2026年3月16日(月)~22日(日)草月ホールにて、音楽劇『アカネイロのプレリュード~赤坂の奏~』が上演される。この度、水田航生&小野塚勇人のインタビューが届いたので紹介する。
音楽劇「アカネイロのプレリュード~赤坂の奏~」
歴史ある伝統文化が息づく街でありながら、新たなエンターテインメントの発信地として躍動する街、赤坂。この街と共に歩んできたTBSが、赤坂の街を舞台にした新たな音楽劇を創り上げる。
ピアノ1台の生演奏とキャスト4人による珠玉の音楽劇『アカネイロのプレリュード〜赤坂の奏〜』は、赤坂にある老舗音楽Bar「アカネ」が舞台。父親失踪の報せを受け、Bar「アカネ」の立て直しに挑むことになる主人公の鮎川浩太を水田航生と小野塚勇人がダブルキャストで演じる。今回、水田と小野塚が本作への思いを語ったインタビューが到着した。
ーー最初に今回の企画を聞いたときのお気持ちを教えてください。
水田:新作の音楽劇で、思い入れもある赤坂という街を前面に出した作品に出演できることをとても光栄に思っています。今回、初共演の方ばかりですし、演出の元吉庸泰さん、脚本の粟島瑞丸さんとも初めてです。これほど知らない方ばかりのカンパニーに入るというのは楽しみも大きいです。
小野塚:赤坂という場所を舞台にした作品で、草月ホールという赤坂にある劇場で上演される、街おこしにもつながるプロジェクトに参加させていただけることはとても光栄です。赤坂に根を張る登場人物たちの物語がどう広がっていくのか楽しみです。しかも今回は4人芝居です。4人で作り上げる空気感をぜひ楽しみにしていただきたいと思っています。きっと舞台ならではの生の良さを感じていただけるのではないかと思います。
ーー水田さんは赤坂に思い入れがあるということですが、どのような思い出があるのですか?
水田:初めて大阪から東京に1人で来たときに、BS-TBS(旧BS-i)さんのドラマのオーディションを受けるために赤坂に来たんですよ。駅前にTBSがドーンとあって、「これが心臓破りの坂か!」とテレビで観た場所が目の前に広がっていることに感動した思い出があります(笑)。
水田航生
ーー小野塚さんは、赤坂の街にどんな印象がありますか?
小野塚:僕も仕事で来ることが多いです。ドラマのオーディションもそうですが、今、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』を上演しているTBS赤坂ACTシアターで以前、劇団EXILEの公演を上演したことがあるんですよ。劇団員が全員揃って立った初めての舞台だったので、それもまたすごく思い出深いです。ただ、仕事で来る街というイメージがあるので、どこか緊張感があります。
ーー本作は、Bar「アカネ」を立て直すために、浩太たちが奮闘するという物語です。脚本を読んだ感想を教えてください。
水田:ワンシチュエーションで人と人との繋がりを見せる作品だと感じました。だからこそ、頼れるものがキャスト同士しかいないですし、それぞれのキャラクターが抱えているバックボーンをしっかりと持っていないとこの作品の良さが伝わらないだろうなとプレッシャーも感じました。僕たちが演じる鮎川浩太という役は今を生きる現代人の悩みや葛藤、くすぶっている気持ちを体現しているような人物なので、浩太が3人と出会うことによって、どう変わっていくのかも見どころの一つだと思います。
小野塚:鮎川浩太は、僕と同年代なんですよ。夢を追いかけている多くの人が経験したり、感じたりすることがこの物語の中で描かれていると思います。浩太は、夢と現実の狭間で、自分の人生をそろそろ現実的に考えるべきなのか、それとも夢を追うべきなのか悩んでいます。年齢的にも現実を考え出す年頃でもあるので、リアルな心境が描かれているなと感じました。そうした中、3人が浩太のためを思って行動することで浩太は成長していきます。それぞれの関係性や過去がキーになるのですが、そうしたところはまだ余白も多いと思うので、稽古を通して、全員のバックボーンが細かく見えるように表現していけたらと思っています。
ーーお二人が演じる鮎川浩太というキャラクターに共感できるところは多いですか?
