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2026年2月1日(日)、大阪・サンケイホールブリーゼにて『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL SPIN-OFF 「THE BONDS 2026 -THANKS 10TH GIGA-」』が開催された。本公演は、夏に行われる野外フェス『OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL』(以下、『ジャイガ』)の恒例のスピンオフ企画。今年の『ジャイガ』は記念すべき10周年!「THANKS」をテーマに初の4DAYSで開催する。夏に向けてのスピンオフ第1弾がこの『THE BONDS 2026』であり、『ジャイガ』10周年のキックオフイベントとなる。出演者は日食なつこ、レトロリロン、Penthouse。3組とも『ジャイガ』出演経験者で、ピアノロックを基調にしたアーティストだ。日食のMCでの言葉を借りれば、『THE BONDS 2026』の源流(トッパー)から下流(トリ)までがグッドなバイブスでひとつなぎになった、素晴らしき夜だった。そしてこの日を起点に、夏の『ジャイガ』という海への旅が始まった。本記事ではそんな夜の模様をレポートする。

OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL SPIN-OFF 「THE BONDS 2026 -THANKS 10TH GIGA-」2026.2.1(SUN)@大阪・サンケイホールブリーゼ

2026年2月最初の日曜日。会場のサンケイホールブリーゼには、小学生の子どもから大人まで、幅広い年齢層のオーディエンスが集合した。ステージにはグリッターな『THE BONDS』のロゴがキラキラ煌めく。会場内BGMには、4月12日(日)に梅田のライブハウス3会場で行われるサーキットイベント『GIGANTIC TOWN MEETING』の出演者の曲が流れていた。

開演5分前になり、キョードー大阪の社員で『ジャイガ』のボスこと川上氏が影アナを入れる。来場者への感謝を述べて、この日出演の3組の紹介と『GIGANTIC TOWN MEETING』のアナウンスを行い、「『THE BONDS 2026』開演いたします! 最後までお楽しみください!」と開幕宣言。中の人の声が聞こえたことで、オーディエンスの高揚感と期待感、結束力がどことなく高まったように感じられた。

日食なつこ

トップバッターは日食なつこ。ステージに現れた日食が手をスッと広げると、その合図を待っていたかのように客席が一斉に総立ちになる。「火力最大でいきたい」とバンド形態の日食CREWで臨んだライブ。日食は「今日はお集まりいただきありがとうございます。自分に大きな拍手を!」と述べ、「『THE BONDS』という大きな川の流れに沿って、本日3組でお届けしていきます。まずは『BONDS』の源流・上流、私がやらせていただきたいと思います。どうぞゆっくり身を任せて、川に流れに沿って一緒に進んでいけたら」と滑らかに導き、鍵盤の前に座った日食とkomaki(Dr)の2人で「水流のロック」を軽快に届けていく。

次の「うつろぶね」が始まると、沼能友樹(Gt)、仲俣和宏(Ba)がステージにイン、曲の途中から演奏にジョインする。さらに、物語の始まりのように「冬の晴れた大阪の空の下、強い風に吹かれながら、全てがうまくいく幻を見ながらここに来ました」と言葉を添えて奏でられた「風、花、ノイズ、街」。優しく跳ねるピアノの音でサウンドスケープが描き出された。凛とした佇まいで伸びやかに紡がれる歌詞とメロディーが本当に気持ち良い。客席はクラップで反応し、笑顔で手を上げる。

「『BONDS』に集まった方達はなんとお呼びすればいいんでしょう。「BONDSER(ボンザー)」ですか?」と日食。キョードー川上氏に『BONDS』の意味を聞いたところ「「絆」だと。木工用ボンドや接着剤のボンド。縛る、繋げるという意味。なので、BONDSERのみんなと本日出演の3組は、強く強く「ボンズ」です。癒着ですよこれは。我々は今日をキッカケに癒着しているつもりで迫っていきますので、引かないで頑張って受け止めてください」と述べて「あなたの旅が良い旅でありますように」と「julep-ment flight」を披露。自由にアンサンブルに身を任せる会場と一体に溶けていった。

「ノリ方がお上手。音楽玄人のあなたたちにはこの曲は必要ないかもしれないけれど」と演奏されたのは「音楽のすゝめ」。<失われた時間は2度とこない また会える約束もできやしない>という歌詞通り、この会場でこの顔ぶれで、音楽を共有しているのは奇跡だ。この日集まったオーディエンスは「今この瞬間」を大切に、目の前で鳴る音を享受して楽しんでいるように思われた。だからこそ、大トリまで最高の空気を醸成し続けたのだろう。曲が終わると客席からは大喝采が沸き起こった。

