オペラシアターこんにゃく座は、2026年2月8日(日)~18日(水)、新作オペラ『歌え!比羅夫丸』を東京・吉祥寺シアターで上演する。本作は、青森を拠点に活動する劇団「渡辺源四郎商店」(店主=畑澤聖悟)が 2022年に初演した『Auld Lang Syne』を、装いも新たにオペラ版へと改訂したもの。オペラ台本は元の戯曲を書いた畑澤聖悟が自ら手掛けた。また、作曲は2022年オペラ『ルドルフとイッパイアッテナ』以来こんにゃく座では2作目となる信長貴富、そして演出をこんにゃく座では4作目となる眞鍋卓嗣(劇団俳優座)が、それぞれ担当する。
【動画】オペラ『歌え!比羅夫丸』The動画 – こんにゃく座
これまで、洋の東西を問わず、数々の題材からオリジナルのオペラを創作してきたこんにゃく座だが、今回挑むのは、一風変わった、船たちの物語。登場するのは、ほとんどが“船”。よって、こんにゃく座歌役者たちは皆、“船”の役を歌う。そんな、世にも珍しい船たちのオペラが、今回は青森組と函館組の2組のヴァージョンにて届けられる。
観客がまのあたりにするのは、初代青函連絡船である比羅夫丸(ひらふまる)と田村丸(たむらまる)を中心に、世界各地の海で働いて青函航路にやってきた船たちの生きざまである。ここにおいて重要なのは、日本を取り巻く近現代史が描かれることだ。これらは今、ほとんど学校では習う機会がない。学校では明治、大正、昭和の近現代史を教えることに重きが置かれていないからだ。というのも、大学入試で取り上げられない、授業時数が足りないから、などの理由によるところが大きい。しかし、明治、大正、昭和は、ふたつの世界大戦をはじめ、大きな戦争が数多く繰り広げられた時代であり、混迷する現代を生きる私たちが学ぶべきこと、世界の中で日本が何をし、何をしなかったのかなど、知っておくべきことが山ほど詰まっている。その意味でも、1908年から現代までを船たちの視線を借りてわかりやすく描く本作は、こどもからおとなまで幅広い年齢の人たちに、今だからこそ見てほしい作品となっている。
【あらすじ】
1908(明治41)年、日本初の蒸気タービン船が津軽海峡にお目見えした。スコットランドで建造された世界最新鋭のその船の名は、二隻の名は阿倍比羅夫と坂上田村麻呂にちなみ、比羅夫丸(ひらふまる)と田村丸(たむらまる)! 二隻は本州と北海道を結ぶ“青函連絡船”として運行を始め、それまでのどの船よりも早い速度で本州と北海道を結び、その豪華な装飾や船内の装備も話題に。 元ロシア帝国の船・ニングタ号も会下山丸(えげさんまる)と名前を変え、日露戦争に軍艦として参戦した蛟龍丸(こうりゅうまる)、かつて病院船として働いていた弘済丸(こうさいまる)など、青函航路をゆく他の船たちとともに、日本の物流と旅客輸送の拡大に貢献した。会下山丸は最新鋭の蒸気タービン船・比羅夫丸、 田村丸に比べて性能が劣るが、吹雪に見舞われ座礁した田村丸を会下山丸と比羅夫丸が救助するなど、三隻は絆を深めていく。明治時代から歌い継がれる「蛍の光」の原曲は、スコットランドの民謡「Auld Lang Syne」。1941(昭和16)年、青函連絡船出航の際、船内では「蛍の光」のメロディーが流れていたが、ほどなく、日本が太平洋戦争へと突入していき……。船は所有者がかわるたび、時にその名を変え、航路や役割を変えながら海の上を走り続けた。明治、大正、昭和、激動の時代を生きた、船たちの物語!