水田:小野塚くんがおっしゃったように、30歳を超えた頃にみんながぶち当たる、現実と理想の狭間があると僕も思いますし、とても共感できます。しかも、そうした悩みがパーンと晴れることはなくて。僕自身、今もそうしたマインドになるときもありまして、きっと永遠に付き合っていかなくてはいけない感情なんだと思います。浩太の生き様を見ていると改めてそういったことを感じますし、きっと誰しもが共感できるキャラクターなのではないかと思います。
小野塚:僕も共感しかないです。悩むことなく、人生がうまくいく人なんて、本当に一握りで、宝くじが当たるか当たらないかというくらい珍しいことだと思うので、ほとんどの人は浩太のような葛藤を抱えながら生きているのだと思います。でも、だからといって、現実を認めて夢を諦めることが悪いことなのかいうと、そんなことないと思うんですよ。自分が満足できるならば、結果的にはどの方向に進んでもいいと思います。僕自身も今も葛藤を抱えて生きていますが、それは「もっとこうやりたい」という探究心が消えないからです。もし、探究心や好奇心が消えることがあったら、そのときはスパッと役者を辞めるかもしれません。でも、好きだという気持ちややりたいという情熱があるうちはそこに向かっていた方が人生の最後に悔いなく終われる。自分が納得できれば、どんな選択をしても良いのだと思います。そうした葛藤を抱えて、狭間でもがいているのが浩太なので、きっと皆さんも共感できるところがあるのではないかと思います。
ーーお二人は今回、初めてご一緒するということですが、お互いの印象は?
水田:こうして一緒に取材をさせていただいて、とても頭の良い方なんだろうなと思いました。言葉のチョイスがとてもしっかりされているので、きっと建設的に物事を考える方なんだろうと。偉そうな言い方ですが。
小野塚:僕も同じことを思っていました。(お話を聞いて)いらないプライドは持たない主義なのだろうなと感じて、すごくホッとしています。作品を良くするためにどうするのかが大事なので、一緒に作っていけることがすごく楽しみです。
小野塚勇人
ーーところで、「本物のショー」を作り上げ、お店を立て直していくという本作ですが、お二人にとっての「本物のショー」「目指すべきショーの理想形」を教えてください。
小野塚:実際にステージを作っている側の視点とそれを観ている側の視点でも違うと思います。観ている側の視点では感動を覚えたり、心を揺さぶられることが「本物のショーを観た」と思っていただけるのかなと思いますが、演じている視点から見ると、そうした賞賛をもらうために、それぞれのスタッフ、役者たちがどれだけ考え抜いたかだと思います。そこに怠慢があると「ただやっているだけ」になってしまう。みんなが同じ方向を向いている現場は、すごくいい現場に入ることができたと感じるので、そうしたときに「本物だ」と思います。
水田:舞台を1人の観客として観たとき、(終演後に)「歩いて帰りたい」と感じたら、その作品が本当に心に響いたんだなと僕は思います。ちょっと一駅歩いて、電車に乗るまでに咀嚼したいんですよ。どこかのお店に入ると、例えばドリンクを飲まなくてはいけない、ご飯を食べなくてはいけないから、それはまた違う。ただ1人で歩いて、「あのシーンってこうだったのかな」とか「このシーンでは何かを伝えたかったのかな」と考察したいんです。そうした時間を作りたいと思える作品に出会えると「演劇を観た」という感覚になります。そう考えると、余白があるお芝居は本物に近いのではないかなと思います。
ーー最後に公演に向けての意気込みと読者へのメッセージをお願いします。
水田:完全新作の赤坂を舞台にした作品になります。赤坂は、これまでにもたくさんの物語が生まれてきた街ですが、音楽劇として創り上げるというのは挑戦的でもありますし、お客さまに染み渡る物語になるのではないかと僕自身も期待しています。そうした作品が作れるよう、稽古に励んでいきたいと思いますので、ぜひ草月ホールに足を運んでいただければ嬉しいです。今回は、全役がダブルキャストなので、1回だけでなく何度も味わっていただいて、スルメのように噛み締めて、何度噛んでも美味しい作品にしたいと思います。
小野塚:赤坂の街がすごく暖かいことをこの作品を通して感じていただければと思いますし、赤坂を知らなかった方にも来ていただいて、この街を知っていただけたらと思います。心が温まる作品です。冬が終わって春が訪れる季節ですので、この作品をご覧になってポカポカした気持ちで帰っていただけたらと思っています。自分にとっては1年ぶりの舞台になりますが、この作品を通してまた成長できるのではないかと思いますし、しっかりと稽古を積んで、感情に厚みのある作品にしていきたいと思うので、ぜひ楽しみにしていてください。