2026年1月13日(火)、女優の藤山直美と寺島しのぶが、東京・新橋演舞場で2月5日(木)初日を迎える舞台『お光とお紺~伊勢音頭 恋の絵双紙~』(24日まで)の製作発表会見に出席した。年始らしく着物姿でしっとりと登場したが、口を開くと漫才の掛け合いのように軽快なテンポで爆笑の連続。12年ぶりの共演となるが、すでに息ぴったりだ。二人の笑い声が響いた会見の様子をレポートする。
会見中は爆笑の連続だった
舞台は1987年に、女優の森光子と草笛光子で初演された舞台『油屋おこん』(脚本・演出:小幡欣治)を下敷きに、一部のあらすじを変え、タイトルも『お光とお紺~伊勢音頭 恋の絵双紙~』として上演する。
江戸の吉原、京都の島原と肩を並べるほどの大きな郭として栄えた三重県伊勢市にある歓楽街・古市で、1796年に実際に起きた事件『油屋騒動』が題材。同事件は歌舞伎の『伊勢音頭恋寝刃』のもとになったことでも知られている。古市で暮らしていた若い医者が遊女・お紺を求め油屋で次々と人を斬った事件を新たな視点で捉え直し、幼なじみのお紺(藤山)とお光(寺島)の二人の遊女の友情と恋を〝笑い〟を交えて描いていく。
寺島と藤山は、1997年に上演された『浅草慕情 〜なつかしのパラダイス〜』で初共演。以降、『喜劇 地獄めぐり ~生きてるだけで丸もうけ~』など多数の作品で共にステージに立ってきた。誕生日も同じ12月28日で「年に1度は必ず連絡を取り合う」と藤山。寺島は「12年ぶりにこんな重要無形文化財のような方と共演出来ることは幸せ。直美さんはお芝居もすごいんですけど、人を笑わせた後の孤独がすごいんです。人を笑わすことに長けている方なんですけど、笑わせた後にスッと冷たい目をするのが好きなんです。今回は舞台上で、その目を拝見できるのが楽しみです。久しぶりの共演で『しのぶちゃん変わっていないな』と思われないように食らいついていきたい」と気を引き締めていた。
稽古は14日からで台本は最近渡されたそう。寺島は「『浅草』もそうでしたが、本はあってないようなもの」と初共演した『浅草慕情 〜なつかしのパラダイス〜』を振り返り「(中村)勘三郎さんも、柄本(明)さんも、人間で見せる!みたいな感じになっていたので、台本の通りにやった覚えがないんですよね。今回も直美さんと私がやらせていただくことで、セリフ以外の所が面白くなっていけば、もっともっと膨らんでいくと思います。一旦は恋敵になることもあるんですけど、今回は〝喜劇〟と書いてありますので、直美さんの喜劇をお楽しみ下さい!」とPRした。
会見の中盤、「ホンマの話をしますわ」と口を開いた藤山。寺島に「えっ、今までの話しは?」と突っ込まれていたが、真剣な表情を見せると「昔、うちの父(藤山寛美さん)が借金まみれになって、松竹をクビになったんですけど。『お前、そんなんじゃ食べて行かれないやろ』と助けてくれたのが、しのぶちゃんのおじいちゃん(俊藤浩滋さん)でした。東映の大プロデューサーで、使ってくれて。一家心中するところを助けられた。恩人なんです」と思わぬエピソードを告白。このことをきっかけに、藤山自身も東映の映画に声がかかるようになり、寺島の母・富司純子が藤山寛美さんの妻役を務めた作品で「私は子役を務めたことがあるんです。一世代同士の縁と違って、もっと上の代から絡み合っている話し。父から人にしてもらったことは一生忘れちゃいけないと言われていたので、うちの家族は全員忘れていません。しのぶちゃんと一緒に頑張ることでいいものができればいいなと思っています」と思いを明かした。
藤山は「明日からお稽古。同じ方向を向いて頑張ります。2月の寒い寒い東京ですけれども、お客さまに喜んでいただけるように静かに(熱く)頑張りたい!」。寺島は「皆さまに来て良かったなと思っていただけるように、精一杯頑張りたい!」と目を輝かせていた。
〝つま先立ち〟になって寺島とポーズを取る藤山(右)
取材・文・撮影=翡翠