2026年2月1日(日)に初日を迎える、歌舞伎座『猿若祭二月大歌舞伎』。この度、中村屋ゆかりの「猿若祭」を彩る特別ポスターが公開され、歌舞伎座売店での販売が決定した。
「猿若祭」は、寛永元(1624)年に初代猿若(中村)勘三郎が猿若座(後の中村座)の櫓をあげ、江戸で初めて歌舞伎興行を創始したことを記念して始まった公演。昭和51(1976)年に十七世中村勘三郎を中心として、歌舞伎座で第一回の「猿若祭」が行われ、以降、昭和62(1987)年の第二回では中村勘太郎(現・勘九郎)、中村七之助が『門出二人桃太郎』で初舞台を踏み、平成6(1994)年の第三回は十七世勘三郎の七回忌追善、平成29(2017)年の第四回では中村勘太郎、中村長三郎が父・勘九郎たちと同じ『門出二人桃太郎』で初舞台。令和6(2024)年の第五回では、十八世勘三郎の十三回忌追善が行われるなど、中村屋にとって大切な公演。
今回、初めて三年連続歌舞伎座で開催され、節目の五十年を迎える「猿若祭」では、中村屋の兄弟、親子が古典の名作に取り組むことが話題となっている。
中村勘九郎と中村七之助の兄弟競演『積恋雪関扉』
逢坂の関を舞台にした、ドラマティックな舞踊劇の大作『積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)』。天下を狙う関守関兵衛実は大伴黒主を中村勘九郎が、平成23(2011)年の平成中村座以来、満を持して歌舞伎座で初めて勤める話題の舞台。どこか怪しげな前半の関兵衛から、その本性を顕して大悪人・大伴黒主となるダイナミックな後半まで見どころ満載。そして、小野小町姫と傾城墨染実は小町桜の精の二役は、中村七之助。見目麗しい前半の小野小町姫は平成中村座で演じて評判となり、今回、妖しい魅力の傾城墨染実は小町桜の精を初めて演じる。
歌舞伎座『積恋雪関扉』特別ポスター
公開されたビジュアルには、大きな斧を手に天下を狙う大悪人・大伴黒主の本性を顕した中村勘九郎の凄み、手拭いを口に咥えた傾城墨染実は小町桜の精を演じる中村七之助の妖艶さが映し出される。緊迫感ある瞬間を捉えた写真家・渞忠之の撮影が冴えわたる。
関兵衛が取り持つ、宗貞と小町姫の仲睦まじさを描く大らかな前半から、関兵衛を口説く傾城墨染が姿を現し、それぞれが本性を顕すぶっ返りの演出が魅力の後半まで、ドラマティックな舞踊劇の大作を良峯少将宗貞を八代目尾上菊五郎という充実の競演で上演。映画『国宝』でも取り上げられ、注目を浴びている作品を、歌舞伎座では平成27(2015)年2月以来、11年振りの上演となる。
中村勘九郎
勘九郎は、「関兵衛は、(二世中村)吉右衛門のおじ様に習うことができた財産のお役。当時、絵で描いてくださったりダメ出しいただいたものが残っておりますのでそれを見返して、おじ様の言葉を思い出しながら勤めたい。七之助と、共演の八代目菊五郎さんといいものにしたいです」と意気込む。
中村七之助
七之助は、「『積恋雪関扉』は大曲で、歌舞伎俳優にとってはとても重く、そして演じたい演目の一つです。舞踊の素晴らしい要素がたくさん入っている、大好きな踊りを、猿若祭で兄と踊ることができて嬉しいです」とコメント。
中村勘九郎と中村勘太郎の親子競演『一谷嫩軍記』
時代物の大作『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』より、戦乱の世の無常が胸打つ、親子の悲劇的な運命を描いたの「陣門・組打(じんもん・くみうち)」の名場面。源平の合戦を題材とした「平家物語」の中でも特に知られた平敦盛の最期を大胆に脚色した物語で、源氏方の武将・熊谷次郎直実とその息子・熊谷小次郎直家の親子の運命が描かれる。勇猛果敢な熊谷次郎直実を中村勘九郎、熊谷小次郎直家と無官太夫敦盛を中村勘太郎が共に初役で演じる、中村屋の親子競演が話題となるひと幕。
歌舞伎座『一谷嫩軍記 陣門・組打』特別ポスター
公開されたビジュアルは、武士として生きる熊谷次郎直実と平家の公達・無官太夫敦盛を演じる中村勘九郎と中村勘太郎親子の姿が浮かび上がる。熊谷次郎直実が手を掛ける敦盛は実は…。「熊谷陣屋」の前段となる場面。まるで大正から昭和初期のブロマイドのような渞忠之撮影のモノクロで表現された写真からは、鬼気迫る緊張感が漲る。
中村勘太郎
勘九郎は、「勘太郎は来月15歳になり、敦盛は16歳。実年齢に近い親子で、この名作を初役で手掛けられることは一つのチャレンジです。『積恋雪関扉』の関兵衛も、この熊谷も、劇場に合わせた大きさを出さなければいけない難しいお役ですが、皆様の懐を借りて、いい芝居を届けたいです」とコメント。
古典の名作が並ぶ充実のラインアップと、世代を超えた豪華顔合わせでお贈りする今年の「猿若祭」に期待しよう。