米ミネソタ州ミネアポリスで移民・関税捜査局(ICE)の職員に射殺されたレニー・ニコル・グッドさんの追悼式で飾られた遺影と花束。(ドイツ・ベルリン、2026年1月11日)米ミネソタ州ミネアポリスで、レニー・グッドさん(37)が移民・税関捜査局(ICE)の職員に射殺された事件で、グッドさんの家族は、6年前に同じくミネアポリスで警察官に首を押さえつけられ死亡した黒人男性ジョージ・フロイドさんの遺族の代理人と同じ法律事務所を、弁護団として起用した。
「息ができない」と訴えていたフロイドさん
ジョージ・フロイドさん(当時48)は2020年5月、後ろ手に手錠をかけられたままうつ伏せにされ、白人の警察官に膝で首を9分以上にわたって押さえつけられ死亡した。フロイドさんは「息ができない」と何度も訴えていた。
フロイドさんの事件は、黒人に対する警察官の暴力や人種差別に抗議する「Black Lives Matter」運動を再燃させ、世界的なうねりを巻き起こした。事件に関与した元警察官たちは、殺人や公民権侵害の罪で有罪評決を受けている。
フロイドさんの遺族がミネアポリス市を相手取り提訴した民事訴訟は2021年、市側が遺族に2700万ドルの和解金を支払うことで合意した。
フロイドさんの遺族の弁護団を務めたロマヌッチ・ブランディン法律事務所は、今回のグッドさん射殺事件でも遺族の代理人となった。
BBCによると、グッドさんが射殺された事件現場は、フロイドさんが警察官から暴行を受けた場所からわずか1マイル(約1.6キロ)ほどの距離にあった。
ヘネピン郡政府センター前で行われた抗議集会。参加者たちは、ジョージ・フロイドさんや、その他の人種差別事件の犠牲者を追悼するプラカードを掲げていた。(米ミネソタ州ミネアポリス、2021年3月28日)「決して起きてはならないこと」
弁護団は声明で、レニー・グッドさんの家族が、グッドさんが政治的な駒として利用されるのではなく「全ての人のための平和の担い手」となることを望んでいると述べた。
また「レニーに起きたことは間違っており、確立された警察活動の慣行や手続きにも反し、現代のアメリカでは決して起きてはならないこと」だと強調した。弁護団は今後、射殺事件の真相を明らかにするための調査を行うとし、「調査で判明したことを、可能な限り迅速かつオープンに伝えていく」と説明している。
米司法省はグッドさん射殺事件について、現時点では公民権侵害に関する刑事捜査を開始する根拠はないとの見解を示した。AP通信はこの決定について、「公民権侵害の可能性がある法執行官による民間人殺害事件の捜査を迅速に開始する、という従来の政権の対応とは大きく異なっている」と報じている。
一方、通常の手続きと異なり、米連邦捜査局(FBI)による捜査が行われている。
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グッドさんとパートナーは1月7日朝、6歳の子どもを小学校に送った後、ICE抗議活動を見るために車を止めたという。ICE捜査官が近づき、グッドさんが乗っていた車を発進させた直後に、捜査官に撃たれて死亡した。
クリスティ・ノーム国土安全保障省長官ら米連邦当局は、ICE職員が「防衛的に発砲した」と主張。また、同省はグッドさんを射殺した職員が胴体に内出血を負ったとも主張している。
事件当時の映像を見たというミネアポリスのジェイコブ・フレイ市長は、銃撃を正当防衛だとするICEの主張を「でたらめだ」と非難した。発砲したICE職員について「人を死なせるような無謀な権力の行使をした」と発言し、ICEに対して「ミネアポリスから出て行け」と要求した。
(この記事は、ハフポストUSの記事を翻訳・加筆しています)


