オーストリア・ザルツブルク近郊のエルスベーテンで、80代の修道士3人が介護施設を抜け出し、かつて暮らした修道院「シュロス・ゴルデンシュタイン」へ戻った出来事が、世界的な関心を集めています。
BBCによると、修道士は、シスター・ベルナデッテさん、シスター・レジーナさん、シスター・リタさんの3人。
元生徒と鍵屋の助けで修道院に入ることに成功し、「家に戻れて本当に嬉しい」とBBCに語っています。3人は、自分たちの意思に反して2023年12月に介護施設に移されたと主張。「最期までここで暮らす権利があった」と訴えているといいます。
CNNは、提携している現地メディアの情報として、帰還後の修道院には水道や電気が通っておらず、支援者が発電機や生活物資を提供したと報道。医師も定期的に訪れていると伝えています。
修道院は1877年創設の歴史ある施設で、3人は70年以上にわたりここで生活し、教師として働いてきました。教え子らが連日支援に訪れており、「修道院はシスターたちの家」とBBCに説明しています。
しかし、修道院側は激しく反発しています。
CNNによると、マルクス・グラスル修道院長は、声明で「修道院の部屋はもはや使用に耐えず、高齢の彼女たちの健康状況から自立して暮らすのは不可能だ」と訴え、介護施設への帰還を求めているといいます。
一方で、修道士たちは施設に戻る意思はなく、Instagramで祈りや食事の様子、老朽化した修道院を修繕する姿を発信。フォロワーが激増し、12月現在で27万人を超えています。
修道士は「彼らはメディア報道の影響で私たちに関心を持っているのだけれど、Instagramを通じて見ているのは、私たちの礼拝の様子だ」とNPRに説明。本来の自分たちの行いを広める手段だと捉えている様子です。
NRPによると、教会側はその後、SNSでの発信やメディア取材を受けるのをやめることを条件に、修道士たちが修道院に住むことを認めると発表。修道士たちはこの条件を拒否しているといいます。