日食は「私たちと『ジャイガ』さん側とも癒着していける認識で大丈夫ですかね。ぜひ癒着しあって、夏まで、その先まで一緒にやっていければと思います」と述べる。「レトロリロンもPenthouseも、裏でめちゃくちゃ仲良さそうにしてるのがすごく良い。彼らも彼らでBONSERなんだなと思って見ていました。わざわざ楽屋から出てきて私たちを送り出してくれて、こっちはもう仕上がっているので。あとはあなたたちの勝負です。残りは任せました!」と頼もしい言葉を発してラストスパートへ。アッパーなロックチューン「閃光弾とハレーション」からチャイナテイストの「LAO」でナイスグルーヴを生み出し、推進力のあるビートに乗って、ラストは「ログマロープ」で締め括った。洗練された中に情熱を感じるアグレッシブなサウンドが、会場に確かな熱を宿したのだった。

レトロリロン

日食と客席が作り出した空気を引き継ぐのはレトロリロン。SEが流れ、永山タイキ(Dr)、miri(Key)、飯沼一暁(Ba)、涼音(Vo.Ag)の順でステージに登場すると、涼音が「遊ぼうぜ大阪ー! レトロリロンです、どーぞよろしく!」と叫び「ワンタイムエピローグ」を投下。会場後方まで突き抜ける涼音のクリアな歌声があまりに気持ち良い。miriのソロパートも永山のビートもパワフルで、1曲目からフルスロットルだ。続く「ラストハンチ」は同期でホーンも使用して、爽やかで華やかなサウンドを届けてゆく。涼音はものすごい声量でフェイクとスキャットを響かせ、客席も前のめりに手をあげて呼応する。双方から発露する全てのピースがパチッとハマるような爽快さ。さらに涼音のエアSaxが炸裂した「DND」を堂々と披露して、進化したバンド力を提示した。

涼音は「2月になっちゃったんですけど、あけましたね。今年もよろしくお願いいたします」と挨拶。大阪でのライブは昨年末の『RADIO CRAZY 2025』ぶり、今年は初めてだ。涼音は3組の対バンについて「あったようでなかった対バン」と評する。ステージをくるくると駆け回って歌っていた涼音は「暑いね。ホールって冷房ガンガンで優雅かと思ってたけど、全然どこでやってもライブハウスですわ」と嬉しそうに笑い、「まだまだ楽しんでいきましょうよ」とアゲて、跳ねるリズムが軽快な「ヘッドライナー」へ。コール&レスポンスから飯沼のベースラインが響き渡り、一度聴けばクセになるキャッチーなフレーズが、観客の耳と気持ちと空間を掌握していく。

ボーカリストでありコンポーザーの涼音の凄みを感じたのは、昨年11月にリリースされ、昨年10月のPenthouseとの2マンライブで初披露された「バースデイ」。レトロリロンの楽曲は、現代社会の中で生きづらさを感じる人に寄り添う曲が多いが、この曲もまた、自分の代弁者のように歌詞が突き刺さった。<何もうまくいかないことが 僕の今をたらしめてる><何度も泣いてきた それでも何も変えられずにいた><満たされないけど心だけは 誰にも渡さないで抱きしめてゆく>。深いところまで掬い上げ、弱い自分の味方でいてくれる。上質なメロディーと激しい演奏、ドラマチックな楽曲展開、真剣な眼差しで一言ずつ力を込める涼音の歌。爆発寸前のエネルギーと熱量に圧倒される。観客も釘付けで聴き入っていた。

涼音は「今年も始まったなという気持ちと、始まってしまったなという気持ちが渦巻いていて。生きていれば色々あるし。今日出会ってくれた人もいれば、これが最後になる人もいるかもしれない。それは誰にもわからないと思っていたけど、最近それがいいことじゃんと思えるようになってきました。今日ここで音楽を一緒に共有できて、ただただ嬉しい気持ちが僕の中ですごく出てきている。今年はそういう1年にしたいなと思って歌っております。この3組の対バンは次いつ来るかわかんないし、もうこないかもしれない。今日みんなが足を運んでくれたこと、僕らもそういう日を一緒に作れたこと。今年どんどん加速していく中で、しっかり思い出せる日になると思ってます」と想いを伝え、「アンバランスブレンド」のシンガロングでひとつになり、ラストは壮大な「UNITY」。魂を込めて全力で演奏する4人の姿が忘れられない。いつまでも鳴り止まぬ拍手がライブの素晴らしさを物語っていた。ますます進化を遂げるレトロリロンが楽しみで仕方ない。

