワンシーン

2024年8月。ハッスーナさんは自身のInstagramで、自身の死に関してこう記していた

“もし私が死ぬのなら、響き渡る死を望む。ニュースの速報や、集団の中で数字の一つになるような死は望まない。世界中が耳にするような死を、時代を超えて残り続ける影響を、時間や場所によって葬られることのない永遠の姿を望む”

10月9日の「停戦」合意以降も、ガザでは子ども136人を含む少なくとも327人がイスラエルによって命を奪われた。パレスチナ人に対する殺害、暴力、破壊行為、非人間化は終わることなく、今も続いている。

登場人物:セピデ・ファルシ、ファトマ・ハッスーナ
監督:セピデ・ファルシ プロデューサー:ジャヴァド・ジャヴァエリー
制作:Reves d‘Eau Productions、24images Production
配給:ユナイテッドピープル
2025年/フランス・パレスチナ・イラン/113分

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