Penthouse

大トリの6人組シティソウルバンド・Penthouseは、この日が2026年初のライブ。暗転したステージに平井辰典(Dr)が静かにスタンバイ、ビートを鳴らし始めると会場からクラップが発生。そして大原拓真(Ba)、矢野慎太郎(Gt)、サポートの海堀弘太(Pf)、るーか(Cho)、おかのやともか(Cho)が続々とステージにイン。浪岡真太郎(Vo.Gt)が「こんばんはPenthouseです! 『THE BOONDS』最後まで楽しんでいけますか!」と叫び、お馴染みのオープニングナンバー「Welcome to the Penthouse」で華やかにライブの幕を開けた。

続く「フライデーズハイ」では、8人から放たれる音の洪水を一身に浴びてただただ圧倒される。特に大島真帆(Vo)の声量、浪岡のパワフルなスキャット、鍵盤の長尺ソロと、息つく間もない展開に追いついていくのでやっとだ。さらに大島と浪岡の掛け合いがスリリングな「一難」、ソウルフルでギターソロも美しいミドルナンバー「Minute by Minute」と一気に駆け抜けた。

浪岡が「盛り上がってますか!」と叫ぶと、客席からは最高のレスポンスが返ってくる。その様子を見て大島は「いいですね〜!」と破顔。2人は対バン相手の2組について触れる。レトロリロンは、昨年10月にPenthouseが自身の対バンツアーに呼んだことから「仲良くしてもらっていると勝手に思っているんですけども」と大島。そして、日食なつこは浪岡と同じ岩手県盛岡市出身という共通点があるそう。浪岡は「僕が高校1年生の時に、日食さんはライブハウスに出られてて。もう完成されてました。すごかった。だからずっと目の端でキャリアを追ってた感じがあって。ようやく共演できてとても嬉しいです」と感慨深げに語っていた。

ここからはダンサブルなナンバーを連投。「Penthouseのライブは自由なので。日食さんとレトロリロンが作ったこの最高の空気を引き継いで、彼らに負けないライブにしたいと思います!(浪岡)」と気合いを入れて「Jukebox Driver」を投下。自由に観ていいよ、と言われても勝手に身体が動いてしまうピアノロックが気持ち良すぎる。矢野と浪岡のツインギターによるユニゾンパートも極上だ。疾走感の中に衝動とミステリアスさを感じる「隣の恋は青」は、サビでタオル回しが発生! 浪岡のラップ的アプローチとゴスペルの要素が交錯する圧巻のキラーチューン「Live in This Way、同期でホーンセクションも入れて、音の分厚さがさらに増したアッパーチューン「ナンセンス」で踊らせまくった。

大島は「みんな音楽の楽しみ方知ってるよね! 最高です! 本当に大阪ありがとう!」と喜ぶ。浪岡は「今回3マンということで、フェスとはまた違う一体感があって。ピアノをフィーチャーした3組だから、ホーム感があるよね」と体感を述べつつ、「残り2曲です。いけるか!」と煽り「Taxi to the Moon」へ。オーディエンスはサビの振付を真似して一緒にダンス! ラストナンバーはライブ定番曲の「我愛你」。大島、浪岡、矢野、大原の4人が前に出てパフォーマンスする様は大迫力。会場全体を巻き込んで手を左右に振り、シンガロングで最高潮の一体感を作り上げた。

アンコールに応えて再登場したPenthouse。「…恋に落ちたら」では、「今日は対バンライブだからね、この2人お呼びしましょうー!」と、日食なつことレトロリロンの涼音を呼び込む。このスペシャル展開にオーディエンスは大興奮! 交互にスイッチしたり、涼音と大島で柔らかくハモったり、サビを涼音と日食の2人で歌ったり、日食がアレンジたっぷりのハイトーンを響かせたりと、4人のボーカリストの実力と化学反応を間近で目撃することができた、この日だけの特別で贅沢な時間。本当に素晴らしいフィナーレで、会場の熱気は高まるばかりだった。日食なつこから始まった川の流れが、レトロリロン、Penthouseとうねりを増して、熱狂の渦を作り上げた。きっとここにいた人全ての記憶に残る夜になったと思う。

そしてここから『ジャイガ』10周年イヤーがスタート! 夏の『ジャイガ』に向けて様々なスピンオフイベントやコンテンツが用意されるので楽しみに、ぜひ一緒に盛り上げよう。

取材・文=久保田瑛理 写真=オフィシャル提供(撮影:オイケカオリ)